電塾 2008年2月定例勉強会『PAGE2008ジョイントセミナー』レポート
 
 

JPC/電塾/Hexachromeコンソーシアム/東西DTPエキスパートクラブ合同
「カラーマネージメント実践ルール & 広色域もアルデヨぉ」勉強会
2月8日(金)13:00-17:00(12:30開場)
池袋サンシャイン文化会館7F 704・705会議室
(予約なしの聴講自由、参加費無料で四時間ぶっ通し)
モデレーター:
早川廣行(電塾塾長)
郡司秀明(MD研究会会長/JPC副理事長)

2008年初めての電塾は恒例になったPAGE2008とジョイントする形で進められました。もっとも、今回は電塾ブースも用意され、初めて開催期間中を通して電塾参加のイベントもあわせて行われたのです。私は残念なことに別のセミナーが重なり、最終日だけ覗いたが、異様に人だかりがしていました。このブースは菊池君がレポートしてくれているので、こちらを参照してください。

電塾のセミナーはカラーマネージメント本の決定版として好評を博している株式会社ワークスコーポレーションから出版されている「図解 カラーマネージメント実践ルールブック」(http://www.wgn.co.jp/store/dat/3111/運営委員でもある郡司氏が中心になってまとめた)のそれぞれの執筆者であるMD研究会/JPCカラマネ委員会/電塾運営委員が集まって「カラーマネージメント実践ルールブック」の最新版!のエキスを伝授する、というもくろみです。合同セミナーにした理由はデジタル化こそボーダレス化であり、撮影/デザイン/印刷がバラバラにセミナーをやっても意味がないからです。ここだけしか聞けないマル秘話満載でした。

結果的には立ち見が出るほどの盛況で最大150人は会場にいたようです。
また「図解 カラーマネージメント実践ルールブック」には載っていないが、色彩を認識するスタンスを3原色ではなく、スペクトルとして物理的に素直に受け取ろうという試みの紹介もあり、興味は大きいものでした。今まで3原色では説明がつかなかった事柄が一気に解決するかもしれません。

早川塾長のご挨拶で始まりましたが、私は入り口で出たばかりの「デジタルフォト講座 BASIC」を株式会社 ワークスコーポレーションの花山さんと一緒に販売していたので、ちゃんと聞いていませんでした。ごめんなさい。でも、本の宣伝だけはしっかりとさせていただきました。当日はハンドキャリーで40部を持ち込んだのですが、見事に完売。参加者の1/4の方々が、購入してくれたことになります。皆様に感謝。

なお、電塾のセミナーは8日だけだったが、湯浅、永嶋、菊池、の3名の運営委員は別会場で、特に湯浅氏は3日間出っぱなしのデモンストレーションを行っていた。その様子は近々菊池運営委員がレポートをあげてくれると思う。こちらもいついっても黒山の人だかりだったらしい。

 
 

上原ゼンジ氏(JPCカラーマネージメント委員会副委員長)

上原氏はワークフロー全体に関して最初に全体を俯瞰してくださいました。30分程度ですべてを語ることは不可能ですが、撮影から最終製作物までの流れの中でPhotoshopのカラー設定、AdobeRGBなどが意味するもの、色度、ガンマ値などに関してお話をしてくださいました。その中にはCMを行っているつもりで実は陥りやすい落とし穴、トラブルなどに関しても解説をしてくれました。

 
 

玉内公一氏(電塾本部運営委員)(デジタルカメラハード)

デジタルカメラの仕組みから、各社の色作りの方向性、その操作方法などを解説。さらに現像処理まで丁寧にふれ、光がどうやってデジタルカメラの内部でデジタルデータに変換されていくのかということを優しく解説してくれました。ISO感度の実際に関しても鋭い切り口で解説されていたのが印象的です。

 
 

郡司秀明(分光Lab入稿実験)

また、途中ではモデレーターの郡司氏が直々に多バンドでスペクトルにより近い情報を取得し、それを直にLabに変換、そこから印刷用やWEB用のデータを取り出すというモデルを披露。近い未来はワークフローが劇的に変わるかもしれません。三原色から、多バンド化へと光をとらえる考え方が移行していく序章かも知れません。

写真は本文とは何の関係もありません。ただこれの方が喜ぶだろうなあ、と思って…。

 
 

