電塾3月定例勉強会 ABCスタジオ
 
 
100306j.JPG3月は電塾発祥の地ABC、スタジオで行われました。1スタジオだったのですが、長くこの場所で撮影をしてきた、感慨深げにお話しするカメラマンが印象的でした。

第一部は初心に返ってモニタ調整を「ディスプレイキャリブレーションの鬼」大野さんに∪半紙いただきました。

第2部は「電塾デジタルカメラ解像チャート」の開発者である阿部氏と、それを活用させてもらっている鹿野が撮影方法、評価方法を徹底解説しました。

 
 

「モニターキャリブレーションとその解説動画制作秘話」

アスカネット株式会社 大野秀生

 

 
 

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 お仕事柄という事もありますが、自分以外のモニターを調整してきた台数を争うなら、大野さんを超える方を探すのが難しいかもしれませんね!

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失礼な話、いつも同じような内容なのですが、必ず食い入って聞いてしまいます、大野さんのセミナーは・・・同じような内容でも、退屈させないアレンジと新しい言い回し、体験談の話を聞いているだけでもとても面白いです。

今回、キャリブレーションと言わず、モニター調整と言い換えてお話しいただいた内容は、とても分かりやすく納得させられるものでした。

アスカネットさんのホームページの中に大野さんが完成させた、印刷物の色調評価を行うためのモニター調整方法や、作業する周辺環境の整備方法などを、全7行程に分けて動画で解説が聞けます。この会に参加できなかった皆様も、是非ご覧になってみてください。

http://asukabook.jp/support/digital_school.html

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レポート;菊池斉

 

 
 

「電塾デジタルカメラ解像チャート」徹底解説

電塾運営委員 阿部允夫 鹿野宏

 
 

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従来の解像度測定チャートの問題点

従来のチャートは比較するための大前提が」「同一画素数の画面であること」でした。ビデオ(テレビ)の世界は縦横のピクセル数が720×480と全て同一であったためこのチャートを画面一杯に写すことで比較出来ていたのです。


し かし、デジタルカメラは125万〜400万画素に始まり、(この時点でビデ信号の解像度の10倍以上です…)500万画素、600万画素、800万、 1000万、1200万、2000万、2400万、4000万画素という多くのバリエーションが存在します。同一のチャートを画面一杯に撮影してしまえ ば、当然、画素数が多いカメラの方が、良好な結果になってします。故に「画素数は正義」という風潮を導き出してしまうことがあり、特にベイヤー配列により 演算された情報の場合は顕著です。(現在流通しているデジタルカメラの殆どがベイヤー配列です)確かに画素数として風景などを撮影するには2400万画素 以上が欲しいのは確かですが、そのカメラの(あるいはイメージセンサが持つ本来の解像感を見抜くことは出来ないのです。


http://denjuku.gr.jp/seminar/_images/p002.jpgそ こで考案されたのが電塾チャート(私は1ピクセルチャートと読んでいるが)です。デジタルカメラが持つ各ピクセルのエッジをどのように処理をしているの か、どれだけ本来の形に添って記録されているかを確認する為の物です。ベイヤー配列による演算の方向性、何を重要視して演算しているのかを確認することが 出来るのです。また、演算によって色彩を作っているために、明暗以外の、隣り合った色彩によって起こる変化も確認できます。ベイヤー配列の演算による画像 データは、その1/2以上が演算によって得られた仮想の情報です。そのため、本質的には1ピクセルを正しく再現できない物なのです。


それ故、ベイヤー配列をどのように演算しようとしているのか、究極は1ピクセルのオンオフを撮影することにより、そのセンサーの情報をどのような解像感を目指して演算しているのかを探ることが非常に重要になってくるのです。


ただし、このチャートは取り扱いが非常に難しい物です。まず、撮影が非常に大変。撮影されたチャートに記録された意味を読み取るには、基本的な画像解像度の知識が必要です。最初に撮影方法を解説しましょう。


このチャートを正しく運用するためにはデジタルカメラの1ピクセルとチャートの1ピクセルが出来るだけ正確に対応するように撮影する必要があります。


撮影方法


プリント出力

○チャートはきちんとプリントする。双方向プリントは避けて、一方向プリントを行う。

○マット紙ではチャートが解像しないので無理

○光沢紙よりは微光沢紙を推奨(エプソンの場合は絹目調)


撮影(カメラ編)

