電塾 2007年11月定例勉強会レポート
 
 
最新デジタルカメラ特集
 
 
第一部 自己紹介&自己主張の時間 参加者全員
 
 

11月度勉強会は有明で行われました。

久しぶりにレポートを担当いたします湯浅です。よろしくお願いいたします。

朝10時からは『デジタルフォト入門講座2007年版第8回」です。

『カラーマネージメント実践ルールブック』を参考に執筆者が解説するという、何とも贅沢な時間です。この日は早川さん、永嶋さん、阿部さん、玉内さん、鹿野さん、金田さん、そして僕と、担当ページ部分を解説しました。

午後からは本編の勉強会です。

まずは早川塾長からの挨拶。

来月は年末恒例の大勉強会です。今年は会場を初台のアップル本社をお借りして開かれます。例年のスタジオ恵比寿で開かれていたときとはまた違った雰囲気になるでしょう。会場が限られている関係上、セミナーをクラス分けで2個。それを時間帯で3グループ。合計6セッションのセミナーが予定されております。収容人数も限られておりますので、先着順の予約制を取らせていただきました。ご希望の方は早めの予約をお願いいたします。

セミナーに関して、詳細が知りたいというご意見も頂いておりますが、例年、詳細を事前に発表していることはなく、大まかなタイトルだけ決めて、内容は当日までに各担当者が練るというやり方です。あまり堅苦しく考えないで例年通りお祭り気分でいらしていただければ幸いです。

詳細はご案内のページをご覧下さい。

自己紹介ではこの日のタイトルの通り、各カメラメーカー様より開発の方、営業の方、広報の方など、いつもにまして大勢参加されていました。各社、自分たちの子供が初めて幼稚園に行くような、そんな感慨をお持ちのここ数ヶ月だったと思います。

ユーザーの一人としては次から次へと出てくる新型をどう捉えたらいいのか?買い換えの必要があるのか?金銭的な面も大きく、悩みはつきないですね。

 
 
第二部 ソニーα700とフォトモード搭載ブラビアのご紹介
ソニー デジタルイメージング事業本部AMC事業部 プロダクトリーダー 佐藤 様
ソニー デジタルイメージング事業本部AMC事業部 竹倉 様
ソニー デジタルイメージング事業本部AMC事業部 関根 様
ソニー デジタルイメージング事業本部AMC事業部 永井 様(司会)
 
 

まずはソニーα700のご紹介です。司会進行は電塾ファミリーの永井さん。永井さんの表情は晴れやかでした。

α100の発売後、多くの方から中級機はいつだ?とお問い合わせを頂いていたそうです。確かにプロユーザーから見ればα100を仕事で使えるか?と言うと難しいと言わざるを得なかったのですが。

本来なら更に上級機の、ウワサのフルサイズセンサー内蔵フラッグシップ機がどうなるか?それを見たい知りたいと言うところです。

ソニーのαシリーズの特徴としてはボディ内手ぶれ補正機能を持っているので、このボディにつくレンズならすべて手ぶれ補正になってしまうと言う点。このメリットは大きいですね。700は100に比較して2.5〜4段分の手ぶれ補正の機能向上が図られているとか。この手ぶれ補正に関しては実際に試してみないと分からない機能です。どんな人が撮っても100%大丈夫というものではないのでお試し頂くのが一番でしょう。

その他、AF関係では真ん中だけクロスセンサーを2個配置して、更にその横にF2.8のセンサーを配置するなど、 AF速さは100より1.7倍速いとされています。
また、書き込みスピードも速く、秒5コマでJPEGファインがメモリーカード一杯まで書き続けられたり、 デュアルスロットでメモステとCFカード、どちらでも使えたり、 マグネシウム外装採用、防塵防滴仕様。なんでも、ハイアマ機で一番軽いボディになっているそうです。

背面液晶はハイブリッド型の3インチ液晶(91万100ドット)で高精細です。ハイブリッド型とは透過型と反射型の二つの方式を組み合わせた方法と言うことで、日中の屋外でも見やすくなったということです。

