電塾2009年7月定例勉強会レポート
 
 
午前の部:電塾会友佐藤希以壽氏の体に優しいデジタルフォト
午後の部:高画素デジタルカメラを検証
 
 
午前の部 デジタルフォト入門講座
「電塾会友佐藤希以壽氏の体に優しいデジタルフォト」
 
 

当時は4千万円代という個人としては最大級のデジタル投資を行った一人。ジナーバッグ、リーフを愛用するデジタルフォトの草分けです。

今日のお題は構図のお話し。いわゆる黄金分割や「ずらす」事で画面に動感を与える、という定説ではなく、日の丸構図もいいじゃないか、というお話しがメインテーマでした。

『個人的な』…ほとんど作品として発表している写真を使って見事な日の丸構図の作例を披露していました。
…「日の丸構図は実は安定している」…だからこそ主題がはっきりする。安定構図だからこそ、ほんの少しの変化が動感を演出する。ただ、日の丸構図を推奨するだけでなく、ほんの少し縦横が異なることによって変化する写真の表情についても触れていきます。

面白いな、と思ったのは「同じ被写体を少し振って撮影してみる」という簡単な実験。少しずつ立ち位置を変化させて撮影してみるとよく分かるようです。同一被写体を撮影していても、ある場合は「建物のある写真を撮りました」となり、またあるときは「建物の写真を撮りました」になるのです。なるほどです。

構図に左右されて…構図ありきで撮影するのでは無く、撮影する気持ちを反映させるために構図を選択する事が根本だとおしゃっていたように感じました。

黄金分割がいつでもいいわけではないが、当然それがあたるときもある。構図は構成として言い換えた方がいい。このようなお話しもありました。 感覚、感覚、感性を大事にしていけば、その中で必要な理屈も生まれてくる。はじめに理屈ありきではない。構図は必要に答えて選択されるのだ、と話されていたのでしょう。

 
 
午後の部 第一部「恒例 良いもの・良いこと探し」 参加者全員
 
 

82歳になった、電塾最長老塾生さん。おめでとうございます。やっと電塾に参加できた芸大の学生さん。良かったですね。

私は早川塾長が岡山のPMJというメーカーが出している歯ブラシの紹介が気に入りました。さっそくネットで探し出し、発注!。昨日から使用しています。

それから、いつも自己紹介の時に何かを発見するのですが、今回はABCスタジオの小松原さんのバッグ。これは膝の上に置いて使う「どこでもMy机」便利そうでした。


 
 
午後の部 第二部 「「2000万画素超有れば集合写真も完璧?」
電塾ハードウエア部担当運営委員(永嶋、湯浅)
 
 

集合写真を専門とする?永嶋運営委員の全面バックアップで実現した企画です。アルミのひな壇で5列を組、120人ほど並ぶことが出来る段を作製します。参加者がそこに並んで、2000万画素超のデジタルカメラでどこまで解像するか、という検証大会です。基本的には

D3X 2,400万画素
α-900 2,400万画素
5DMarkII 2,100万画素

というワンショット一眼レフタイプ3機種で、比較です。
せっかくですからバックタイプのPhase Oneも参加。

P25 2,200万画素
P65 5,500万画素

そして比較用にニコンD3 1200万画素も登場です。

Phase OneはDNPの川口様にご用意いただきました。
ただし、D3Xとα-900は値段の張る超高級レンズAF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G EDとVario-Sonnar T* 24-70mm F2.8 ZA SSMですが、5DMarkIIはなんとEF28-80mm F2.8-4L USMという古いレンズでした。レンズだけでもかなりの差が存在するのも事実です。中央部の比較はそれなりでしょうが、周辺の比較は意味がないでしょう。そんなことも考え合わせながらの検証ですが、私は次の超高画素対応ヘアーメイクの準備に忙しく、ゆっくり会場でお話を聞いている時間がなかったため、データを持ち帰り、スタジオで検証しました。今回のレポートは電塾内部の判断ではなく、ほとんど私の個人的な検証となります。(ごめんなさい)

撮影条件は全て感度100。F9 1/125(D3のみ感度200F9 1/250)
全てをAdobe Photoshop Lightroom IIで現像、パラメータを一定にすると、イメージセンサやレンズの癖がぶつかって見え方に変化が出るので、逆にホワイトバランスと露出は皆が一定のバランスになるように追い込みました。明瞭度は全て30、シャープネスも一定です。

