第54回九州電塾セミナーレポート

九州電塾12-03

3月17日今期最後の電塾を九州産業大学の教室をお借りして行いました。
今回のテーマは動画、講師は九州電塾運営委員、九州ビジュアルアーツの阿部さんと、(株)ドゥ・ファクトリー 上原健嗣氏にお願いしました。
今回のテーマは動画ですが、皆さん関心が高いのか、遠くは鹿児島・広島からたくさんの方が受講に来られました。
まず第1部は阿部さんが動画の基礎です。
動画と静止画の違いは、言葉にも現れていますが、動画には動きと、音が加わります。時間軸というものが存在するんです。僕らカメラマンはフレームを決めますが、動画はフレーム中で被写体が動き、フレームが被写体によって移動します。ここを良く理解しておかないといけません。僕たちは露出をかえる時シャッターと絞りを動かしますが、動画ではシャッターを変更することより絞りでコントロールすることが多くなります。絞りのことを動画の世界では、アイリスと呼ぶそうです。露出の決定はどうするのか、ビデオでCM等を収録する時は、VEというエンジニアがいてオシロスコープとベクトルスコープで確認していました。フィルムではスポットメータで露出を測定しポラで確認していました。デジタル1眼ではヒストグラムをチェックしモニタ画面で確認するしかないようです。動画には他に色々聞き慣れない言葉も出てきます。フレームレートこれは1秒間に撮影するコマ数のことで30pとか60p・24pなどと表す数字のことです。これには表示サイズも関係してきます。フルHDやHD・SDなどのことです。HDは皆さんご存知のハイビジョンのことですが、SDはスタンダードの意味で640×480ピクセルまたは720×480ピクセルのことです。またフレームレートの関係でデジタル1眼カメラの場合はフレームレート以下でのシャッタースピードは選択できないということになります。またシャッタースピードによっては照明モワレが発生します。これはフリッカーのことですが、シャッタースピードの倍数で発生を低減できるそうです。
動画にはさらにスチルカメラマンにわかりにくい保存形式がありデジタル1眼でよく使用するのはMOV・AVCHDなどではないでしょうか、さらにこれにコーデック(圧縮)がくわわり、複雑なものにしています。その辺を阿部さんが分かりやすく説明してもらいました。圧縮のことをエンコード、再生をデコードと言うそうです。また空間圧縮と時間圧縮がありそれがMPEG4でありH.264など色々存在します。その他にもよく使われるAVI・WMP・FLVなどこれは時代とともに新しいものが発表されますので、さらに複雑なものになっているみたいです。もう一つ大事な要素が音です。音は空気があって初めて伝わります。これは今のデジタル1眼に内蔵したマイクでは仕事では、まず使用できないので、ガンマイクを使用するなり、ピンマイクを使用し、大事な音の場合はやはり音の専門家にまかした方が良いのではということでした。
第2部は実際に動画での撮影をされている上原さんによる講義をしていただきました。まず撮影はスチルカメラマンもムービーカメラマンも撮るということに関してはできると思います。難しくなるのがどう編集するのか、これは練習の為にはMacではiMovie、WindowsではAdobe Premiere Elementsがあるので、これでまずなれることが重要だということです。動画では素材のことをクリップというそうですが、まずクリップをブラウザによみこみ、必要なクリップをタイムライン上にドラッグしてつないでいく、これが動画の編集です。後は必要に応じてクリップとクリップの間にエフェクトをつけていきます。ただしエフェクトは控えめに、ムービーを編集し始めるとやたらエフェクトをかけまくりますが、これは少し使うと効果的ですが、常に画面が動くと見苦しく、不快になってきます。
又収録するときに利用する媒体にあわせて使用サイズ(FullHD・HD・SD)を決めておいた方が作業も早いので、無駄なディスクスペースを使用しない為にも使用サイズに合わせた収録を心がけた方が良いようです。あと第1部の阿部さんからも話がありましたがファイルのことを理解しておくことが必要です。動画の形式には、僕らが一般に使用している形式よりさらに複雑で常に新しい形式が登場しているそうです。また動画ではまずコンテナ形式を理解しておかなくてはいけません、このコンテナの中にコーデックや保存形式が内包され僕らが一般的に使っているファイルになっているからです。例えばMOV、これもファイル形式ではなくコンテナ形式です。この中にコーデックとしてMPEG・H.264やMP3・AAC等映像と音の圧縮正式が加わっています。コンテナ形式としてはその他AVI.MP4・ASF・FLV・RealMedia等があり複雑になっています。皆さん普段よく使うアップルのQuickTimeはマルチメディアの技術であってファイルフォーマットやコンテナでないと言うことを知っておいてください。Macを使用する人がこの業界では多いのでデータをクライアント等に確認として渡す時、よく考えて渡さないと問題が発生することがよくあります。ほとんどの方はWindousを使用しています。そしてWindousのデフォルトはWMP(ウインドウズメディアプレーヤ)です。基本的にMacでWMPの書き出しはできません。プラグインで可能のようですが、あまり画質が良くないようです。ではクライアントの確認用はどうすれば良いのか、これはDVDビデオで渡すのが、一番確実だそうです。DVDビデオならばPCでもテレビでも見ることができます。書き出しに時間がかかることが難点ですが短い動画であれば、短時間での書き出しができます。音に関しては第1部でもありましたが、大事な収録は今のデジタル1眼に同時記録するのは仕事では難しいということでした。音にはSE(効果音・環境音)と音声がありこれを分離収録作成してミキサーで音量を調整が必要です。音声収録にもマイクの種類(ガンマイク・ピンマイク等)用途に応じての切り替えが必要になってきます。
動画にはインターレースとプログレッシブがあります。これは線で画像を表示するか、面で表示するかの違いで、昔ブラウン管の時代、ブラウン管の管面撮影をすると出ていた横縞あれがインターレスの線です。プログレッシブは、ぱらぱら漫画のように、1枚の画像を撮影、再生することを言います。よくカメラの仕様書に30pとか60p ・60iと記載されていますがpがプログレッシブでiがインターレースのことです。インターレースもなだらかな表現をするので悪い訳ではないそうです。また高速でプログレッシブの収録(早いシャッタースピード)を使用すると動きがカクカクなるのであまり早いシャッタースピードは使用しない方が良いようです。
今回最後に飛び入りで、本部電塾の鹿野さんがこられていましたので、とっておきの手作りストロボリフレクターを皆さんに説明していただきました。これ簡単でクリップオンストロボに簡単に装着でき、優れものでした。僕も早速日曜日にハンズで材料買ってきて作っちゃいました。鹿野さんありがとうございます。また鹿野さんが第1部、2部で皆さんからの質問にも答えていただき、今回凄く勉強になったと思います。今期はこれで最後ですが、4月からは新年度ということで、又新たに年間スケジュールを考えて行っていきたいと思います。