日本サムソン株式会社 Choi Chris氏

LEDバックライトモニターの開発に関して講演し、「AdobeRGBに近い色域」から、「AdobeRGBを超える色域」を再現でき、しかも通常のディスプレイと大きな値段差がない製品の紹介もありました。バックライトが冷陰極管(蛍光灯の間接照明)ではなく、直接発光するLEDだからこそ、これだけの高い彩度でバランスを作ることができたのでしょう。その明瞭な画面は一度はまると病み付きです。その後に冷陰極管で光を拡散している通常のLCDを見ると、がっかりしてしまいます。ちょうどブラウン管からLCDに移行したときのようですね。国内メーカが躊躇しているうちにサムスンはどんどん攻勢をかけてきます。元々の自力はあるところだけに、他のメーカーもうかうかしていられません。

 
 

橋本 勝(株式会社NTTデータ/工学博士)

橋本博士は人間の目が色彩をとらえる仕組みや、スペクトルを始め、郡司氏が提案していた分光色再現を6バンドで実際に実現する仕組みを解説してくださいました。現在はワンショットでは難しいのですが2ショットであれば、3×2=6バンドの情報を一回のフィルター変換(都合シャターは二回切る)で撮影可能にできるそうで、既にこれは発売することが可能だそうです。残念ながら、動体は撮影できませんが、動かない商品なら問題なく撮影可能です。その威力は凄まじく、これまで苦労してきた赤の中の赤、ブルーとシアンとシアングリーンの差をいとも簡単に描き分けます。昨年から気になっていた技術…というより、考え方です。実はこれはJAGATコンファレンスD4として同日午前中にワールドインポートマートで開催される「広色域印刷の品質を追求する」-6分光画像で比較する-(http://www.jagat.or.jp/PAGE/2008/session/session_detail.asp?sh=3&se=17)のエキスとして紹介されました。

 
 

阿部充夫(電塾本部運営委員)

色ロスのないLab入稿での比較は、広色域印刷に新たな価値観を生むことと確信します。6バンドカメラを使用して作例を撮影した電塾運営委員の阿部充夫氏自ら撮影について語りました。特にフィルムの進化と対比させながらRGB三原色の弱点を浮き彫りにしました。ただ,それだけではなく,如何にその弱点を克服してきたかというお話も非常に興味をそそります。また,撮影光源にも造詣が深く,セリックという人口太陽灯光源は一度は使ってみたいものです。私たちが推奨しており,今は印刷のスタンダードになりつつあるAdobeRGBでさえ,記録できない色域に関しての考察もあり,結果、多バンド化することでそれらの問題点を一気に克服できる可能性を示唆していました。う〜ん。確かに12色相環ってあり得ないんだよね。レッドとパープルがつながるって…。波長は短波長から長波にいってしまって,帰らないんだもの…。

 
 

庄司正幸氏(MD研究会)

このあたりから、CMSのお話に戻ります。庄司氏は世界有数のICCプロファイラーで、プロファイルを作らせたらば右に出れるものがほんのわずか、という方です。私も東北電塾などでよくご一緒させていただいています。分光データのLabデータ変換や印刷物解析ももちろん彼が行っています。プロファイルの核心ノウハウに触れることができる、数少ない機会でした。特に印刷のプロファイル、名前もカーブもそっくりなのに、結果が見事に異なる場合もあるというのは初耳でした。

 
 

鹿野宏(電塾本部運営委員)

最後が筆者のレタッチ&プリント。既に時間は大幅にずれ込み、私が出たときには既に持ち時間が終了しているはずの時間でした。レタッチはそのティップスではなく、如何にデータ破壊を最小限にとどめて[トーンカーブ]をコントロールするのか、と[色相・彩度]のコントロールの肝は明度にある、ということをお伝えした。トンカーブをコントロールする情報はヒストグラムにあり、そのヒストグラムはどうやって作られるか、というデモは大いに受けたことがうれしい。(実はこれ、かなり苦労したもの)
後はPhotoshopからのカラーマネージメントにに則ったプリント方法。ここでは大沢氏が飛び入りをしてくださいました。

 
 
今月の一枚
 
 

訴えかけるような湯浅氏の表情と背後に怪しいフォトショッパー。撮影は菊池君?最後は東急ハンズ前の居酒屋で懇親会。ここにも60名くらいが参加し、池袋の夜は盛り上がっていきました。

今回の写真は坂本綾様、菊池さん、染瀬 直人さんにいただいたもので構成しました。写真のご提供、ありがとうございました。それにしても坂本さん、写真が上手。脱帽です。

文:鹿野 宏