※以下の画像はクリックすると約2500pixel100%表示で別枠で開きます。

6種類の画像を同倍率で比較すると、このようになります。P-65の8976×5984=5371万画素の威力は別格です。何しろこれ、JPEGで30MBあるんですから。2000万画素機が普通の絵に見えてしまいます。

100%で並べてみると、塾長の大きさがほとんど二倍なのが分かります。このサイズ(左右に22人並んでいる)でおひげやジャケットの生地まで解像しているのにはびっくりです。比較してはいけませんが、1200万画素のデータとはかなりの落差を感じます。P-25が2000万画素と比較的データ量が少ないながら、メリハリ感や解像度で2400万画素機に全く負けていない(どころかより精細感がある)のがさすがにバックタイプです。

レンズの端っこを確認すると、5DMarkIIのみ流れていますが、これだけ設計の古いレンズが使用されている所為でしょう。ニコン、フェーズ系のグレイの安定感にはすばらしいものがあります。

問題の35mm一眼レフタイプ、且つ2000万画素超のモデルの対決です。レンズの性能差も中心部分ではほとんど見分けが付きません。α-900とD3Xの差はほとんどみつけることができません。条件のいいところでは2倍以上の金額差は、ほとんどでないのでしょう。D3Xの方がわずかに色分離が良いかな、と思わせる程度です。5DMarkIIはこの2機種に対して300万画素ほど画素数が少ないのですが、実写で大きなの落差は感じません。600万画素時代の300万画素の差分は大違いですが、2000万画素を素いたときの300万画素の差は、画面いっぱいに撮るか一寸余裕をつけるか程度の差しかないようです。

結論は2000万画素オーバーのデジタルカメラで撮影した120人の集合写真はA2に伸ばしてもびくともしない。(5500万画素の場合、試していないがA1でほとんど目のばし無しでプリントできるだろう)1200万画素のモデルをあまりに拡大して使用するのは危険だが、A4サイズ程度であれば、ほとんど問題無いことも確認出来ました。(実際にプリントもしてみました)2000万画素超のデジタルカメラの存在意義を確認した一日でした。

毎回何か新しいものを持ってきている湯浅氏は、お得意のワイアレスネタも披露していました。
iPodタッチ、あるいはi Phone3Gsを使用した遠隔シャッターは、サムネール画像の確認も出来ます。これ、いいですねえ。特に自分がしゅごう写真に一緒に入りたいときに!。
更に新しくなったキャプチャーワンのインプレッションも報告されました。

 
 
午後の部 第三部「超高画素対応メイクアップとは?」
 
 

ヘアーメイク:隅田 たくみ 様
モデル:森 愛さん(オフィスクラージュ)

私が以前から仲良くしていただいているヘアーメイクの隅田さん。彼のメイクの仕上がりにはとても定評があります。ほとんどのモデルさんが隅田さんメイクだと安心するのです。電塾も何度かお手伝いいただいた事があるのだが、これまでは縁の下の力持ち的な存在でした。なので、比較的早い時期にデジタルカメラの画素数が1000万画素を超えだした頃、起こりだした問題をよく存じ上げていたのです。顔の「てかり」を取るために「粉をふく」のがそれまでのメイクの常識だったのだが、素肌の上の産毛に乗っかったその「粉(パウダー)」が画像に記録されてしまうようになってきたのです。超高画素デジタルカメラによる撮影はいくつかの新しい常識、要求を私たちに突きつけてきましたが、これもその一つでしょう。この件は2〜3年前から隅田さんに「なんとなく」いい方法がないかねえ、と相談していたのですが、今年になって、超高画素デジタルカメラ対応のメイク法をついに開発したと連絡が入ったのです。そこで、さっそく電塾で検証してみることに…。


モデルは肌の綺麗な方を、とのリクエストでクラージュの「森めぐみ」さんにお願いしました。

最初に通常のメイク法でばっちりメイクをしてもらって撮影。カメラは先の検証大会で使用させていただいたP-65(5300万画素!)をお借りして湯浅氏が撮影です。

次はお待ちかねの「エア-ブラシを使用したメイク」元々は特殊メイクに使用されていたメイク法で、歌手の「アユ」さんのジャケット写真などはこのような手法がとられていたと言うことです。今回はこの方法をノーマルメイクに使用してどれだけの効果が上がるか、という実験になります。下地の作り方(暖めて潤いを与えて、冷却する、など)には皆関心があるようです。普段メイク法などは知らない人間がほとんど(皆男性だしね)なので、興味津々です。エアーブラシによるファウンデーションがきわめて薄いため、まず下地を整える事が肝心だそうです。下地が出来ると、エアーブラシの登場ですが、これが小さい!びっくりするくらいコンパクトで、しかも充電式で10分は持つそうで、一人分のメイクには十分だそうです。

