2009年電塾9月のレポート
 
 
本日のお題は「色彩工学から再現工学へ!」
 
 
第一部デジタルフォト入門講座2009 第7回
「デジタル時代のライティング基礎講座」 電塾運営委員 玉内公一
 
 

突然ですが、傘バウンスする場合、どれぐらい傘をライトに挿すのが標準的かご存知ですか?それから、ボックスにしても、傘バウンスにしても、被写体までの距離がどれくらいだと、それらの特性を発揮できる距離だかご存知ですか?そして、室内と外で、ライトから被写体までの距離が変わる事により、光がどう変わるかご存知ですか?
そんなこと知らなくたって・・・って話かもしれませんが、因に私は標準的なものなんて知りませんでした・・・
私の場合、スタジオアシスタントの経験も無いし、写真関連の学校にも通った事がありません。
それでも、ポラをひく時間、はたまた現像するまでの時間から考えれば、デジタルカメラはすぐ確認できる事により、数倍ライティングのテストができて、かなり目標値に近づく時間が短縮されます。
光を拡散したり、集光したりと、試行錯誤して自分なりにライティング方法を未だに勉強してますが、何でもそうですが、ライティングも基礎からスタートすると、あまり遠回りをしなくて済むのかもしれませんね。
ちょっと、2時間ではとてもとてもて足りないと感じてしまいました。また、玉ちゃんのライティング講座聞きたいですね〜
今回は、プロペット様より機材提供をいただきました。ありがとうございました。

レポート 電塾運営委員 菊池 斉(ひとし)

 
 
第二部 「恒例・良いもの・こと探し」参加者全員
 
 

良いことを探すのは本当に難しい。皆さん、苦労されいるようだが,「悪い話」を聞くよりもずっと聞き心地が良いのは事実です。それで一生懸命に「良いこと,良い話」を探すのでしょうね。今回はどうしても良いことを探せないかたがついに「落ち話」を持ってくるようになりました。笑えるお話し…笑顔がでる、という事も…これも良いことの一つに違いありません。

 
 
第三部 「EIZO CG243W 高色域ディスプレイのご紹介」
株式会社株式会社ナナオグラフィックスエンジニア担当部長 山口省一様
 
 

株式会社ナナオさんからはニューフェイスのCG243Wのご紹介です。電塾で紹介するのですから、単なるプレゼンテーションではなく、画像処理を目的としたディスプレイの本質論、ナナオさんが目指すもの、などを併せてお伺いいたしました。

DVIを2ポート、さらにディスプレイポートを備えたCG243は10ビット入力、10ビット出力をサポートし、見事に滑らかな諧調再現が可能です。もっともそれを行うには10ビット出力可能なディスプレイボードとアプリケーションが必要になります。 残念ながら、現在のPhotoshop、通常のMACでは不可能です。この機能はディスプレイを作品の表示装置として使う…そんな場合が考えられますね。もちろん医療目的では病巣の派遣、特定などに大きな成果を期待できそうです。

カラーモードにDCI(デジタルシネマ配信の規格。こういうものがもう用意されているんですね)をはじめ、放送の用のカラースペースが加えられ、もっとも対応力が多きいといって良いでしょう。プロファイル精度も非常に高いものだと自負しておられました。自社の最高峰CG221に決して引けを取らない数値でした。(もっとも、同時に展示していたCG241も「以外と良いぞ」という声がかかっていました。)

私が見たところではムラ補正の精度が素晴らしく、これまでにないユニフォーミティの最高峰を実現したのだと感じました。色彩再現域、グレイや諧調の精度、視野角や色度変異、どれをとっても良いディスプレイです。

また、ディスプレイポートの現状やSNOW Lepoard、Windows7への対応状況などもお話ししていただきました。このレポートが出る頃にはほとんど対応済みになっているはずです。

 
 
第四部 「色彩工学から再現工学へ!」CMS研究家 村上 章様。
 
 

色再現の課題として、数値管理だけで原稿(元の物体の)色と製品(仕上がり)の色あわせを行うのではなく、仕上げたい方向、訴求したい方向性も含めて全体で管理しようということが今回のお話しの趣旨と思われます。

従来のカラーマネージメントシステムは数値によるデバイス間の色彩を管理する機構であり、それ以上でも、それ以下でもないのは周知の事実です。そこには当然仕上がりの「方向性」や「固有のキャラクター」(全体に暖かみのある仕上がり、肌色は化粧肌に、でも空は深い青に…など)は含みません。よく言われることですが、カラーマネージメントとは、色あわせの基本をそろえることです。全体の流れの中で、常に完成を見ているわけではないのでデバイス間で近似の色再現を求めるため、結果的に複数回のマッピング(色域圧縮)を行う場合もあり(デバイスを渡るごとにプロファイル変換を行い、常に「前段階」との相似な関係を持ち続けようとするため)さらに最後の行程であるキャラクタライゼーション(色の好みなど)の追加でそれは更に加速します。この最後の味付け等は、これまでは個別に行われており、全く管理などはされていない状況であったと思われます。

そこで、村上氏が提唱するTICは、色管理はカラーマネージメント、味付けや色彩設計は個別に、という現在のシステムではなく、光源→カメラ→パソコン→モニタ→プリンタという色彩の始まりから最後までのトータルな色管理を行い、そこにキャラクタライゼーションさえも縫合させ、主観的、客観的評価方法を同時に実行できるシステムをを確立しようという考え方でした。

TICとはトータルイメージクリエイションの略で 全体の印象を色彩管理だけでなく、どのように仕上げたいのか、どのように感じて欲しいのかも含めて仕上げの味付けまでも一気に管理しようという現実的な考え方のようです。

そのためにはいくつかのエレメントを整備する必要がありそうです。

視覚と測色数値の近似ができることも重要ですし、分光的な再現性シミュレーションも必要でしょう。

実際の色再現と色補正の方法はもちろん、記憶色や期待色の扱いもどうって反映させるのか、結構大変だと思います。また、ユーザーが物体色の正確な再現を求める場合と記憶色や期待色を求めている場合をどのように見分けるのか、という問題もでてきます。道は遠いかもしれませんが、システム化されれば、これまでよりももっと無駄のないシステムが構築されるのだろうと感じました。

 
 
今月の一枚
 
 

 運営委員をはじめ、多くの参加者をうならせたCG243W。手前は比較用のCG241だったが、此方で十分という声も漏れ聞こえていた。個人的には見事にバランスがとれた発光面を観察しながら、よだれが出てしまいました。

懇親会は写真を撮りませんでしたので、割愛しますが、今回も楽しい2時間でした。テーブルの配置も良く、皆で一つの話題を楽しむことが出来ました。電塾の本当の楽しさは懇親会だと改めて認識いたしあmした。

文: 鹿野 宏