2004年 デジタルカメラ学習塾5月のレポート
 
 
第一部 自己紹介&自己主張の時間 参加者全員
 
 

冒頭の早川塾長の挨拶で“「デジタルカメラ学習塾」から「電塾」へ。”という提案がなされ、その場で決議されました。電塾の名前の件ですが、そもそも数年前、DENJUKU WEBが開始された時にも話題になっていた話です。当時は電塾というとインターネット経由の家庭教師“ラインズ先生”のシステムをさしていました。あまりに紛らわしいからやめようという事になり、正式名称デジタルカメラ学習塾、 略称電塾、という事で今まで来たわけです。最近になり、そのラインズ先生の電塾は活動がなくなり、私たちの電塾のみがインターネット上で活動している状況になったため、今こそ改名しようという事になったのです。もちろん電塾は任意団体ですので、改名は自由、という事で晴れて私たちは電塾「DENJUKU」となったわけです。また、前野支部長から中部・信越電塾主催・夏の大合宿 in 浅間温泉 みやま荘についての簡単なお話があり、皆さんの参加を募っておりました。私も早速参加したいのはやまやまなのですが、2ヶ月先に丸々3日の予定を簡単に組めるほど人員を持っていない会社なので、もう少しスケジュールを展望できるようになってから参加したいと思っています。ちなみに会場は松本駅そば 会費2泊3日¥29000という事でした。詳しくは中部、信越電塾のサイトでご確認ください。

連休の終わりという事で、総勢38人くらいのこじんまりした勉強会になりました。ニコンの中島様から、CCDクリーニング講座がニコンサービスにてついての告知があり、私も参加したいと思っています。初めて参加された方からメーカー参加が多い会だね、というお話がありました。逆に言えば、メーカーさんに直接意見を言える場所ともいえます。アマチュアの方も参加してくださいましたが、大歓迎です。

 
 
第2部 画像向け可逆データ圧縮技術(JBIG2-AMD2)について
独立行政法人産業技術総合研究所 坂無英徳様。
株式会社SFCシステム開発部 成宮清様。
 
 

あまり聞きなれない圧縮技術ですが、JBIG2-AMD2とはなにか、という事からお話は始まりました。ISO/IEC 14492 2000年に標準化された2値画像の符号化で最高の圧縮効率を誇るものだそうです。基本はファックスなどの圧縮に使用されているものだそうで、そういえばファックスって確かに2値画像でしたね。
グレイスケール、非可逆圧縮にも対応し、2値画像の可逆符号化性能を強化したため、高解像度ハーフトーン画像にもさらに対応したとのことです。

昨年12月に国際規格化された技術で、TIFF/ITへの組み込みがすでに始まっているという事でした。もっとも興味を引いたのはPDF/Xへの組み込みも検討中という事で、これはワンビットTIFFのみならず、印刷用データの安定化に、流通経路にとって革新的な技術でしょう。
 ワンビットTIFFとは製版フィルムのドットをそのままデータ化したもので、容量が大きくなるという難点はあるものの、網点フィルムそのままの情報を持つので文字化け、リップトラブルなどが無いという利点を持っており、このところ多く使われている技術です。(ある意味後ろ向きだが、確実な方法としてとらえられている)

CTP、DI印刷機、電子出版のために巨大なデータを持たなくては成らないこの世界で、データはワンビットTIFF化されたときに、ラスターイメジプロセッサを経て高精細であるため、巨大な版、あるいはデータとなってしまうのです。そこでこのJBIG2-AMD2により、巨大なデータを最大3〜30%まで小さくしてしまおうというのがその最大のメリットです。
 予測符号化の原理や算術符号化器の説明がなされ、予測を高めるために128×256画素の中で浮動参照画素を4個から12個へ増やし、拡張させる事により、より正確な圧縮を行う技術に進化したといい、要はちょうどよいテンプレートを高速に見いだす事が肝心だといいます。そのために人工知能技術が、深く関与しているのだそうです。

実際に圧縮してみた結果はページ構成(文字、画像の比率)によって違うが70%から30%程度に圧縮できるようです。さまざまな圧縮方法と比較した時に、可逆圧縮としては非常に優秀な成績を残しているようです。まだ圧縮するためにかかる時間などの問題、さらに高圧縮をするためのチューニングなどの問題はあるのですが、そう遠くない将来には私たちもその恩恵にあずかれるのかもしれません。
 私たちにも解るようにかみ砕いてお話してくださった坂無博士に感謝いたします。

 
 
第3部 進化したMonaco OPTIX XR Pro
エックスライトアジアパシフィックリミテッド富川丈司
 
 

ディスプレイキャリブレーターとして、廉価版のMonaco OPTIX が進化を遂げました。最大の特徴は最大輝度と最小輝度、そして白色点のホワイトバランスを測る事が出来るようになった事でしょう。この機能のおかげで複数のディスプレイを合わせる時に、明るさとコントラストも合わせ込む事が可能になりました。明るさが落ちてきた(あるいはもともと最大輝度が低い)デイスプレイでも出せる最大の白を測る事で、コントラストと輝度をうまく組み合わせて最大輝度が高いディスプレイの最大の白を少々落とす事でバランスをとらせる事が可能なのです。

 おまけのような機能ですが、(いまいち精度が心もとないが)環境光も測定できるようになったのは嬉しい事です。今までそういった装置は分光光度計を使用しなくてはわからなかったのですから。
 実はこの製品は5ユーザーのライセンスが入っています。という事は5台のマシンで使用できるという事です。私の場合ですと、画像処理をするすべてのマシンにプロファイルを埋め込む事が出来ます。これは実質的な大幅値下げになるのではないでしょうか?

 また繰り返し精度も向上し、ディスプレイのみをキャリブレーションするのであれば、十分な機能を持ったように思われます。
 プロファイルを編集する機能や、作成したプロファイルとディスプレイの継時変化の差を読み取る機能やプロファイルを作ってから何日経ったら警告を出す、などの機能も追加され、使い勝手は向上しています。
 以前のMonaco OPTIX では食い足りなかった部分が非常によくなったと感じました。また、i1、スペクトロリノなどのセンサーにも対応しているようです。

 
 
第四部 Photoshop CS最新情報・Camera Raw Plugin 2.20
電塾塾長 早川広行・電塾運営委員 永嶋サトシ
 
 

久々の早川塾長による、セミナーは永嶋サトシ氏と一緒にCamera Raw Pluginの威力を語るというタイトルで始められた。実は次回の電塾がPhotoshop CSの全てというタイトルで行われ、本日はその前哨戦、という様子でした。永嶋氏お得意のティップス集も披露されましたが、会員の方から、こんな時はどうしたらいいの、という質問の中に永嶋氏でさえ、答える事の出来ない質問があり、宿題になってしまいました。

 
 
今月の一枚
 
 

半分以上の方々が二次会に出席し、わいわいと盛り上がった会でした。次回はPhotoshop CS特集だという事で私も楽しみです。
恒例になるかどうかは知りませんが、今月の一枚は電塾ならではのツーショットです。

写真:電画スタッフ  文: 鹿野 宏