電塾 2006年3月定例勉強会レポート
 
 
『PMA報告と最新機器紹介』
 
 
第一部 自己紹介&自己主張の時間 参加者全員
 
 

今回レポートを担当させていただきます、電塾運営委員の湯浅です。BBSではtatsphotoのハンドルで書き込みさせていただいております。よろしくお願いいたします。

2006年第2回目の電塾定例勉強会は有明で行われました。

この日は、初の試みと言うことで「デジタルフォト講座2006年版第1回」が朝10時から行われました。

その詳細は特別編と言うことでレポートの最後に書いております。

定例の勉強会ですが、オリンパスの世界初、レンズ交換式フルタイムライブプレビュー一眼レフデジタルカメラE-330のデモを行います。 ケンコーから発売される世界最速クラス150倍速「ATP ProMax CFカード」(秒22.5MB/sec)のご紹介もあります。また何回か予定されながら流れていたお馴染みシー・イメージの「フォトのつばさPro最新バージョン」のデモもやっと実現です。そして最後は運営員の山田久美夫さんによるPMA報告となります。時間がタイトなので恒例の救済講座は残念ながらなしです。

次に自己紹介ですが、抜粋を・・・

運営委員の金田さんからは新型のバックタイプのお話。コダックリーフクレオ「アプタス75」ですが、驚いたのは感度はISO50から高感度側がISO800まであったとのことでした。35ボディのデジカメと差のない使い勝手になってくるのではないでしょうか?

自己紹介の最後で私、運営委員の湯浅より、新しいキャリブレーターのご紹介を致しました。

グレタグマクベスからのディスプレイキャリブレーターです。

この勉強会当日時点では日本で購入できるのは共同写真要品のみでしたが、このレポート執筆時には他のルートでの販売も決まったようです。

勉強会時点での販売価格は16800円と、現在日本で販売しているこの手のツールとしては最安です。この価格の物に上位機種と同じ精度、クォリティを求めるのは間違っていますが、実用十分のモニタープロファイルを作成できます。なお、プロファイルは「D65 ガンマ2.2」で作成されます。作成時に「明るめ暗め」ウォーム、クール」というように微調整が可能です。

液晶でもCRTでも付属品の交換なしで、吸盤で表面に貼り付けられます。これは本体が小型だから吸い付きの弱い吸盤でも保持できるからです。小型という利点で、たとえばロケに持って行く、クライアントの所に持って行くなどの使用範囲も広がると思われます。

値段が安いと言うことで、エキスパートの2台目として、またはビギナーの最初の一歩としてのキャリブレーターと位置づけられると思われます。

なお、PMA報告の山田久美夫さんからのご報告によると、この手の廉価型キャリブレーターはアメリカに行くと100ドル以下でいろいろな種類が出ているそうです。日本ではこの手のツールは「プロ向け」「高価」と相場が決まっていますが、今後は日本にもいろいろな物が入ってくるかも知れません。

 
 
第二部 「フルタイムプレビュー一眼レフカメラオリンパスE-330」
オリンパスイメージング株式会社
商品企画部 松沢
 
 

第2部はオリンパスの世界初「フルタイムライブビュー一眼レフカメラ」のE-330の登場です。


まずはオリンパスが見ているデジタルカメラの市場予想からです。

オリンパスに限らずですが、各デジタルカメラメーカーはこぞってレンズ交換タイプの一眼レフボディのデジタルカメラを発表、発売予定をしております。コンシューマー向けの小型デジカメが頭打ちの傾向がありますが、新たな市場としてこのクラスに参入しています。

今以上と言いますか、フィルムカメラのレンズ交換式の比率以上にデジタルカメラのレンズ交換式タイプが売れていくのかどうか?非常に興味のあるところです。

さて問題のE-330ですが、すでに発売されおりますので詳細は省きますが、特徴的なのはなんと言ってもライブビューでしょう。しかもフルタイム、「常時」ということで、今までの一眼レフでは構造的にあり得なかったことをオリンパスは可能にしています。

キモとなるのは750万画素ライブモスセンサーとフレーミング専用のCCDの二つの組み合わせによるものです。

ライブモードにはAB、二つのモードがあり、ファインダー画像と同じ画像を出すAモードにはフレーミング専用のCCDを使い、Bモードはシャッターをバルブにしてミラーアップ、撮像素子直接の画像を出力しています。Bモードはバルブの意味だそうです。当然ですがAFは効きません。手動でピント合わせをするわけですが、背面の液晶でピントをライブで確認できます。その時、画像を10倍に拡大できますのでシビアなピント合わせも可能です。

このライブビューですが、シャッターを開けっ放しにするため、撮像素子にどうしてもホコリ、ゴミがつきやすくなります。そこでオリンパス独自の技術、「ダストリダクション」が活躍するわけです。

