電塾2009年6月定例勉強会レポート
 
 
「スタジオ用ストロボのデジタルフォト対応性を検証する」
 
 
第一部「恒例 良いもの・良いこと探し」 参加者全員
 
 

 恒例になった、幸せのおすそわけ。小さな幸せの報告は聞いていても嬉しい。今回私が一番幸せだったのは、参加者に女性がが多いこと。受講生にも、参加しているメーカーさんにも…たぶんこれまでの電塾の歴史の中でももっとも女性の数が多い電塾だったと思う。私はあまりいいネタを思いつけず一生懸命考えたが、マンションローンの借り換えのお話しをしてしまった。これも小さな幸せの一つ…。

 左の写真は怪しい仕掛けのデジカメを自己紹介の最中に準備している「ゼンさん」。本来は手ぶれを止めたいデジタルカメラで手ぶれ写真を楽しもうという輪ゴムカメラ。このカメラの正体を知りたい方はこのURL へ。
http://www.youtube.com/watch?v=ozb2icruQpY

 右の写真は運営委員の菊池君。前回の講義で話題になったQTVRの画像が茨城県大子町の紹介ページに早速採用されたと言うことで、ご紹介。実は私もノーダル忍者を購入したのだが、まだ人様にお見せできる画像を完成させていないのです。「袋田の滝360°パノラマ」!。是非アクセスしてください!
http://www.town.daigo.ibaraki.jp/


珍しく女性参加者の多い電塾!

 
 
第二部 「PENTAX ミドルクラス1眼レフデジタルカメラのご紹介」
HOYAペンタックス 前川様。
 
 

 本来は担当者が異なるらしいのですが、あまりの人気で機材共々出払ってしまい、今回は前川様が代理でご紹介、という事でした。

 なんと言ってもペンタックスらしさを最前面に打ち出してきたK20の上位機という位置付けです。
ペンタックスらしさとは
1.長く使える
2.一番小さい高級機
3.小さくて高機能
4.シールド防塵防滴
等々をあげていました。
特に一番小さくて高機能、単に小さいのではなく、手になじむ小型化、というのが私にとってのペンタックス。実際に本機にさわり、まさしくそれを感じる事が出来、これまでもたつき感のあった合焦性能は、格段に良くなったように感じました。
 シールド、防滴防塵性能などのお話しをお伺いして、LXに似ているなあと感じたのはLXが私が一番長く愛用したフィルムタイプの35mmカメラだったからかもしれません。ほかにもマグネシウム外装、ステンレスシャーシ、-10°の耐寒保証などがあげられますが、カメラとしての基本性能がとても向上したものだと見受けられます。

 画像の仕上げに関しては、至れり尽くせりの仕上がりプリセットを持っているようです。…私にはあまり必要のない機能ですが、アマチュアにとっては楽しい機能だと思います。残念ながら、まだ画像をテスト出来ていませんので、ピクセルの持つ能力、色分解能、解像力、拡大可能限界、色再現力、諧調再現力、ダイナミックレンジなどは未検証ですが、私が持っているK-mの性能は「ついにここまできたか」と思わせる完成感を持っていて、そのダイナミックレンジはD3より広かったのです。それらを考え合わせると、1500万画素とAPS-Cサイズにしてはかなりの無理をしている画素数ですが、きっとK-mを超す能力を秘めているでしょう。テスト出来る日が楽しみです。

やはり小さいことはいいことです。特に日本人には!

ゴミ取りもがんばっています!

これだけコンパクトなのに100%視野率を誇ります。あまり明るくないですが、ピントの山を見分けやすいのは嬉しいことです。その仕掛けは後ほど。

 

更に独自機能として、イメージセンサを動かすことにより、「自動水平補正機能」、(約1〜2o)「構図修正機能」(センサー面制御のシフト、ライズ機能です!さすがにティルト機能はなかったが、いつかやってほしいものです。これでパンフォーカス撮影が簡単にできるようになる)また、この機構によりペンタプリズムの精密な位置あわせをイメージセンサー側に持ってくることが出来、これも小型化に大きく寄与しているのだそうです。ファインダー視野率が100%なのに、これだけ頭が低いのはすごいですよね。

 
 
第三部 「スタジオ用ストロボのデジタルフォト対応性を検証する」
電塾ハードウエア部担当運営委員(阿部、玉内、金田)
 
 

 たぶん電塾以外では絶対に行われないだろう大検証大会が最後のプログラムです。実際に行うと時間がかかりすぎるので検証は事前に行われ、その結果の報告という形を取りました。検証にお手伝いいただいたのは大手ストロボメーカーのブロンカラー(アガイ商事)様、Profoto様、そして検証用カメラに現在最高の性能を持つデジタルカメラ(あたしが思うに)を販売するシュリロ様です。豪華なラインナップを見ているだけで、ため息が出ます。

