D7000レポート
 
 
最初は何を無駄に画素数を上げてきているんだろう…と思ってしまいました。1200万画素あれば通常の仕事も趣味の撮影も十分にこなすことができるのに…と。しかし実際に撮影してみて驚きました。このカメラは小さくて軽いくせにかなり優秀です。細かいテストをする前に使い出してしまいましたが、私のお仕事のほとんどのシーンで問題なく使えています…実売13万円程度の値段なのに…。
 
 

小さく軽い

 
 

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これは車を使わないで移動する私にとっては大きなアドバンテージです。カメラが小さいことで信頼性、画質が低下するのは困るのですが、そのあたりは全く問題ありませんでした。

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ある取材撮影ではバッグにスタンド二本、クリップオンストロボ2個、カメラボディ2台にレンズ2本のすべてを納めてしまうことができたのです。もちろんMacBook Pro 17inchも一緒に入っています。(これまではスタンドとパラソルは別に持っていました。もっともスタンドは小さなスタンド、傘も小さな物と3段の折りたたみ傘を使用しています)

 
 

演算上手

 
 

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いつものピクセルチャートを撮影して唖然としてしまいました。これまでチェックしたどのニコン系のカメラよりも優秀です。1pixel部分でやや解像しようとがんばりすぎている嫌いはありますが1.6ピクセルチャートでは素晴らしい成績を収めています。これ、はこれまで2ピクセルチャートでなくては出ない性能です。そして本当に驚いたのが色分離。これまで難しかったオレンジ、イエロー、マゼンタで素晴らしい色分離を達成しています。センサーの所為なのか、演算エンジンが向上したのか…おそらく両方の成果なのでしょう。ほとんどの中判カメラバッグに引けをとらない、あるいはそれ以上の能力だと感嘆です。

 
 

高感度

 
 

APS-Cサイズのイメージセンサーを使用してD700と同等といえる高感度を達成していることにまず驚きました。全くD700と同じではりませんが、「かなりいい線」だと言えるでしょう。これだけ小さなピクセルピッチ(4.73µm)でよくぞこれだけの性能を出した物です。D3→D3sへの進化の成果が応用されたのでしょう。ISO400までは商品撮影に使える範囲、 ノイズはでる物の、スナップとしてはISO3200までは実用範囲です。ISO6400以上は使うべき場所、品質に依ると思います。ノイズは盛大にでていますが「写真的」に我慢できないノイズではないようです。

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ピクセルチャートを感度を変更して撮影してみました。確かにISO200が一番綺麗ですが、ノイズが色分離を邪魔し始めるのが6400くらいに見られます。

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感度200と1000,2000のダイナミックレンジ比較ですが大きな差がありません。高感度でもダイナミックレンジの差が小さいことがわかります。

 

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ダメじゃん小出さんの舞台で感度比較をさせてもらいました。表示は100%。個人的にはISO3200まではスナップとしては申し分なし。6400でもたぶんクライアントさんは問題ないと言ってくださるでしょう。

 
 

ダイナミックレンジ10EV

 
 

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ダイナミックレンジはニコン曰く「D3sより大きい」。と言うので早速テストしてもました。ISO感度200でテストしましたが、ここまで広いダイナミックレンジは初めて見ました。この能力がD700系に搭載されたら凄いことになりそうです。現在のD700のダイナミックレンジと比較してみました。シャドウ部の特性が良くなっているようです。

 
 

ダブルスロット

 
 

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このクラスでダブルスロット?ちょっと首をひねってしまいますが…でも嬉しいです。これまでロケ先でとにかくバックアップに忙しかったのですが、ダブルスロットのおかげでバックアップはスタジオに帰ってから、ゆっくり腰を落ち着けてできます。ありがたいことです。おまけにファインダーも100%なのでフレーミングが楽です。

 
 

使える動画

 
 

