2004年 電塾9月のレポート
 
 
フォトキナ2004登場の最新機器報告
 
 
第一部 自己紹介&自己主張の時間 参加者全員
 
 

塾長から冒頭の挨拶で、アスカネットと言うオンデマンド出版サービスのお話がありました。偶然私もそのお話をお聞きしたばかりだったのですが、わたしはデータはCMYK変換して納品、と聞いた記憶があったのです。ですが、それは勘違いでやはり現在のサービスらしく、プロファイルを付けたRGBで出稿するようになっていました。電塾内で私がそういった発言をしてしまいましたので此処で訂正させていただきます。しかし、入稿時にRGB上でシャープネスを与えるような指示があったり、CANON EOS 1Dsクラスの1000万画素オーバーの場合は専用レイアウトソフトがそれを食えないなどの実例があるようです。細かいところはまだ確認できていませんが、非常に手ごろな値段できちんとした写真集を制作できるのは大きな魅力ですので、ぜひ次回は担当の方においで頂き、詳しいご説明をしていただけることを期待いたします。
 DVDの規格の件でもさまざまな自己主張がありましたが、DVDプレイヤーは安物は買うな、と言うところに結論は落ち着いたようです。とくにノンブランドは危ないそうで、安くても大手電機メーカーのものが安心して使用できるようです。
 シグマのデジタル用のニュータイプのマクロ50mmがなかなか良いと言うお話しもありました。私は前のタイプを気に入って使用しているのですが、早速ためしたみたいと思っています。
 バックアアップの重要性に関してもご自分のご経験をふまえたおなし、あるいは出産費用がデジカメに化けてしまった方とか、(もちろんお名前の公表は避けますが)サングラスをかけたまま色校にたち合うデザイナーさんとか、この夏場の体調の話、クレームの話など、今回は人数が少なかった所為か、たっぷりとした?自己紹介でした。

 最後に事務局の金田氏から、便利な4×5・デジタルバック用スライドアダプターが紹介され、大きな注目を集めていました。 今回は電塾スタッフが超多忙のため、写真が非常に少ないのですが、ご勘弁ください。

 
 
第二部 第二部ネガカラーの使い勝手を目指す FUJIFILM Fine Pix S3 Pro 詳細報告
富士写真フィルムアクシア株式会社    須山一浩様
電塾塾長 早川廣行
 
 

前回すでにお披露目してはいただきましたが、 FUJIFILM Fine Pix S3 Pro をさらに詳しく拝見する事になりました。特筆するべき事項として、ライブプレビュー機能がついに追加された事が上げられます。(前回のお披露目時にはまだこの機能は発表されていなかった)長時間実行するとCCDが熱をもち、ノイズが出やすくなるというので30秒のリミッターが付いていますがこれは、今後の一眼レフデジタルカメラの行く末に大きな影響を与えるだろうと思われます。ぜひ、順当に進化して欲しいものです。テーブルトップの撮影には欠かせない機能となるでしょう。
 また、ケーブルの始末と言うか抜けにくく、接点にダメージを与えにくいようなアダプターも同梱されているようです。私はこれは気に入りました。…すでに特許申請されているそうですので類似品にご注意を!
 また、HS-V2に関しては大幅にスピードアップ(MacOSX10.2以降)され、写真館向けのトリミング機能(四つ切りとか六つ切り、あるいはマット分の縁を付けるか付けないか、と言う)が搭載されたそうです。これも便利そうです。

 さて早川塾長からも拡大されたダイナミックレンジに関する考察が提供されました。実際にフジさんは白人、黒人、東洋人の三人を一緒の写真に写すという離れ業の写真を持ってこられており、その他、サンプル写真でもかなりのハイライト域を含んだプリントアウトを持ち込まれていました。その写真は驚くべき階調性を持っていたのです。
 ノーマル( FUJIFILM Fine Pix S2 Pro モード)ワイド1(Dレンジを230%拡大)とワイド2(Dレンジを400%拡大)を比較すると、ハイライト部分でノーマルで255だったのが、それぞれ243、234、と20ポイントも広がり、さらにシャドウ側のレンジも二絞り近く広がっていると言う報告がされました。ハイライト側にR素子で2絞り程度の広がりと合わせるとまさしく、合計で400%の階調はばの広がりを確保したといえるようです。

