2012年2月 電塾定例勉強会 in PAGE2012 レポート
 
 
2012年最初の電塾は毎年恒例となった池袋、サンシャインシティのセミナールームでPAGE2012のイベントとして開催されました。今年最初のレポートをお届けいたします。
 
 

第一部 個別プロファイルでの運用

電塾運営委員 上原ゼンジ 電塾会友 庄司正幸

 

 
 

http://denjuku.gr.jp/seminar/_images/IMG_1731.jpgこ こで言う個別プロファイルとは、特定の用紙を使い、特定の印刷機で印刷を行う場合の専用プロファイルのこと。従来はCMYKへの色変換では汎用的な質のい いプロファイルを使用することが推奨されてきたが、上原氏の著作では個別プロファイルを作るカラーマネージメントが行われた。なぜ個別プロファイルを作る 必要があったのか? またその注意点は?

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個別プロファイルが作成されたのは、「写真の色補正・加工に強くなる〜レタッチ&カラーマネージメント知っておきたい97の知識と技」(技術評論社)という本のケース。

http://gihyo.jp/book/2011/978-4-7741-4888-5

レタッチの本なのである程度の印刷のクオリティーが要求される。しかし、採用された用紙が微塗工紙だったために、うまく印刷物で色や階調の再現がさ れるかという不安があった。そこで、庄司正幸氏がプロファイルを作成し、そのプロファイルを使ってCMYKへの変換を行うことになった。

印刷に使われる用紙の種類として塗工紙と呼ばれるものがある。これは用紙に塗料を塗布することにより、美観や平滑性を高めた紙のことだが、その塗布 量の違いにより、アート紙、コート紙、軽量コート紙、微塗工紙などの種類がある。微塗工紙では塗布量が少なく、アート紙やコート紙と比べると色再現領域は 狭くなるという傾向がある。

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本 来カラーマネージメントではメディアにあった色変換がなされるべきである。しかし、微塗工紙用の質のいいプロファイルというのは残念ながら公開されていな い。そこでコート紙用のプロファイルである「Japan Color 2001 Coated」を使って変換するというケースが多いが、この場合プロファイルと用紙が合っていないために、いい結果は得られない。

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コー ト紙用のプロファイルで変換をかけたデータで微塗工紙に印刷をすると成り行きで色再現域は圧縮されてしまい、全体に彩度や明度の下がった、沈んだイメージ の印刷物になってしまう。一方微塗工紙用のプロファイルを作成すれば、色再現域自体は変化しないが、共通するカラースペースの色はマッチするので、モニタ での印象に近づくことになる。実際の刷り上がりもそれなりに満足できるものになった、とのこと。

 

●プロファイル作成上の注意点など

http://denjuku.gr.jp/seminar/_images/IMG_1760.jpg庄 司正幸氏からは実際に個別プロファイルを作成する場合の注意点などが報告された。プロファイル作成は実際に本番で刷る印刷機でカラーチャートを刷ってそれ を測定。測定した結果からプロファイルを作成し、エディットする。完成したプロファイルを使って見本の印刷。結果がよければ、そのプロファイルを使って印 刷用に色変換を行う、という手順がとられる。

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本 来汎用的なプロファイルが利用されるのは、きちんとしたプロファイルの作成にはスキルを要し、プロファイル作成に失敗すると、変換しただけで画質の劣化を 引き起こすような場合もあるためだ。そこで色差ばかりではなく、階調再現性にも留意しながらプロファイルは作らなければならない。

庄司氏は今回の報告のためにプロファイルの変換前と変換後でどのように色が変わるのかを視覚化できるツールを作成して披露してくれた。このツールはLChを横側から見ることができ、各色相ごとに明度と彩度がどう変化するのかということを確認することができる。

狭い色再現域へ変換した場合、元の色からの変化は大きくなるが、その場合、色相、彩度、明度の何を優先するのかというのは、人の見た目での判断が重 要になる。カラーマネージメントというと機械的に色を一致させるようなイメージもあるが、実際には、人の感覚を頼りにした編集部分がかなり含まれるのだと いうことが、このツールによりよく分かった。