○チャートは水平、あるいは垂直を正確に設置する

○当然照明も均一に

○35mmタイプであれば50mm程度(マクロレンズなど)を推奨

○チャートの周囲は暗く(ノイズを入れない)

○フードはきちんと付ける

○白地をRGB値200程度に抑える(明るくしすぎるとフレアーが入る)

○絞り値はレンズ固有の開放値から2絞りほど絞り込んだ当たり


撮影(ピント編)

○500ピクセルの幅をきちんと合わせる。ある程度まで近づいたら、最後は微動スライダで前後数カットを撮影して、距離を決定する。

○ピントをきっちり合わせる。(ボディ駆動のオートフォーカスでは追いつかないこともある。目で合わせるのは不可能。数カットピントリングを回転させながら撮影し、最良の物を選択するのも手だ)

○1ピクセルを確認するのでブレは禁物(ミラーショックにも気をつけよう)

○傾きも禁物(0.1度以内に合わせる)


その他のコツ

セッティングが終わるまではでJPEG撮影し、RAWは撮影条件が決定してから撮影する

RAW+JPEG(メーカー設定)を推奨(メーカーが目指している仕上がりを判定しやすい)

コンピュータ直結で撮影する事をお進め(断然楽)

長辺500ピクセルではあるが2ピクセル程度は許容範囲


最低このルールを守らなければ、このチャートは判定基準に達しないという物です。結構大変ですよね。

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※べイヤー配列とデジタルカメラ内部の演算

ここでチャートを正しく読むためにベイヤー配列の画像がどのように生成されるのかを復習しておきましょう。

 

 
 

1200万画素のデジタルカメラ、実は900万画素?

RGBGのカラーフィルターを各受光素子に貼り付けている状態をマトリックスフィルターと呼んでいます。R画素はRチャンネルを記録しますが、GとBのデータは持っていません。それではカラーにならないので、上下、または左右のピクセルから予想、演算されます。Bチャンネルも同じように作られます。G チャンネルのみは上下左右の画素から演算されます。つまりR、あるいはBの情報は1200万画素の1/4、Gチャンネルが1/2の600万画素しかないわけです。もっとも綺麗に輝度情報を拾得できるのは一番明るいGチャンネルですから、Gチャンネルに2倍の量をあてがっているのは頷けます。

ベイヤー配列のデジタルカメラの場合、精細な輝度情報は全体の画素数の1/2しか持っていない…つまり1200万画素で撮影しても実データの信頼できる情報は600万画素であり、残りは演算で得ている計算上の情報だということです。同じ1200万画素のマルチショットタイプのデジタルカメラが1200万画 素全てにリアルな情報を持っている(1200万画素で3回露光するわけですから、ベイヤー配列に置き換えると3600万画素相当の情報量を持っているわけです)のに比べて、ワンショット機はその半分のデータから演算されて1200万画素を形成している訳です。もっとも、演算性能も向上していますので、現実 にはフル解像度の75%、1200万画素であれば900万画素辺りが実際の性能だと考えていいようです。で、この演算をしている部分がデジタルカメラに内 蔵されているASIC、あるいはRAW現像ソフトとなります。また、この演算の出来不出来がまさしくワンショットデジタルカメラの性能を決定するといって も過言ではありません。この演算ミスが色モアレであったり、実際はつながっているラインが切れて見えたりすることになるのです。

一般にデジタルカメラの拡大の安全圏は2倍程度といわれていますが、これはマルチショット機ないしはスキャナータイプの場合です。ワンショットの場合は 1.5倍程度が限界です。900万画素の2倍の1800万画素がちょうど1200万画素の1.5倍に当たります。ワンショット機の解像感はマトリックス フィルターがあることで、カラー情報を得ることと引き換えに、解像性能を落としているということを理解しましょう。

 

※拡大の安全圏:これは高周波成分を多く含む画像の場合を指します。画像の殆どが低周波成分で構成されている場合はこの限りではありません。

 

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基 本的に隣接するピクセルとその周囲の情報から演算されます。この図では両隣からのみ情報を得ているが、実際にははるかに複雑な演算を行っており、ワン ショットタイプデジタルカメラの品質を左右する部分だとも言えます。この時、複数のピクセルにまたがって記録されなくてはならない色彩や形がある場合に演 算ミスをしやすくなのです。


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グリーン情報はもともと「明るく精度が高い」ということもあり、さらに上下左右から情報を取得できるので他のチャンネルに比較して信頼性が高くなる。このことからもグリーンチャンネルが最も綺麗なチャンネルとなるのは簡単に予想がつく。

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デジタルカメラに記録される線と点はどうなっているか?

