2004年 電塾6月のレポート
 
 
第一部 自己紹介&自己主張の時間 参加者全員
 
 

6月は『久しぶりのPhotoshop CS徹底理解!』というタイトルで、昨年末の大勉強会で本邦初レビュー(一般公開では)を行って以来、取り上げられていない、そしてセミナーとしては久しぶりのPhotoshop CSの画像処理テクニックを中心のプログラムでした。
 今回もいろんな意見、質問が飛び出したが、マイクロドライブ、CFカードを始め、CD-Rなどの記録メディアの話で盛り上がった。どれがもっとも信頼できるか、という話題でしたが全てバックアップと新メディアへの乗せ変えが核になってくると思われます。
 最後に金田氏からロケ用のモバイルセットが紹介されました。 PowerBookG4 15 inch ーの液晶用のフード、薄くて持ち運びがしやすいバックアップバッテリー。どんなカメラにも付くバックタイプ用のインターフェースボード(ハッセルタイプ)など、かなり嬉しい内容です。このエナックスのバッテリはもう必須判断し、その場にちょうど居合わせた銀一さんに発注してしまいました。

 
 
第2部 クラボウ ぎゅっとぱっ Pro
(Jpeg2000ソフトウエアー)
富士フィルムソフトウエアー株式会社 市場開発部
上野惣一郎氏
 
 

Jpeg2000にはいくつかのモデルがあり、Jpeg2000パート1は写真などの画像に最適でJpeg2000パート6はテキストやグラフなどが混在している環境で威力を発揮するようです。お話の内容は、実際にJpeg2000変換、表示のシュミレーションを行い、TIFF非圧縮と比較をされました。またJpeg2000可逆圧縮で現実に1/3〜1/4程度に圧縮可能で非可逆最高画質でも同じ圧縮容量の従来のJpegとの比較でグラデーションの部分で圧倒的にきれいな絵を再現していました。これは8×8ブロックごとに圧縮をかけるJPEGとJPEG2000のもつウェブレット圧縮のアルゴリズムの差だそうです。ま、ここまではPhotoshop のプラグインで提供されたものと大きな差はありません。(圧縮時間に関してもおおきな差は無いそうです)このプログラムは展開用のビューアーソフトがセットになっており、展開時のスピードがPhotoshop に比べて非常に高速だという事でした。
 “ぎゅっとぱっは”Jpeg2000に変換する圧縮ソフトと展開用のビューアーソフトで構成されており、エクスプローラーに組み込まれていて、ファイル内の階層構造も指定できます。また、JPEG2000 の特徴として一つの画像内にさまざまな大きさの画像を同時に持ち込み、用途に応じてそれぞれの画像を表示させる事が出来るのですが、Photoshop の場合はこの全て、というかもっとも大きな画像を読み込んでしまうわけです。“ぎゅっとぱ”の場合は表示する際、必要な部分のみを開くのでのスピードが速いというわけです。画像の加工を主な目的としたPhotoshop と閲覧を目的とした祖父との性格の違いとも言えるでしょう。何だかライブピクチャーの技術に似ていますね。

大幅機能アップ「ピンぼけ・手ぶれレスキューVer.2」
株式会社リアライズ 代表取締役 上村信氏

5/31にで来たばかりのバージョンアップ版を持ってきてくれました。
で切るだけ分かりやすく使いやすく。(というのは以前のものは実に使い方が複雑で解りにくかった、ということがあったので)の大目標を掲げ、“ボタンひとつの補正”を目指した、という事です。確かにボタンひとつで生ぬるい画像が見事にくっきりとした画像に変換されました。会場から“おお〜”というどよめきが上がったのを見てもその成果は素晴らしいものがありました。
 しかし、上村氏は正直者なのか、「もちろん、効果がよく現れる画像をデモ用に用意しているのであって、全てにおいてここまでの結果を期待出来るものではない」と付け加えておりました。もっともな事です。ピクセルで8ピクセルまでのぼけ、ぶれであれば、楽に補正は出来るが、それ以上の極端なぶれ、ぼけはさすがに救えない、という事です。それと画面内にぶれぼけがなくなる事でその画像の良さが強調されるような絵柄である事もひとつの条件となるでしょうか?