ちゃんと縦位置にするとタテで表示されます。

ソニーならではの特徴として、カールツァイスレンズのLINE UPがあげられます。往年の名レンズとして名高いものですが、最新のデジカメでそのブランドが使えるというのは往年のマニアにはたまらないでしょう。

カールZeissフィルターはTスターコーティングを両面に施しているなど、贅沢なものです。口径が合えば他社メーカーのユーザーでも使えるので、それだけでもお求め下さい、とは竹倉さんからのセールストーク。

後半は持ち込んだ液晶テレビにα700を繋いで撮影画像をリビングのテレビで見るという提案です。

デジタルカメラとテレビ、そのどちらも自社で開発、販売しているのは日本国内では現在の所、ソニーと松下のみ。そんなカメラ専業メーカーにはないメリットを生かした提案がコレです。

プラビアはソニーの大型テレビのブランドですが、持ち込まれた新型は静止画を動画最適ではなくプレミアフォトモードと言って静止画に最適化された表示をするというものです。テレビはそれを自動的に判別、設定します。(ソニー製デジカメのみ対応)

テレビは放送信号を一般的な消費者に綺麗に見せるという大命題があります。その結果として色の誇張、シャープネスが行きすぎの感があります。スチルカメラでの画像に同じ処理をしてしまうと滑らかさが失われるので、スチル専用のPhotoモードを新設したものです。
現在はこのプレミアムフォト対応機が40インチ以上の新モデルですが、今後より増える予定です。

せっかく撮った写真、それをどう見せるか?どう楽しむか?その一つの提案がこの大型テレビでの鑑賞です。古い人なら思い出があると思いますが、8ミリフィルムが流行ったとき、どこか旅行など行ったあと、夜はその8ミリの映写をやったものです。僕も父親がはまっていた時期があったので、その思い出があります。

ホームムービーがビデオに変わり、家族団らんで撮ったビデオをテレビで見る時代になったと同じように、写真もデジタルカメラになり、テレビに写して家族で楽しむ時代になるのかも知れません。アルバムに貼って、みたいな保存は急激になくなる方向になるのでしょうか?

後半はブラビアのカタログが欲しいなど、テレビの話題で大盛り上がりでした。

 
 
第三部 オリンパスE-3
電塾 運営委員 山田久美夫
オリンパス株式会社 新規中核事業企画本部 新規事業開発部 筑後 様
 
 

 オリンパスからは満を持して登場のフラッグシップ機。E-3のご紹介です。E-1の発売後、次々の発売される中級機、初級機、、、それを歯がゆく思っておられたオリンパスファンも多いことでしょう。

E-3は待ちに待った、と言う言葉がまさに当てはまる、そんな新型機です。

奇しくもこの日はE-3のお披露目の日。朝から六本木の会場に行っていた山田さんと電塾ファミリーの筑後さんが、実機を持って駆けつけていただけました。

この日は運営員の山田さんからの紹介です。

E-3はフォーサーズのフラッグシップ機として発売されました。

プロユーザーも含めた写真愛好家の要求を満たして、過酷な使用環境にも耐え、高画質、信頼性を追及したオリンパスの最上のデジタル一眼レフカメラです。
新開発の11点全点ツインクロスセンサーによる世界最速を謳うAFや約5コマ/秒、1/8000秒のシャッターなど、先代に比べて性能向上を果たしています。
今回はレンズの良さもアピールしたイベントになっていたそうです。 
六本木のイベントでは上から水を掛けていたそうです。それだけ耐水性に自信を持っています。
実売20万弱(ボディのみ)の予想だそうですが、山田さんの感想としては、この良さは 触ってみないと分からない、とまで評価しています。
実際に使ってみてもAFは結構速い。ですが、当然合わないときもあるわけで、その評価はまだ、という感じでしょうか。
撮影された画像は、最大の特徴としてオリンパスブルー。このクセのある青が好きという人にはたまらない魅力です。レンズの描写はなかなか素晴らしく、100%拡大でも画面の隅々まで健闘しているようです。
驚く点は超音波モーターは独自開発と言うこと。特許でがんじがらめの技術のはずですが、独自でよくやれたと思います。