記録される形とピクセルの関係を知っておこう。

 
 

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この格子の一つ一つが1ピクセルだと仮定します。そこに上図のように1ピクセルよりも細い線と1ピクセルよりもやや太い線、約2ピクセル、約4ピクセルの線と角度を持った線が投影されたとします。

太い線は輪郭上に小さなでこぼこ…つまりテクスチャーを持っています。

 

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センサ上に結像した形は実際にはこのように記録されます。

1)1ピクセルよりも細い線が運良く1ピクセルに収まった場合、それ自身よりも細い形を記録できないので、元の線よりも太った1ピクセル分として記録される。ただし、元の線が真っ黒でも余白との平均値で描かれるのでグレイのピクセルの線となる。

2)2ピクセルにまたがって存在した場合はもともとが1ピクセルよりも細い線であっても2ピクセルの、これもまた1ピクセル中に存在する線分の濃度に応じてより薄緯線として記録されてしまう。

3)1ピクセルよりも太い線だったときに初めて真っ黒な部分が記録されるが、それも完全に1ピクセル内に収まっている部分だけで周辺は淡いグレイになる。

4)やや太い線だった時に、やっと周辺部も濃くなるが真っ黒にはならない。この線の太さの違いは周辺の濃さとしてしか記録されないのだ。

5)4ピクセルあると、3ピクセル分は真っ黒になり、最も端のピクセルが淡いグレイになるだけですむ。ここまで来て、やっと線の端が丸いかもしれない、という気がしてくる。

6)緩やかな角度を持った細い直線はまっすぐな直線が1ピクセルずつ徐々に左右に移動していくように記録される。この現象は建築などを撮影している時によく見かけるので経験している場合もあるだろう。

7)さらに角度がつくと階段状に記録される。

8)その線がさらに細くなると途中が切れて見えてしまい、点線のように見えてしまう。


もちろん通常は直線はなく、曲線と曲線の集合体なので、これが曲がるとなるとさらに線分はぶつ切り状態で記録されるだでしょう。

 

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今 度はピクセルピッチを1/2にしてみました。先ほどよりは「大元の線分らしい」記録のされ方になっているのがよくわかる。緩い角度の線はやや階段状だが細 い線もつながりだしています。空間周波数という見方でみると最初から太い、しっかりした線は低周波成分。1ピクセル前後に当たる線が高周波成分ということ になります。同じ被写体を撮影してもピクセルピッチが異なれば、高周波成分にも、低周波成分にも成り得るし、同じ被写体、同じデジタルカメラカメラで撮影 していても、寄って撮れば低周波、引いて撮れば高周波成分として扱われる。

 

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さらにピクセルピッチを1/2にしてみた。ここまで来ると太い線の中のテクスチャーらしいものも記録され出す。細い斜めの線も、やや太ってはいるものの、それらしい再現で描かれていることに気付くだろう。


イメージセンサ上に画像が結像され、記録される時どのように記録されるのか頭では理解していても、具体的に考えたことはあまり無いでしょう。かなり乱暴な方法ですが実際に同じセンサーサイズ上でピクセルピッチを1/2 、1/4に変更したモデルで検証してみます。

自然界にはイメージセンサーと全く同期したまっすぐな線というものは存在しません。すべてが角度を持ち、また曲線で構成されているのですが、ここでは検証しやすいように直線でモデルを作りました。

細かい質感やテクスチャーを再現したければ、それだけピクセルピッチの細かいデジタルカメラを選択し、自分が記録したい一番細かい形を形成するピクセルが 3〜4ピクセルは当たるように撮影すれば、思い通りの解像感を得られるということに気付くはずです。顔のアップが必要なら被写体に寄り、イメージセンサ内 に記録される周波数を大きくしてやれば600万画素機で撮影しても大伸ばしに耐えることが可能になります。デジカメの作例にアップを多用するのはそのため かもしれません。逆に広い風景の中の木々の葉っぱの質感やテクスチャーまでを記録したければ、画素数を上げるべきだという結論が出ます。これらは画像を 800%位でピクセルが見えるような状態でデータを観察すると、すぐに目視で確認できます。使用しているデジタルカメラの画素ピッチがたとえば6.3μm だとするとイメージセンサー上に結像した被写体の最も細かい線が20μm以上あればその線は確実に形のある情報として捉えられたということになります。