 シャープネスの敷居値とシャープにしたい部分を選択してその部分だけをシャープにするという新しい〈コマンド〉が追加されていました。これは文章ではとても説明しにくいのですが、ぼけあしのあるマスクを画像に描けて、そのマスクの部分を選択的にぶれ、ぼけをなくすという、Photoshop CSの新機能、レンズぼけのまったく逆を行っている機能が紹介され、これも会場にどよめきが走っていました。いや、これは仕事で使えます。ほんとにJpegにしか対応していないのとマッキントッシュに対応していないのが実に惜しいソフトです。(とはいえ最近はWindowsをお持ちの方も増えてきたようです。私もWindows機もってますので時々使っています)

 
 
第三部 レンジファインダーデジタルカメラEPSON RD-1検証と
「Photoshop CS 徹底理解 基本編」
電塾運営委員 鹿野宏
 
 

ついに実機に触る事が出来ました。触って見て、良さが伝わるカメラです。実はこの前日にEPSONさんから打診があり、このカメラを突然に検証させていただく事になったのです。それなので、細かい事はいっさいなしのインプレッションになりましたが、いち早くレビュー出来た事は嬉しかったと思います。
 デジタルカメラは一眼レフだけじゃない、という事をきっと一般に認識していただくきっかけとなるデジタルカメラの出現だと思われます。持った時の適度な重量と持ち幅(これって以外と気になるもので、ほとんどのデジカメは分厚いですね。)ミラーショックの無いシャッター。現在はライカだけだけれどもきっとほかにも出てくるレンズ設計の自由さ。ボディの作りにもそこここのこだわりが見えます。追針式の残量計、ホワイトバランス、記録形式の切り替えメーターは視認性も抜群によく、デザインも秀逸。こだわったシャッターチャージ用の巻き上げレバー(実際は巻き上げなんかしてません。シャッターのチャージだけです)ダイアルを回す、という感覚を久しぶりに味わうシャッターや絞り。もっとも細かいシャッタースピードになれた私たちにとって適正露出を考えると一段ずつのシャッター感覚というのはあまりに大き過ぎるかもしれません。
 その意味でこれはJPEGカメラではなく、RAWデータカメラを目指しているという事がよくわかります。実はこのプラグインが良くできています。そのうちにレビューを書きたいのですが、マック用のプラグインにバッチ処理の項目が内のが大いに残念です。ウィンドウズ用のアプリケーションはなかなか秀逸な作りで“まとめて現像”が一発で出来るようになっていました。
 ピント精度も気になるところですが、開放ではなかなか好みの位置にピントをおく事が出来ませんでした。これは私の腕に関係する事かもしれませんね。
 いずれ近いうちにまたレポートを致します。

さて、Photoshop CSの基礎編ですが、私は例によって環境設定、カラー設定を中心にお話しました。[ファイルブラウザ]にも少々触れさせていただきました。まことに簡単に、です。そういえば[ファイルブラウザ]からコンタクトシートが生成できますが、RAWデータにも対応していたのは初めて知りました。ラッキー!。

 
 
第四部 「Photoshop CS 徹底理解 応用編」
 
 

電塾塾長 早川廣行

実に久しぶりに早川塾長の本格的なセミナーです。Photoshop CSが“出来るようになった事”の意義を実際の画像処理、撮影にからませてお話し頂きました。

自然界は15絞りほどの幅い広い諧調を持つ事もあり、しかしてネガは8〜10絞り、印画紙となると6絞り程度の諧調になってしまうのです。これが印刷用と同じくらいの諧調数となります。そのため印刷用にはハイライトとシャドウにマージンを持ったデータを用意する事が必要となるのだ、と説きます。また、実際に大幅な諧調変化を行う都合上やはり画像劣化の少ない16ビットの演算が必要だとも。そして演算する際にヒストグラムを確認しながらトーンを決めていく事の重要性を説かれました。いずれもPhotoshop CSの新機能です。
 その他の新機能をどういう場合に使用するのか、また、こんな時はこの機能を使うといった解説を短い時間で実に要領良くお話されていました。

電塾運営委員 阿部充夫

自分自身から重箱の隅をつつきますと言われるご存知電塾の助教授、阿部氏は新たに増えた変倍アルゴリズムを解説しました。ううむ、ここまで細かい検証は私もやらずに本を書いてしまいました。反省するべきか、やはりここは阿部氏に任せるべきか。どうも後者の様な気がします。[拡大・縮小]時に発生する偽色から逃れるためにLabモードでの[拡大・縮小]も場合によっては効果的だったりもする…しかし場合によってはまた…

このような検証はお任せいたします。とてもじゃないけど私には無理です。

 
 
今月の一枚
 
 

今月の一枚。自分の写真で恐縮です。でもあたしのおなかの上に乗ってもしっくりと来るこのデジタルカメラ(に見えませんね)、購買意欲をくすぐられます。(でも私もくすぐりには我慢強いンです)

いろいろな観点からのお話をお伺いできるのも、電塾の良さ。他人が努力した検証結果をありがたく拝聴できるのです。ま、これだけのものを引換券もなしにお話ししてくださるスタッフがこれだけそろっているのも世に珍しい団体だなあ、と改めて感じました。

写真:電画スタッフ  文: 鹿野 宏