残念なのはフォーサーズなので、どうしても物理的にセンサーサイズが小さいのでノイズの点で厳しいという感想です。感覚としては 他社の最新APS-Cセンサーデジカメの1段くらい落ちる感じだそうです。

今回はレンズのLINE UPも充実してきたので、小型のシステムが必要だというカメラマンには強力な選択肢になるでしょう。

 
 
第4部 キヤノン EOS-1Ds Mark3のご紹介
電塾 運営委員 山田久美夫
 
 

 引き続き運営委員山田さんによる、キヤノンのフラッグシップ機、EOS-1Ds Mark 3のご紹介。

言うまでもなく35ミリフルサイズの1Dsシリーズのモデルチェンジです。市場予想価格は約90万、画素数は2110万画素、自社製Cモス、 デュアルデジック3、14ビット変換などなど、、、
山田さん曰く、、1Dsmk2を使っていた人は借金してでも欲しくなる、と言う言葉がすべてを表しています。
2と3の違いは画素数はもちろんのことながら、センサークリーニング機能、UDMA対応、デュアルスロットでの記録の自動切り替え、高感度1600でもノイズが少ない、 長時間露光が強くなっている、秒間5コマでそこそこの動きのある被写体にも対応できるようになった、、、などなど、かゆいところに手が届いたモデルチェンジになっているそうです。

画素数と共に当然増えたのはファイルサイズ、RAW画像1枚あたり約25MBものファイルサイズになります。これで毎秒5コマ撮れるわけですから、、、1秒ごとに100MB以上の容量を消費していくわけで、それの記録もそれなりの高速タイプのメディアが要求されます。当日のテスト機には山田さん所有の古い45倍速のCFが入っていましたが、恐ろしくバッファ開放に待たされました。

高いカメラを買うと他の機材もそれなりのモノを用意しないとなりません。メディアはUDMA対応が必須となるでしょう。レンズもそれなりの物が必要になり、データを収納するPC,HDDも、、綺麗な女性と付き合うと最終的にはかなり高い物につく、、とは山田さんの言葉です。

痛い目にあっても綺麗な女性と付き合ってみたいと思うのは僕だけ??

MK2ユーザーの僕ですが、ファインダー倍率が大きいので覗いた瞬間に広い、持ったときに軽いと感じました。操作系が1Dmk3から一新されましたが、併用は厳しいにせよ、いずれは慣れていくのでしょう。


山田さんのライフワーク(?)横浜みなとみらいの定点撮影での結果ですが、MK2より解像感の向上が見られたとのこと。これほどまでの解像感は、山田さんの定点撮影では過去にマミヤZDとフジDBPの2機種だけだったそうです。つまりはバックタイプ並の解像感ということです。
ただし、この性能を100%生かすにはレンズ性能の高いモノを使うしかないでしょう。
特にプレとピンぼけの確率が高く感じられたそうです。35ボディの見てくれだからと言って侮らずに大型の三脚にしっかり据えて撮らないと痛い目に合うようです。

長時間露光も優秀でノイズリダクションなしで撮ってもノイズが少ないとのこと。実際に5分くらいの夜間撮影でも驚くほど平気な写真が撮れたという報告でした。

また、RAW現像ソフトであるDPPがバージョンアップされ、新たにレンズの収差補正も付くなど、ソフト、ハード共々キヤノン製品が充実してきた今年の後半です。

 
 