 DTP680からそうなのですが、カメラ内部でJpeg画像を生成するエンジンにもかなり改良が加えられ、飛躍的に良くなったそうです。これまで私はセミナーの度にJpegモードとRAWモードの決定的な差を強調してきましたが、このカメラはその溝をおもいきり縮めてくれることになりそうです。

 
 
第三部 D70 を上回るスペックEOS10Dの後継機EOS20D
キヤノン販売株式会社 プロシューマー推進課 金原克己様
 
 
 

さて、キヤノンさんからは発表になったばかりのCANON EOS 20Dが紹介されました。
 このカメラは画素数を増やしてきて、CANON EOS 1D Mark IIと同じく820万画素。それでも一画素当たり6.4μの開口率を確保し、マイクロレンズの径を大きくして受ける光の量を大きくするなどの改良がなされているそうです。金原さんの説明によりと、
固定パターンノイズ除去+低ノイズゲインアンプ+オフセット除去回路
と言う三段階のノイズ処理回路を経て、以前の10D いや、あるいはCANON EOS 1D Mark IIにせまる低ノイズを実現しているのだそうです。さらにノイズリダクションも追加できるそうで期待大です。
 これらの成果として高輝度域のダイナミックレンジ改善され、半段程度は確実に向上しているとの事でした。また、偽色、ノイズ対策としてCMOSセンサーの前にローパス、赤外線カットフィルター、ローパスで水平方向に変更、赤外吸収、垂直ローパスと言った新設計のフィルターが装着されています。解像感を失わずに偽色、モアレ、ノイズから逃げるために相当な苦心をされているようですね。

 その他に、モノクロモード、4チャンネル読み出しによる高速読み出し、9点ダイアモンド形式の測距点の配列、測距センサーの感度を一絞り分アップ、するなどの高機能化もなされています。新マルチコントローラーを使用し、測距点を自在に選択できる機能も嬉しい機能です。起動時間とレリーズタイムラグ、ファインダー像消失時間も大幅に短縮され、起動時間は0.2秒という高性能です。シャッターも新開発耐久性能は2倍になり、ミラーショックも大幅に軽減されています。
 新開発のEF-Sレンズは20DとKISSデジタルに使用でき、これも新開発のプレシジョンマットフォーカシングスクリーンにより、クリアーなファインダー像を見る事が出来ました。

 まさしく、あるべき姿に向かって進化してるデジタルカメラだなと思わされました。余談ですがこのバージョンから添付されるDPPはJpegファイルにもICCプロファイルがつつくようになり、CANON EOS 1D 系列以外のEOSのRAWデータも展開できるようになるそうです。

 
 
第四部 速度だけではないCFカードアダプタCF32A
株式会社飛鳥 マーケッティング部 小林良太様
 
 

 何が凄いかといって早いだけでなく、CPUの負荷が小さいという事が大きい事だそうです。理論上は10%程度ですがマシンによって違いがあり、実質30%程度に押さえられるそうです。通常は95%ほどのCPUパワーを使用するため、データ転送中はまったく他の作業が出来なるなるところ、データ転送中も仕事が出来るのです。残念ながらいまのところWindowsにしか対応していませんので、Macintosh対応をぜひ!!とお願いしたところ、このお話しは持ち帰って検討してくださるという事なので請うご期待!です。
 早いメディアを使うのならさらにその早さを生かす事が出来、将来出てくるであろう高速メディアにも十分に対応できるそうです。カードバスコントローラによって速度に変化はあるものの、32ビット/カードバス対応のバスマスタ転送で最大132MB/Sの高速データ転送が可能です。また、3.3V動作の低電力設計。バッテリー動作のモバイル環境にも最適です。

もう一つ、携帯メディアストレージであるトリッパーも紹介していただきました。値段がとても安いですね。1GBのメディアで約12〜14分で転送できるそうです。

 
 
今月の一枚
 
 

いやいや、写真がないとこんなにも文字ばかりになってつまらないものですね。最後の写真は私の携帯電話で撮影した FUJIFILM Fine Pix S3 Pro についてくるケーブルストッパー。画質が最悪で申し訳ありません。アイディアものですが、抜けにくくなる代わりにあまりに強く引くとカメラ自体が倒れてしまいそうです。ご注意ください。

文:鹿野 宏