この二つの技術は現在、他社の追従を許さないオリンパス独自のものです。他社の後追いをせず、独自のウリで製品を作っていくオリンパスの姿勢に賞賛を送るべきでしょう。

ただ、早川塾長も冒頭お話ししたことですが、このライブビュー搭載のカメラはまだまだ発展途上の物で、このE-330はエポックメイキングではありますが、過渡期の製品という評価もあります。

会場からの要望としては「測距点が少ない」「手ぶれ補正が欲しい」「画素数がもう少し・・」という意見もありました。他社ではこの手の技術はクリアしていることなので、さらに次の機種では改良をしていって欲しいと思います。

フルタイムライブビュー用CCDを組み込んだミラーボックス

 
 
第三部 「世界最速クラスCFカード、ATP ProMax CFカード」
株式会社ケンコー 田原
 
 

自己紹介で銀一の森さんから「ケンコーのソフトフィルターをデジタルバック使用時のモアレ問題に使うテストをしている」というお話があり、早速、田原さんの方から「ソフトン スペックA Bと2種類でています。プロスペックというのも有りますが、ローパス代わりという使い方でしたらこちらの方が」というご紹介がありました。

まずはATPと言う会社の説明から。

ATPとは Sun Microsystemsなどへ供給しているサーバー用メモリーの製造会社で、一般コンシューマー向けの商品を出していなかったこともあって名前を知っている方が少ないと言うことでした。
メモリーメーカーのサムスンとのつながりが強く、サムスンからのみチップ供給され、今回のご紹介のようなメモリーを自社生産していると言うことでした。
サムスンから記録スピードの速いチップを入れ、組み立てまで自社グループ生産することで信頼性の高い製品を出荷しているそうです。ちなみにメモリーカード部門は台湾にあるとのことです。

製品概要は「PROMAX」CFカード 150倍速 2GBから512MBまで。 SDカードでは128MBから2GBまで。4GBはSDHCと言う規格で計画されています。
miniSDでも150倍速のPROMAXがあり、これも128MBから2GBまでで、しかもSDカードアダプター付きだそうです。

ATP独自の技術として、メモリーチップを焼き付けているシリコンウェハを薄く削ることが出来るそうです。薄く削ることによりSDカードの中に4層メモリーを積める事が可能になり、結果的に大容量のメモリーカードが可能になるとのことでした。

なお、メモリーカード内部はエポキシ接着でチップを基盤に固定しており、「システムインパッケージ」という内部に隙間がない構造になっています。ケース内部を特殊コーティングで密閉して耐水、耐ショック構造を謳っています。

ATPでは過酷なテストを行っており、作動温度マイナス40度から85度という範囲で動作保証をしています。筆者の記憶ではここまでの範囲で動作保証をしているメモリーカードは他にないと思います。報道、ネーチャー系の写真家の方たちには歓迎される仕様でしょう。

また、サポート面ですが、将来的にはリカバリーソフトを同社のHPからダウンロード開始し、それによってユーザー自身のデータリカバリーが出来るようにする他、物理的な損傷でも中のチップさえ生きていればリカバリーが可能になるように対応する予定があるそうです。

また、専用のカードリーダーも準備中だそうです。

 
 
第四部 「世界最速ブラウザソフト、フォトのつばさPro」
有限会社シー・イメージ 代表 陳 純
 
 

第四部は電塾勉強会ではおなじみ、陳さんによる「フォトのつばさPRO」のデモンストレーションです。

マルチ画面になったり、各部の使い勝手向上という、地道なバージョンアップを日々行っている同ソフトですが、去年から、当勉強会でデモを、と言うお話がありながら、諸事情で延び延びになってしまった経緯があります。

久しぶりの陳さんのプレゼンで、陳さん節が聞けるのかと思うと、それだけでも楽しみでした。>もちろん、バージョンアップされたフォトのつばさも楽しみでしたが。。

フォトのつばさに関しては、すでに多くのカメラマンが実際に使ったり、試用したりしていると思います。

新しいデジカメが発売になる度に、その画像データを手に入れ、解析し、ソフトを対応させていくという、陳さんお一人でやっているソフトメーカーということを考えると、どれだけ大変なことか、想像に難くありません。

4画面のマルチ画面
その状態から、うち一枚をセレクト中
さらに4枚同時に拡大、ピントチェック

さて今回は、陳さんからは実際のフォトグラファーにおいて、現場でどう使ったらいいのか?という提案型のプレゼンでした。

カメラをスタンドアローンで撮影、その後、コンピューターとカメラをケーブルで接続、エンターキーを押すだけで転送、転送しながらスライドショウを行うというものでした。これをクライアントの前でやると、かなりウケが良いと言うことでした。また、画像を確認できるので撮り漏れや失敗の確認も出来ます。単純のコピーと比較してもデータを表示させる事によるタイムロスはほんのわずかです。

さらに転送後の再撮に関しても、追加分のみの転送になるため、無駄がありません。

このやり方を取ることによって、カメラ内とコンピューター内、二つにデータがある状態になってバックアップも兼ねます。

今回は陳さんから「フォトのつばさはなぜ速いか?」という解説していただきました。

フォトのつばさは単一目的、ほかのブラウザソフトと違い、あくまでもスピードを最優先した作りになっています。機能はセレクト、閲覧のみ。 
フォトのつばさは独自の高速アルゴリズム採用して、表示用の 中間データの格納をオンメモリー上で行っているのに対し、他社ソフトはHDに格納しています。