 まず検証に使用させていただいたメーカーの製品紹介です。ブロンカラー様のSCORO A2S/A4S、ミニコムRFS。プロフォト様のPro-8a Air、D1 Air。両機種とも出力変動による色温度変化が少なく、出力を絞って使用すれば驚くことに広範囲に色温度を変化させることが可能です。また、両機種ともワイアレスシンクロ、コンピュータからのフルコントロールを可能にしています。出力もSCOROがフル3200W、あるいは1600Wから3W。Pro-8がフルの1200、あるいは2400Wから最小5Wまでと驚くほど広いパワーレシオを持っています。また、上位機種はほとんどが3灯独立調光、または更に全体調光の能力も兼ね備えているそうです。すごいですよね。

 これらの光をとらえるために用意されたのがハッセルブラッドのH3DIIです。各メーカーの皆様のご協力に心から感謝いたします。

 本番は玉内、阿部両運営委員による、実証事件です。主なるテストは
閃光時間
色温度
光量
の三つ、がどれほど安定しているか、というもので、このために様々な機材が持ち込まれました。

特に玉内氏はこのために自費でオッシロスコープを購入、さらに人間の目に近い範囲で閃光時間を測定するためのブラックボックスも自作してというものすごい意気込みです。

色温度と光量の測定にはセコニックのC-500とL-758Dを使用。怪しい箱が玉内氏手製の感光装置。

垂直、水平だしを精密に行い、発 光部と距離を正しく設定するための機材も持ち込みです。特に直覚と180°を表示できるレーザー装置は複写撮影時にも役立ちそうです。私はこれに食いついてしまいましたが、皆さんも一生懸命に写真を撮っているのを見ると食いついたのは私だけではなさそうです。

左がワイアレスコントローラーでほとんどの操作を無線で可能にしている。
右は検証でストロボを発光させるアガイ商事さん。(これは手作業でした)

さて、その測定結果ですが、阿部氏から報告、解説があったのですが、実に驚くほどの精度で安定していたそうです。繰り返し精度や出力変化に伴う変化など、測定結果のグラフをいくつか見せていただきましたが、あまりに出来が良すぎて話題が少ない、と嘆いておられました。ワンセットで120〜150万円というかなり高価なシステムですが、その値段に見合うだけのものを持っていると言っていいようです。

また、色温度とミレッド換算、Adobe Photoshop Lightroom IIバランシングフィルターとの換算表も公開されていました。ただ、ほんとに突っ込んで検証すると光量変化よりもやはり色温度変化の方がシビアであり、分校特性が変化しているようだという報告がありましたが、それも撮影時にはほとんど判別できない程度であるとしていました。

玉内氏からはオッシロスコープを使用した閃光時間の測定の結果報告とそのデモがありました。さすがにこちらも非常に高い精度を誇っています。しかし、波形を見ていると色んな事が分かるものなのですね。

その後のデモで、実際の測定の様子を拝見することが出来ました。各出力で色温度を変化させてみましたが、いずれも見事な結果を出し、参加者たちをうならせていました。

 今回の検証大会では、ほとんど「カタログスペックに謳われていることに間違いはない」というとてもシンプルな結論を導き出されましたが、それよりも、阿部、玉内の両氏のお話で、参加者は一日でストロボ話の雑学王、豆知識を山ほどお土産に持ち帰ることが出来たのではないでしょうか?ざっと書き出してみると…

光量を絞ると閃光時間が短くなる。  
短い波長はエネルギーが大きい。
青い光は閃光時間が短い。
閃光時間が長くなると赤い成分が増える。
発光ごとに波長も波形もわずかに動いている。
調光方式にはシリーズカット、一般的な電圧調光、コンデンサー調光、がある。
シリーズカットは余った電力を反転させてコンデンサーに戻す。
電圧調光は最大出力が最も高速閃光。また、分配することでも高速化できるがパワーレシオを変化させたときの色温度変化が大きい。
国産はほとんどがコンデンサー調光。
クリップオンタイプはオートでは最速。1/128は高速閃光。もっともシリーズカット方式がほとんどなので発光時間が短くなると、どんどん青くなる傾向を持っている。等々…。

 さらに、発光管の電極同士の距離、太さ、長さで閃光時間が変わり、サークル管、直管、U時管、ぐるぐる巻いてるやつなどでも大きな変化があるそうです。

 初めて伺ったお話ですが、ストロボは近赤外線の低い方はカットされているけれども、900-920ナノに赤外光のピークを持っており、これが悪さをすることも結構あるのだそうな。一寸びっくりでした。

最後は内モンゴルからやってきたべっぴんさん(古い表現だね)、「ウドンゴア」ちゃんをモデルに高速チャージのストロボを使っての撮影大会で幕を閉めました。

ウドンゴアちゃんに懸命にポーズをつける玉内氏と金田氏。なんだか一生懸命なのはお父さんたちの方??

 発売前のK-7で撮影しているのはペンタックスさんです。

 
 
午前の部 「お馴染みマスター郡司独演会」
郡司秀明  電塾運営委員
 
 

デジタルフォト入門講座のトリは郡司さん。まるで鈴本演芸場のメニューのようなタイトルですが、最後にふさわしく色彩のお話しで飾ってくれました。来月からは新しい企画がスタートしますので、乞うご期待!!