通常のコート紙に枚葉機で印刷をする場合などは、従来と同様汎用的なプロファイルを使うことが望ましいが、あまり紙質の良くない紙できちんと色のコントロールがしたい、といった場合には、個別プロファイルでの運用というのも選択肢に入れて良さそうだ。

◇変換後の色の動きをLCh Graphで確認

以下は庄司氏が作ったツールのキャプチャで、RGBからCMYKに変換した後の色の変化を示している。元は両方ともAdobe RGBで、プロファイルは上がJapan Color 2001 Coated(コート紙)で下が微塗工紙用に作成したもの。グラフ上では縦軸が明度を示し、横軸が彩度を示しているが、左に行くほど彩度は落ちる。右側の 赤いドットがAdobe RGBで左側の緑のドットがCMYK変換後の色を示しているが、微塗工紙ではかなり左側に色が移動していることが確認できる。これは色再現域が狭く、彩度 が下がっていることを示している。

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             レポート 電塾運営委員 上原ゼンジ     写真 写真 電塾運営委員 谷口とものり

                                   

 

 
 

第2部 Adobe Photoshop Lightroom 4 β版公開!

株式会社アドビシステムズ 栃谷 宗央様    電塾運営委員 湯浅立志

 

 
 

 

20121月に公開されたAdobe Photoshop Lightroom 4 Beta版について、Adobeの栃谷さんから解説を頂きました。

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Adobe Photoshop Lightroom 4 Beta版(以下LR4Beta)はAdobeLabからダウンロードできます。AdobeLabAdobeの新しいアプリケーションなどをテストしているウェブサイトです。

製品として発売前のアプリケーション(ベータ版)をユーザーに公開して、バグを含め、使い勝手などをテストしてもらう目的で公開されています。

Lightroomは思い起こせばこのページの会場で過去何度もテーマに上がったアプリケーションでした。まだLightroomというアプリケーションが発売前、そのバージョン1からLightroomはフォトグラファーにとってどういうアプリケーションなのか?討論した思い出があります。そのLightroomも今回で4度目。電塾のメンバーにはPhotoshopを同じくらい思いのあるアプリケーションに育ったと思います。

LR4Betaの新機能の紹介とダウンロードは以下から。

Photoshop Lightroom 4パブリックベータ版

セミナーでは栃谷さんからアウトライン的なお話と、使う上での最重要な点、カメラキャリブレーションの処理をお話し頂きました。

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このLR4BetaからカメラRAWのバージョンが7に上がりました。それにより新機能も増えたのですが、今までとは若干違う処理になったため、仕上がりにも影響してきます。カメラキャリブレーションを2010に戻すことで、今までのLR3と同じ仕上がり、使い勝手になります。ここを踏まえて置かないと、今までのユーザーには単に使いにくいバージョンアップと思ってしまうでしょう。

この第2部の持ち時間は1時間。そのうちの前半30分で栃谷さん、後半30分で運営委員の湯浅が実際使っての解説をしました。

湯浅からはLR4Betaになって最も大きな変更点、現像の基本調整について解説しました。LR3までとは各調整スライダーが変わってしまい、旧バージョンのユーザーには戸惑いを感じさせる部分です。Adobeとしてもここの変更は大英断だったと思われます。なぜならPhotoshopCameraRAWも同じように変更されるだろうからです。(まだCS6は発表前だがAdobeからのSneakPreviewで公開されています。)

たぶん、Photoshopユーザーの戸惑いの方が大きいでしょう。でも、実際に使ってしまえば割に短期間で慣れます。最初はすごく抵抗のある部分ですが。

湯浅からはその他、ムービーの調整が出来るようになった点、ブラシツールで色温度、ノイズ処理がピンポイント的に修正できるようになったことなど、実例を挙げて解説しました。

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新機能のマップですが、マップ機能の解説にはネット環境が必要です。会場にはネット環境がなかったので、運営委員の山田さんからドコモの回線を借りての実演でした。ネットに繋がっていればかなり面白い機能です。個人的にはLR4Betaで最も気に入っている新機能でした。

http://denjuku.gr.jp/seminar/_images/IMG_1829.jpg最後にAdobe Revelの説明もしましたが、実演まで至らなかったので理解された人は少数だったでしょう。Adobe Revelに関してはクラウドなのですが、LR4Betaから簡単にアップロードでき、それの共有も非常に簡単なものです。個人的にも使っているので、この辺りのご紹介は再度電塾でもやりたいと思います。

