第68回九州電塾セミナーレポート

九州電塾13-07


梅雨が開け、山笠が終わって夏を迎えた博多。7月20日今回も九州産業大学芸術学部視聴覚教室をお借りしてのセミナーです。今回の先生はいつもは塾生として毎回熱心に聴講され、今月から九州電塾の新しい運営員になっていただいた荒川さんです。今回は新しい技術の紹介です。まずはGigaPan。皆さんGigaPanご存知でしょうか、その名前がヒント、Giga(10億)のPan(パノラマ)です。これはNASAとアメリカカーネギーメロン大学が開発した宇宙探査用の撮影装置を民生用に発売した自動雲台です。荒川さんが今回見せてくれたのは上位機種のGigaPan EPIC Pro。GigaPan EPIC Proは1眼レフと望遠レンズの使用を考えられた機種で、望遠レンズを使用して数百枚の撮影を行う為のシステムなので、大きさもそれなりにありますが、非常に頑丈に作られていて、コントロールも細かく制御できます。撮影は撮影レンズの画角を事前にライブビューで確認して仰角を入力し、オーバーラップの割合をセット、そして撮影する風景等の左上と右下位置をセットすれば自動的に縦横の枚数を計算して撮影が行われます。基本的にすべてはマニュアル、そして撮影後画像をタイリングしていく訳ですが、GigaPan社でもGigaPanStitch.Efxを販売していますが、出来ればKolor社のAutoPanoGigaを使用した方が良いと思います。値段は高いですが、パノラマ以外にもQVRやパノラマムービーでも使用できます。また早川塾長はこのGigaPanのシステムを利用して絵画や壁画等アーカイブの機材として、利用されています。今までは高価なハイエンドデジタルバックが必要でしたが、このシステムを利用しカメラをSigmaDP-3にすることにより演算のない高画質で一切モアレ等の起きないアーカイブデータを作成されていました。荒川さんも色々な画像を撮影されていたので皆さんで見せていただきましたが、まるで風景を双眼鏡でのぞいたようなことをモニタで再現することができました。私もミラーレス等を想定したGigaPan EPIC 100を買って風景等を撮影しています。ぜひこのサイトをご覧になって見てください。次に荒川さんに見せていただいたのがカイトフォトです。これは凧にカメラをつけて空撮を行うことなんですが、日本でも多くの人がこれで撮影して楽しんでいるようですが、プロで使用されているのは少ないみたいです。なぜかというと風がないと飛ばない、コントロールが難しい、ひもが写ってしまう等があるからです。又操作をしている人間ももちろん写るそうですが、カイトフォトの世界では、操作している人を入れることが重要なんだそうです。これは趣味であれば理解できるような気がします。でもProの世界では必要ないことですね。そのため気球も試みたそうですが、ヘリウムの値段が高く、またボンベの問題等運用には問題があるそうです。そこで今一番使われているのがポール撮影だそうです。これは長尺の竿を使用して高い位置からの撮影を行うということで、高さは高くても6〜7mぐらいにはなりますが、簡単で、安全コントロールも楽で、画像確認はHDMI端子を利用して手元のモニタに画像を映して、長いレリーズを利用して撮影してクライアントにも満足していただいているそうです。今はWiFiを使用したカメラやシステムもでてきているので、これを利用すればコントロールも楽になって色々使えそうです。荒川さん色々工夫されていて感心しました。最後に今色々テストしているのがGoPro3だそうで、撮影された画像を見せていただきましたが、露出・ピントすべてオートしか出来ませんがこれがなかなか優秀でハイライトの飛びも良く押さえられていて、すごく奇麗な画像を提供してくれるようです。特に奇麗だったのが、名水百選の阿蘇白川水源の中にGoPro3を入れて撮影されていた絵です。まるでアクアリウムの中を見ているような奇麗なムービーでした。これ僕も欲しくて、6台買ってしてみたいことがあります。これは今度お見せできればと思います。
次に近藤さんがNikonD800とCanon5DMarkIIIの比較を行っていただきましたが、思っていた以上に違いがない、又近藤さんのテストではRAWとJPGで同時記録されているのに明らかにJPGのピントが悪いことが判明、これは次回にもう一度報告ということで皆さんと色々意見交換を行いました。
最後に的場さんから発光間隔の早いストロボの紹介を行ってもらいました。これ秒4コマぐらいの撮影が出力30wぐらいで可能だったので、値段が安ければ非常に良いのですが、やはりまだ高い、デジタルカメラに移行して感度が比較的高くても撮影が出来るようになったので、少ない光量での撮影が多くなりました。でもプロ用ストロボは未だ出力が高すぎます。発光管は一度の多発光では良い物を使用する必要がありますが、出力は出来るだけ小さくしたい、そしてそうするとモデリングライトが撮影にも影響してくるので、LEDでのモデリングにしてほしい、もちろん高い物ではもう存在してはいますが、安いモノブロックタイプでこれがでてくれば良いんですが、未だないみたいです。
8月の九州電塾セミナーはお休みで次回は9月になります。

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