第五部 ニコン D3/D300のご紹介
ニコン映像カンパニー 第1設計部第2設計課 古山 様
ニコン映像カンパニー 第1開発部第2開発課 宝珠山 様
ニコン映像カンパニー 第2設計部 稲留 様
ニコン映像カンパニー 第2設計部第2設計課 佐藤 様
ニコンカメラ販売 イメージングサポート部 プロサポートセンター 中嶋 様(司会)
 
 

 ニコンからはD3とD300の紹介です。司会は電塾ファミリーの中嶋さん。

ニコンからはこの日、写真のプレゼンター以外にも多くの方がいらしていただきました。総勢10名!!。力が入っています。

D3の発表は話題騒然でしたね。FXフォーマットという35フルサイズとほとんど同じサイズの撮像素子を、ニコンが初めて搭載したことで、プロユーザーなら知らない人はいないでしょう。

その大きい撮像素子の面積によりSn比の向上やダイナミックレンジの向上を果たしています。
特筆すべきは高感度側。常用出来る感度がISO6400で更にH1やH2で超高感度域までカバー。最高でISO25600の感度って、、、、前代未聞ですね。さぞやノイズだらけだろうと思ってその25600で撮ってみましたが、、、背面の液晶での拡大では、ノイズ感は分からない、気にならない感じでした。

フォーマットの切り替えも可能で、今までのデジタル専用レンズであるDXフォーマットにも対応しています。これは周りをトリミングしてDXフォーマット部分のみ記録するという物で、画素数は減りますが、その分連写性能が上がります。(秒間11コマ)

その他の基本性能もしっかりしていて、起動の速さ0.12秒、 レリーズタイムラグ37ミリセコンドと素晴らしいレスポンスです。

D300はそのDXフォーマット最高峰のデジタルカメラとして開発された物です。

レリーズタイムラグ45ミリセコンド、起動0.13とこちらもクィックレスポンス。
単体で秒6コマ、純正バッテリパックを付けると秒8コマになり、スポーツ、報道分野での使用を想定しています。

D300はセンサークリーニングを搭載しています。D3はなぜ搭載していないか?よく聞かれると言うことですが、、、残念なところです。


exspeedという画像処理コンセプトを搭載しているのは両機とも同じ。たぶん、これからのニコン機には搭載が増えていくでしょう。

ピクチャーコントロールというキヤノンで言うところのピクチャースタイルが搭載されました。キヤノン以外の他メーカーも同じようなコンセプトの色彩、トーンコントロール・プリセットを作っています。いろいろなプリセットがあるのは良いのですが、使う立場からすると、諸刃の刃、的な事もあります。風景モードで人を撮ってしまったとか、、、そのあたりの予防策は次の課題になるでしょう。

その他、新しいレンズの説明、ナノクリスタルコートなどの新技術の説明など盛りだくさんなプレゼンでした。

個人的な期待ではアオれるレンズの開発をしているようで、その発売が待たれます。

熱心な質問もあり、終了まで熱い時間が続きました。

 
 

ニコン映像カンパニー 映像カンパニー副プレジデント 後藤様

 この日のスペシャルなプレゼンターはこの方。

ここまでの会社の重役の方がこの勉強会にいらっしゃることは滅多にないでしょう。どれだけ、この新製品に力を入れているか?それがおわかりだと思います。

後藤さんのお話しでは、ライバルメーカーに追いつくために、やらなければならないことが山積みだったと言うこと。

その中から優先順位を付け、ここまで来ました、とおっしゃっていました。

ニコン全盛だったプロ写真業界でしたが、いつしかライバルメーカーに追いつかれてしまいました。

それを挽回するだけの力を持っているのがこの2機種という事。

メーカーのトップがこういう場にいらしてユーザーから直に意見を聞くという姿勢は素晴らしいと思いました。

また、これからもたくさんのメーカーがしのぎを削って良い製品を出してくれる、、と言うことが、僕たちプロカメラマン、写真家を含めて、写真界全体が盛り上がっていくのではないかと思います。

 
 
今月の一枚
 
 

勉強熱心だが、怪しいオジサンにしか見えない・・・

文: 湯浅立志