Adobe Revel

その他、ソフトプルーフが出来るとか、フォトブックが出来るとか、たくさんの機能がありますが、時間切れ。あまりに短時間でのご紹介だったので、早口で分かりにくかったかもしれません。また製品版が出たときにご紹介できるチャンスがあるでしょう。

レポート 電塾運営委員 湯浅立志 写真 電塾運営委員 谷口とものり

 

 
 

第3部「5億画素の高精細画像も5秒でブラウズ!」

ご説明、担当  電塾運営委員 竹田ひろみ 阿部 充夫 シバタススム

 

 

 
 

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今回初お披露目となったこの超高解像度画像ビューアーは東北電塾の秋葉宣容氏が中 心となって開発されました。高精細な画像を簡単な使い方で、且つ高速に扱えないものか という要望を、カメラマンの立場から提案されたものです。


それに賛同した阿部充夫氏、シバタススム氏ら電塾メンバーと、株式会社コスモ・コンピューティングシステムのスタッフが実現に向けて尽力しました。


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このビューアーの特徴を表すのにシバタ氏は「今までの常識を打ち破る3つのG」とい うフレーズを使われました。例えば、3億画素の画像が僅か3秒で3Gの低速回線でも閲覧 出来る、というものです。

(実際には5~10億画素以上にも対応可能とのことです。) またパソコンが非力なスペックだとしても、迅速な表示が実現出来るそうです。

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当日のデモはNASAが公開している8000×8000ピクセル(6,400万画素)の衛星から撮 影された地球のJPGE画像などを使って行われました。

回線はWiMAXのルーターを使用。

ビューワーを使わずにこのような画像を開こうとするとデータ量が大きいために、い かにも重く1分前後かかってしまうことがあります。ところが、新開発のビューアーを使 うと、あっという間に画像が開き、ズーム操作も非常にスムーズです。

しかもこのビューアーの優れた点に、Internet ExplolerやSafariなどのブラウザで閲覧 する仕様のため、WinでもMacでも使用出来るといった高い汎用性があげられます。


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次にアップロードについて。

こ のブラウザはサーバーから画像を配信するために、そのサーバーにデータをアップロードする必要があります。 その手順は他のクラウドのサービス同様、まずアップする写真を選んで、ファイル名、キャプション、コピーライトを記述し、表示制御(アカウントによって、 画像を見せ るか見せないかを選択)を設定、公開URLを入力して送信となります。

こ の方法によりネットを経由して、全世界に配信することが出来ます。 また独自技術により、画像アップロード時の高速処理も実現されました。 スマホやタブレット型端末への対応は、既にandroid用の閲覧ソフトが完成。iOSについても対応可能で将来的には登場する予定になっています。 超高画素の画像のメリットとしては拡大した際の細部のでティールが鮮明に描写されるということがあげられますが、このビューアーでのズーム操作は端末に於 ける操作方法 に依存します。(例えばパソコンなら、マウスのホイールを使って。タッチパネルならピ ンチ&ズームという具合に。)

  その他、写真の背景色を黒・グレー・オレンジなどに変更可能にする機能が実装され

ています。


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活用用途については文化財記録の閲覧、スマホで新聞や電子書籍を読む、高解像度写 真のweb公開、著作権保護画像の公開などが想定されます。

最後にあげた著作権保護については、このビューアーではオリジナルの解像度の画像 はダウンロードが出来にくいシステムになっているので、大事なコンテンツの流用防止に 役立つと思われます。

早川塾長や阿部氏、米沢氏も近年インドのアジャンターの石窟寺院で壁画の高精細画 像のアーカイブ化の撮影に取り組まれています。

私も最近NASAとGoogleとBBCが共同で開発したロボットを使用し、広告や非営利の webサイトなどでGiagpixel Imageを用いた世界遺産や重要文化財の撮影を行いました。

今回紹介されたビューアーはまだα版ということですが、実用化されれば大学や美術館での普及が考えれています。


                                                         レポート 写真  電塾本部運営委員 染瀬直人

 

 
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