 最初に、良く行われる比較で、白、黒、グレイ上に配置された全く同一のチャートを表示しました。これを見ると背景が白のチャートは暗く、背景が黒になっているチャートはかなり明るく見えてしまいますよね。
 また、背景がグレイの上に置かれた、かすかに色相に差がある四角いポイントは「人間の目の高度な比較能力」を持って判定できます。しかしその背景に鮮やかな色彩をランダムに置いてしまうと、全く見分けがつかなくなってしまいます。
 日本人と西洋人の目の色彩弁別能力を比較した時にどちらが高いか、という問題も出されました。答えは「西洋人の方が遙かに優れている」。その理由は黒い瞳にあり、彼らに比較して私たちは最初からサングラスをして勝負しているようなものだと言います。それ故、十分に明るい場所に行くと今度は逆になる。彼らには眩しすぎるんですね。とかく、「目に見えるもの」を判定するのは、それをどう感じているかを外側からはなかなかうかがい知ることがで着ないためにとても難しいのです。目の色素の違いや加齢による黄ばみ、生活条件や環境、民族的な差も含まれ、てくるとなると私なんぞにはお手上げです。
 さて、そのような「外部から判定しにくい人間が感じる色彩」に対して「色の物差し」を準備しようとしているところが、CIE 国際照明委員会と言うところです。数学的に等幅で規定された色の地図に心理的要素を加味して色彩を指定します。その方法は4年に1回、「平均的な個人」を特定してサンプリングするのだそうです。以前は青い目の人間だけでしたが、最近は茶色や黒い瞳の民族もその中に少数!組み入れられいるそうです。

CIEが制定しているCIE XYZ表色系(等色関数)を色の地図だと仮定します。ただし、この地図は実際の面積や距離、方向性がむちゃくちゃです。

その発展系がxy色度図であり、これがメルカトール図法で書かれた世界地図だと言います。メルカトル図法は経度と緯度を格子状に配置させ、緯線と経線の比率を一定に保ったもことにより、出発地と目的地との間に直線を引いて経線となす角度を測り、コンパスを見ながら常にその角度へ進むようにすれば必ず目的地に到着するという利点を持っています。多くの場合実際の最短距離から大きく外れるが、舵取りが容易であることから、羅針盤を使って航海するためには最適な図法だったそうです。ただし、面積や距離が正確なのは赤道付近だけで、それ以外、特に、南極、北極では距離も面積もむちゃくちゃな表示になってしまいます。これが、問題でした。※地図に関する記述はウィキペディアより仕入れました。

これを更に修正したものがPhotoshop、CMSが採用しているL*a*b*です。(筆者の会社の名前もこれに由来しています)これは地球儀にたとえられ、距離、方向性、面積も全ての座標が正確に表示されているのです。(もちろん立体ですので平面に置き換えることができないのが難点です)。

 通常私たちが何の疑問もなく採用している光の3原色説も実はニュートン以前には4原色、5原色説もあったようです。虹の色を数えると、私は6色くらいしか弁別できませんが通常は7色と言われます。でも国によっては虹は5色だったり6色と言われたりしています。現在は色はRGB3原色という説が普遍的ですが、Labの場合は反対色をクロスさせたa(赤から緑の色差)とb(黄色から青方向の色差)チャンネルの色彩で表します。私としてはRGBよりもわかりやすい気がするのですが、L100や0の地点にもabの座標があるのがまるでメルカトール図法…。閑話休題

人間が色彩を弁別する際にはL錐体とM錐体の色彩を測定してるのだそうです。詳しいことを書いているとこれも本を一冊書くことになりそうなので割愛します(本当は格だけの実力がない)が、これはaとbの色差で色の位置を決定しているLabと考え方が似ています。光の性質である電磁波…分光分布である事から、光を共有するためには分光波長分布スペクトルで記録するとこで、光源を特定。本来の性質と同じ方法論を用いることでより正確な(固有の現象…条件に振り回されない)再現が可能になるだろうという事もお話しされていました。

レポートするには私の知識ではおぼつかないことも多く、(本人は簡単にお話ししたとおっしゃってますが…とてもとても…)まともにレポートできませんが、画像の記録と再利用に関する常識は新しい次元に入ろうとしているのかもしれません。

 左の写真は先月関西電塾のメンバーと実施した撮影、即現場で製本のし上がり品で、かなりこのお話にも脱線しておられました。

 
 
今月の懇親会
 
 

懇親会は私が大好きな「ネプチューン」(実はお昼もここのお弁当でした)。お魚とパスタ、ワインがおいしいお店。早川塾長の一押しのお店です。

たぶん25人くらいいらっしゃったと思いますが、おいしいお料理に舌鼓をうちながら、たっぷりデジタル談義に花を咲かせていました。

最後の一枚は本日のデザート。懇親会が「ネプチューン」ですと、皆さんお腹がいっぱいであまり二次会には行かなくなる傾向があるようです。私もそうでしたが一緒に帰ったワイドトレードの折笠さんが私の自宅から歩いて3分くらいのところに住んでいるというので、ついついビールを追加しにもう一件寄ってしまいました。

 
 
今月の一枚目
 
 

ウドンゴアちゃん。かわいいですね!

文: 鹿野 宏