言い換えると6.3μmのセンサーピッチを持つデジタルカメラのイメージセンサー上に投影された6.3μmの幅の線が、ありのままで記録されることは殆ど あり得ず、常にセンサーのpixel4個にまたがって記録されていると考えていいでしょう。だからもっとも細い線が18.9μm(3pixel)の幅を 持っていた場合はそこそこ解像しやすい、と言うことになります。

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空間周波数の観念。細かい波長はピクセルピッチに近づいていく。

 

 
 

チャートの意味と見方。

これらを踏まえて、チャートを解析していきます。

 

 
 

このチャート の設計者の阿部氏は「自分が読み込めればOKで、このチャートの読み方を他人に伝えるつもりはなかった」と言います。実はどれだけ注意深く撮影しても、あ る程度の誤差は発生してしまうのがこのチャートですので、その誤差範囲を見極めながら判定する必要があるのです。


赤枠の部分が1ラインが1ピクセルに対応している駒で最も重要です。

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1段目が縦横斜めの1ピクセルの線、白黒のチェッカーフラッグ。

2段目が青と黄色、マゼンタとグリーン、赤とシアン、と補色のチェッカーフラッグ、白黒グレイの混合。(ローコントラストチャートです)

3段目が青、緑、赤のチェッカー、RGBCMYの混合パターン。

4段目がRGB、ないしはCMYのパターンを変化させたチャートと同心円のチャートで構成されています。


ただし、赤枠内部は本来なら解像されるはずがない部分です。本来どれだけ注意深く撮影してもチャートの1ピクセルと撮像素子の1ピクセルが完璧に整合することはあり得ません。しかも演算によって作られている部分です。


一 段目の白黒の線(あるいは格子)であればグレイになるはずの部分です。(多少のテクスチャーが残るのは構わないはずです)ここを解像しすぎてラーメン模様 を出現させたり、あらぬ色彩になってしまっては「もともこも」ありません。無理矢理解像しようとしてここで苦労しているデジタルカメラは結構見かけます。 この時点で旨くぼけていないデジタルカメラは、このところで問題を起こしやすいのです。もちろん完璧に1pixelを再現できるに越したことはないのです が、マルチショット機や、垂直色分解を行っているカメラでさえ、上手には解像できません。格子の部分はほんの少しでこぼこしたグレイに、縦、横、斜めの線 の場合はその方向感を残したグレイになるのが理想です。


2 段目の補色の混合チェッカーはチャートの色彩が完璧であれば、グレイになるはずです。ただし、チャートが書かれたのがインクジェットのインキの二次色です ので、完璧なグレイにはなれません。右端のローコントラストチャートは結構解像が難しい部分です。ここに色彩が乗ってしまう場合は完璧に演算ミスと言えま す。


3 段目のチャートは赤×白、青×白、緑×白のチェッカーです。1pixel対応の部分ではまず解像されることはあり得ません。水色、薄緑、ピンクになるはず です。それ以外の色彩が現れるようでは問題です。またヘンな模様も出て欲しくありません。右端がRGBCMYの混合チェッカーです。1pixelでこれを 解像できるイメージセンサにはまだであったことがありません。完璧な色彩ならこれもグレイになるはずですがやはりややアンバー気味になることが多いようで す。(これもインクの色の所為でしょう)


4 段目は一寸不思議なチャートです。左端がまさしくベイヤー配列。これが結構難しいらしいです。あまりに揃ってしまうので干渉しやすいのかもしれません。ベ イヤー配列を不規則に置き換えたものCMY、その版となり、このあたりは色彩に対する反応具合を見ているようです。いずれも3ピクセルを超えたところでや と解像するようなチャートです。最後に用意されたチャートが同心円です。解像する必要はありませんが、「同心円らしく」見えることは重要です。特に左右で 少々幅が変えてあり、ここでも、仕上がりの方向性を伺えます。


