20インチApple Cinema Displayと23インチApple Cinema HD Displayを比較する
ついに私たちのスタジオに2台のTFTがやって来た。といっても、残念ながら、購入したものではない。検証用なのでそんなに長く当社にあるわけではない。当社にご滞在になられているうちに、ゆくゆくはどちらを買えばメリットが高いか、さっさとテストしてみることに相成った。

うちにはTFTをキャリブレーション出来るツールはモナコしかないため、もちろんMonaco OPTIX でキャリブレーションすると、あっという間に2台の色はそろってしまった。
個体差もあるだろうが、{Monaco EZ color のせいかもしれないし)やや20インチApple Cinema Displayの方がコントラストが高い。スペック的にも、再現できる輝度差は20インチApple Cinema Displayの方が確実に勝っている。その差は比較して見比べてみると確かに感じることができる。

色再現領域においては20インチApple Cinema Displayの方が確実にまさっている。それぞれのギャマットを重ねてみたが、やや広いほうが20インチApple Cinema Displayだ。小さい分、つくりやすいのか、フィルターの精度が向上しているのか、大きな輝度比を持っているためなのかはわからないが、実際に少々広い。

ミノルタのフラッシュメーターで測ってみると、やはり20インチApple Cinema Displayの方が1/3絞りから1/2絞り程度明るく、これはすべての明度域で同じような差が見られた。つまり諧調の関係は整っている、ということが言える。真っ黒であるはずの部分まで、同じように20インチApple Cinema Displayの方が明るいのだ。ということはどうやらそのもともとが持つ再現可能な輝度差のせいではないか、という気がして大ざっぱではあるが輝度を23インチApple Cinema HD Displayと同じ程度に落とし込み、もう一度測ってみた。今度はシャドウ部が落ちこんだが、前回に比べて差が激しい。輝度レンジを調整しても、全く同じにはならないようだ。しかし、1m離しておいてみると目視で差を見極めることは困難だった。

四隅に白を置いてみると右の20inchが明るいのがよく判る。中央のグレイはメーターで測るためにわざと作った。

今度は輝度を直接調整し、左右の明るさをそろえてみた。白点は揃うが、グレイ、黒が同じように暗くなり結果的にこちらの方が違いがはっきり見える。

黒もこのようなパッチを測ってみた。やはりかなり暗くなっている。ちなみに黒は白版を外して測光しているので正確ではないかもしれない。

総じてどちらも高水準の{しかもよく似た)色彩再現をしており、スリープからの復帰時もさほど色彩に変化を感じない。目も疲れない。テキストなどはCRTよりもはるかに読みやすい。値段以外にCRTに負ける部分はもう見当たらないのではないか?

CRTからの乗り換え時に問題になるのはこの輝度比が高いこと、D50よりはD65の方が安定すること、そして以前よりもくっきりはっきり見えることなどだろう。DVDなどを鑑賞するのなら、持って来いだろう。写真もとても美しく見える。(ちょっと見えすぎの気がする)

シャープネスも含めて、このTFTにはある程度、慣れることが必要となるだろうが、さほどに難しいものではなさそうだ。(私などは前回借りた時には1週間摸しないうちに慣れこんでしまった経験がある)

どちらがお買い得かって問題をよく聞く。私自身、お買い得に見える20インチApple Cinema Displayが使用に堪えられるモニタかが気になってテストを始めたのだが、結果としては問題なく使用できる、というか20インチと23インチの差はほとんど目視では感じられず、再現可能色域としては20インチの方がやや勝っている、というのが答えだった。

さてそこで今度は値段のシュミレーション。1インチ面積当たりの単価は
20インチApple Cinema Display----------¥12298/2.24?
23インチApple Cinema HD Display------¥16220/2.24?
となり、23インチの方インチ当たり¥3922ほど高い。ガマットが広く、単面積で割るとお買い得感は20インチにあるという結論が出た。{これははっきり言える。)

しかし、並べて使用していると個人的には大きいほうがいいに決まってるじゃないか、と思うようになってきた。23インチApple Cinema HD Displayの画面の広大さは他に変え難い魅力がある。お金があるなら、もちろん23inchに軍配が上がる。使用するときの満足感は確実に23インチの方にある。これは比較して使用してみるまでは予想もつかなかったことだ。{たった3インチの差)。少しの無理ができるなら、後々後悔しないためにも23インチを進めする{というか私だったら、こっちが欲しい)

とはいえ、どちらもワンモニタで仕事するにはやや不足を感じる。23インチ+サブモニタだったら20インチ+サブモニタでもさほど変わらないんじゃないか?とも思うのも確か。誰かがBBSに描いていたが、30インチApple Cinema HD Displayというものがもし、登場するのなら、いったい、いくらになるんだろう?。多分1インチ平方当たりの単価は当然もう少し高くなって¥22000程度と予想すると、¥448800になる。これって以前の23インチの値段だね。これなら絶対oneモニタで十分だ。わざわざツインモニタにする必要がない。なんて無い物ねだりは…閑話休題

もっと詳しい解説は我が電塾の塾長、早川氏がコマーシャルフォトに掲載する予定{未確認情報)なのでそちらを参照されたい。ただ、蛇足を一つ。これはApple Cinema Displayに限ったことではないが、TFT-液晶というものは平面性がとてもよいのだ。これに色彩再現の良好さが加わると、チャートとしても使えるのではないか?しかも100%表示時に1ドットの正確?な表示が可能なのだ。{ってなんだか変だね。実は表示自体にマトリックスがあるので怪しいものなのだが)でも簡単なレンズテストをやってみた。阿部助教授のチャートを拝借して、大ざっぱなチャートを作り、シグマの50mmマクロをCANON EOS 1Dsと組み合わせで撮影してみた。。結果はごらんの通り。でチャートも優秀なら、シグマの50mmもかなり優秀だと感じた。こんな使い方もあるという一例

作成して画面上に表示したチャート

シグマの50mmマクロをCANON EOS 1Dsを使用して撮影したチャート

個人的な結論。色彩再現において20インチApple Cinema Displayは23インチApple Cinema HD Displayと比べて遜色ない。どころかややカラースペースは広い。ロケ用に20inch、スタジオに23インチとサブモニタ。{このサブに20インチを流用する}という結論を得た。まるでAppleの思うつぼだ。早速お金を貯め始めよう!さあ、稼ぐぞ!!