そのメモリー使用率も環境設定で変えられるので、ノート型のようなメモリーが積めないタイプでもそれなりの動作が可能です。

さて、恒例の最後の質問・・・

「マック版は?」

の答えで、陳さんは新たな回答を用意していました。

バイオノートを手に取りながら、

「これはコンピューターではないんです。画像を単に表示するものと思ってください。」

これにはMacユーザーが多数を占める場内は爆笑でした。

いつもながら陳さんの切れの良いプレゼンでした。

 
 
第五部 「世界の最新機器情報、PMAレポート」
電塾運営委員 山田久美夫
 
 

さて、最後は毎年恒例の山田久美夫さんによる「PMA報告」です。

電塾から毎年PMAに派遣されている山田さんです(ちなみにノーギャラですが、、)

まず、第一印象から。会場のブース配置から、業界の勢力図の変化が読み取れるそうです。

キヤノンとフジのブースが大きかったのが印象的だったそうです。

ある発表によるとデジタル普及率は去年50%で今年は60%、そして来年は70%という予測だそうで、 フィルム市場は急激に縮小していると言うことでした。

Appleが会場にブースを開いていることも目立ったそうです。「aperture」を武器に本格的に写真市場に入ってきている印象だったそうです。

また、デジタル以外の話題としては富士フイルムからの新しいポジフィルムの発表です。プロビア400Xと64Tですが、富士フイルムは「需要がある限りフィルムは辞めない。」と明言しているとのことです。

カメラ以外ではEIZOの2410のハードキャリブレータータイプがUS市場で発売になると言うことでした。近い将来、日本国内でも発売になると良いのですが。

あとは顔認識のお話とか、パナソニックとライカのお話とか、サムスンのデジタル一眼のお話とか、興味深いお話ばかりでした。

 
 
特別編 「デジタルフォト講座 2006年版 第1回」
電塾運営委員
 
 

今回から始まりました「もっとやさしい電塾」デジタルフォト講座06年版第一回のレポートです。

早川塾長からデジタルフォト、コンピューターの歴史をざっと紹介していただいた後、クラス分けをしてそれぞれ「膝つき合わせて」の講座になりました。

当日参加できた運営委員がそれぞれのクラスを受け持ちました。

阿部さん、山田さんが初級クラス、永嶋さんが中級クラス、鹿野さんと私、湯浅が上級クラスという受け持ちでした。このクラス分け、自己申告と言うこともあって、同じクラスでも知識の開きがあり、結果的にはどのクラスでも同じような質問という状況でした。

上級クラスを受け持ったにも拘わらず、鹿野さんにお願いしっぱなしで、僕は各クラスをまわってみました。初級クラスでは山田さんが自信のパソコンを見本に、色見本を傍らにモニターについての説明から入っていました。中級クラスでは永嶋さんへの一問一答という感じで、実際に仕事でぶつかっている壁を永嶋さんに相談という形でした。上級クラスでは鹿野さんがホワイトボードを出して、講義の形になっていきました。

山田さんと阿部さんによる初級クラス

 

永嶋さんによる中級クラス
鹿野さんによる上級クラス
熱心に聞く参加者

ラップトップの画面とカラーチャートとの比較

これは山田さんのお使いのノート

飛び入りで一般会員の方も講師として参加
鹿野さんはいつものスタイルになって行きました。

今回が初めてでトライアル的な側面もありました。

実際、これほど多くの参加者がいらっしゃるとは誰も予想していませんでした。(参加者29名)

あまりに反響が多ったのはなぜなのか?それはこれからの電塾としても課題であります。

一つには参加費1000円という破格な値段設定という点があるでしょう。この値段で早川塾長を始め、蒼々たる電塾の面々に直接、疑問点をぶつけられると言う機会はそうあるもんではありません。

クラス分けして、実際に疑問点などを聞いていくと、どのクラスも同じような「カラーマネージメント」の話をしていると言うこともありました。ただ以前と違うのは多くのカメラマンがすでに実際の仕事上で、疑問点に直面している、困ったことがあった、などとより現実に即した悩みをお持ちだと言うことです。

クラス分けという少人数単位というスタイルが良かったのは、質問者と講師が近い距離でいるという点です。大会場では多くの人の手前、「恥ずかしい」などと余計なことが頭をよぎりますが、この近さではそんな遠慮も要らないでしょう。

ただ、残念だったのは午後の部まで通しでいらっしゃる方が少なかった点です。皆さんお忙しいとは思いますが、出来れば午後まで、可能なら夜までいらっしゃっていただけるとなお濃い内容の一日になったのではないかと思います。

次回以降、続けていく予定ですので、皆様ふるってご参加下さい。

以上、3月の勉強会レポートでした。