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同 様のチャートを0.83ピクセル、1.3ピクセル、1.6ピクセル、2ピクセル、2.3ピクセル、3ピクセル、4ピクセル、5ピクセルで並んでします。 0.83ピクセルはさらに解像できないはずのチャートです。ここはいかに柔らかくグレイアウトしているかが見所でしょう。1.3ピクセルから3ピクセルま では普通は順当に良好な絵になっていくのですが、物によっては2ピクセル前後、4ピクセルチャートで問題を起こす物もあります。このあたりは演算設計の違 いだと見受けられます。(モアあれをおこさないはずの解像度で起きてしまう場合などがこれにあたるようです)

3段目RGBCMYの混合チェッカーは3ピクセル以上のチャートでやっと解像されるはずです。


1ピクセル部分が一番重要で、本来ここが解像される場合はほとんどないはず。特にベイヤー配列を基本とするワンショット機の場合は、半分が「演算された情報」なのですから。

 

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同心円と放射は太さの異なる線で、斜めの角度違いは太さが変化する線で構成されています。いずれも線の太さが変わらずに記録さるのが理想です。

 

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右端の白黒(所々グレイ)で構成された部分はピクセルを1/2づつ移動してあります。元々、完璧に1pixelを整合させて撮影するのは不可能だと言うことでずれ方による変化を確認するためのチャートです。


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このチャートは1ピクセル(ここも赤い枠でかまれています)、1.3ピクセル、1.8ピクセルで構成されています。変化が少ない結果は優秀だと言えます。

 

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大 きな同心円はモアレの出方を確認するための物です。通常1pixel(上下左右で白い切りかきの突き当たりのライン)より細い方はグレイに、何だかのトー ンを持って記録されるのが理想です。また、同じカメラでもレンズをかえるとモアレが出たり、現像ソフトによっても変化する場合があります。

 

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斜めの直線の同心円はやはり各方向に対する処理の癖を確認するために役立ちます。

四角い色面上の小さな色玉は殆ど解像されません。色玉を9ピクセルに変換してみると別の見え方が出来そうです。赤い色面上の縦長の色玉は色彩によってエッジの出方が異なることを示しています。

 

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白とグレイの帯脳絵に描かれたABG矢印と同心円はコントラストが近い場合の色分離の方法論を私たちに示してくれます。メーカーによってローコントラスト時の色分離の悪い色彩がそれぞれ異なるようです。


右側に配置されている「くさび形」の色彩もハイコントラストとローコントラストで用意されています。色彩によって太ったり、痩せたりしている場合を確認できます。


 

 
 

D2XとD3のイメージセンサをピクセルチャートを使用して比較する。

D2XとD3のチャートを比較しておおざっぱに解説します。データダウンロードはこちらから

 
 

データをダウンロードしてご自分のマシンで100〜400%表示で比較しながらご覧ください。D2X自体、それまでのデジタルカメラと全くアプローチを変えた 処理をしてきたデジカメで、D1以降のエポックメイキング的なカメラでした。それがD70でさらに進化し、D3へと繋がったのです。その進化の過程を垣間 見ることが出来ると思います。

1 ピクセルチャートを見るとD2Xの方が解像感はあります。しかし、白黒グレイのローコントラストチャートでは怪しい解像を行っています。同心円に関しては D3遙かにの方が元の情報を彷彿とさせるバランスを持ち、縦横斜めのチャートも無理に分離せず、しかも元の様子を残しています。            


1.3ピクセル部分を見るとそれが顕著に表れています。


私 がもっとも重要視する3ピクセルチャートでもD3の方が見事なバランス感を持っています。                                                                                                                                                                

大きな同心円チャートを見ると、D2Xは何が何でも解像しようとしてモアレを派手におこし、ラーメン模様を呈しています。


ABGチャートを見るとローコントラスト時の色分離が見事に進化しているのを感じます。


全体においてD2X解像感はに軍配が上がりますが、画像の仕上げのバランス感、「あらぬ解像」はしていない点において D3は正常進化したのだと感じました。


見 方によっては評価も変化します。どのようなシーンでそのカメラを使用したいかによっても評価が変化するでしょう。たとえば、モアレが起ころうが偽色が出よ うが一切構わないが、とにかく解像感を追求したいD2X、という方にはの方がに合っているかもしれません。でも和装やビルの建築写真、レースなどを撮影す るのなら、迷わずD3を選択するでしょう。出来るだけ正確に撮影し、単体評価ではなく2機種、3機種の比較評価に電塾チャートを比較してくださ い。  「解」は無限にあるようです。ご自分のお仕事に照らし合わせて評価していただきたいと思います。

 

 
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