普通は四角い「コンプレッサー」を想像するのですが、今回はそれと違いとてもかわいいものです。肌荒れやアトピーなども結構消えて行くのだそうです。こつは表面の油分を十分に落とすこと。スチーム(それも精製水を使うのだそうです)を十分に与えて顔に潤いを与えるのだそうです。更に冷却してクリームを塗ります。筆を使う事で均一に、更にエアーブラシでファウンデーションを使う事で更に細かく仕上げることが出来るのだそうです。また、エアーブラシは目の周りには使用しづらいので先に目のあたりを作ってしまうのだそうです。まつげにマスカラをする際にビューラーではなくスプーンを使用して綺麗に上げるというスパーテクニックも披露されました。

ティッシュペーパーにうっすら乗ったファンデーション。右側が比較的集中して吹いているのだが、それでも薄いのです。エアーブラシをノーマルメイクに使用するメリットはなんと言っても「薄く付く」事につきるようです。

1.エアーブラシを使用するので、使用する塗料?が少なくて済む
2.そのため、この上に乗るファウンデーションやパウダーの量が減るので、メイクが「軽い」。ほとんどのモデルさんが、異口同音だそうです。
3.グラデーションが綺麗なので傷隠しが容易
4.超高画素カメラでもとらえきれないほど細かい微粒子なので、染めたようなメイクになる
5.高彩度メイクも容易

とまとめられそうです。

それでは実写の比較です。以下の画像はクラージュさんのご厚意で掲載しています。ご自分の検証にだけご使用ください。検証以外の用途、あるいは印刷用途などに使用すること、転載などを禁止いたします。

左が従来のメイク法で右がエアーブラシを導入したメイク法。この大きさでは差がほとんど分かりません。

鼻の頭の産毛が生えているところ、鼻の脇の毛穴などの見え方がかなり異なっています。

あごのしたの産毛、唇の上の毛穴のあたり、同じモデルさん、同じデジカメで撮影したとは思えないほどの差が出ています。彼女は元々が綺麗な肌で、傷などが少ないのですが、それでも小さなニキビなどの目立ち方が違うようです。

最後に、強烈な色彩をアイシャドウで乗せていただきました。100%の画像で見ると、見事に肌に付いている…染まっているような仕上がりを実感していただけると思います。肌の滑らかも見事で、後処理による修整がほとんど必要なく感じます。ちなみに上の目の部分アップは左の画像の部分にあたります。5000万画素超のデジタルカメラの真骨頂をまざまざと見せつけられた気がする検証会でした。

通常のメイクと、エアーブラシを使用したメイクの仕上がりには大きな差があることをこの検証会で確認できました。ビューティやムービーがらみで、その後の処理に苦労されていた方々! 隅田さんにメイクを依頼すれば撮影後の画像処理がとても楽になりますよ。撮影されたデータ自体に修正しなければならない部分が少なく、肌はきわめて滑らかなのですから!

隅田さんへのアクセスは以下からどうぞ!
sumitaku35@nifty.com
090-3097-6896 
(03) 3494 6690

 
 
今月は懇親会のレポートはありません。レポーターが写真も撮らずに飲んで食っていたからです。懇親会はお馴染みネプチューン。懇親会だけで皆お腹がいっぱいで、健康的に二次会へも行かずに解散でした。いやあ…。今回も楽しかったですね。
今月の一枚目
 
 

どれを今月の一枚にするのか迷いましたが、今回はこれ!
昨年、水戸のどぶ汁ツアーに持ち込んだ2400万画素のカメラで撮影した画像の前に立つ早川廣行氏と菊池君。プリントはPX-H10000! 15-16分くらいで出力されたように記憶しています。

もう一枚はこれ。目にシャドウをブラシで入れるために眉の形をしたマスキングを使っていました。この写真はムービーで記録していた塾生の吉村さんのデータからいただきました!

文: 鹿野 宏