ダメじゃん小出さんのステージは外部マイクを使用しています。

720p30bpsの美しさに驚きました。「画像圧縮記録方式の差」であろうと思います。特にタングステン光源下でのバランスの良さに脱帽です。基本的に私は1920×1080pixelの大きな画像であっても25bpsや24bpsでは使わないと思いますが、10280×720というWEB用途などでは使いやすい小さめの画像で30bpsというのは軽さの点においても嬉しい。レンダリングのスピードもかなり違うのだ。実はCANON EOS 7Dにも、ソニーVG10にもこの選択肢がなかったので個人的にはとても嬉しい。この画像はISO2000。シャッタースピード1/30タングステン光で撮影。音声は外部マイクを使用しているのでとても綺麗です。

イルカショー

例によってエプソンアクアスタジアムでイルカショーを撮影してきました。今回はクリスマスバージョンです!彩度は抑えめに設定してあります。CANON EOS 7Dとよく似た素材的な発色をしており、画像が柔らかいことで安心して使えます。この音声も内蔵マイクです。

蛍光灯撮影は当社のスタジオで

オートで撮影しているときのフリッカー補正はそこそこ効くようです。かなり明るいところでないとフリッカーが発生しない…。うまく50/1秒に合わせ込んでいるようです。蛍光灯が使われている環境でそこまで明るいとこはない…と言うことで、コンシューマー的に使用するのであれば十分な範囲だと判断できます。いろいろ指摘されてきたことにやっと対応してきたようですね。

動画撮影時にやっとシャッタースピードをマニュアルで指定できるようになりました。が、絞りはいったん解除しないと使えません。どうせならフルマニュアルにして欲しいなあ…。いちいち戻るのが面倒くさいんだもの。動画撮影時に設定を変えることは少ないけれど、変更したいときにいちいちスタンバイ、あるいは静止画モードに戻らなければならいのはとても不便。

ライブビューから動画撮影に入るスタンスは同じですが、専用スイッチが「よく使われるであろう」位置に配置されました。これはありがたい。

D7000 Vs 7D 名前がよく似ています

駅の人混みを定常光で撮影。7Dと比較してみましたが、ほとんど差は見つかりませんでした。ISO800程度では全く差がないように見えます。音声は内蔵マイクなのでこんな物です。

1920×1080ピクセル時の30bps、あるいは60bpsと言うリクエストは今回も見送られました。キャノンはできているのに…と言う気持ちはありますが、ここにトライするのはもう少し上のバージョンのカメラになるのでしょう。13万円では無理、25間念クラスのカメラに要求するべきこと…といえるかもしれませんね。「もし、この機種に60bpsを搭載するとこの値段ではできいだろう」というコメント、解らないでもありません。

気になった点がいくつか…。動画情報にシャッタースピードや絞り値が記録されないため、VEWNX2でも表示されません。後々の撮影テクニック向上のためにも、是非専用ソフトだけでもかまいませんから実現させて欲しい物です。

動画撮影時に問題として残るのが録音されているかどうかの確認ができないこと。相変わらず音声モニターできない。外部マイクを試用しているときの最大のネックとなります。これも是非何とかして欲しい機能です。

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ピント合わせの拡大ボタンがカメラ背面、左下についているが、この位置が使いにくい。ピント合わせは通常左手の親指と人差し指を使用するのだが、この状態では後ろのボタンを押せないため、素早い動作ができなくなってしまう。せめてファンクションボタンに割り当てられたらいいのに…。

 
 

まとめ。

 
 

D7000をしばらく使って満足していたのだがあるときはたと気がついた。

「シンクロ接点がないじゃん!」

ああ…D7000って1000番台のコンシューマー向けのデジタルカメラだったんですね。これまでホットシューに付ける発信器を使っていたので…。

それにしては視野率が100%だったり、ダブルスロットだったり…本文では振れませんでしたが防塵防滴構造、と上位機種の仕様が組み込まれてます。さらにこれまで上げたようなダイナミックレンジや高感度性能など、いろいろな性能が高いので、ついついD700クラスと同等に感じてしまいました。特に近赤外線カットフィルターがこれまでのコンシューマ機とは異なっているように思えます。カットの仕方が上位機種に肉薄(同等とは思えませんが…)しているのにも驚きました。このフィルターを高性能化、量産化に成功したのでしょうか?

D90はうちの主力機種として長い間数多くのカット数を撮影してきてくれました。今度は、D7000がうちの主力機種になってしまう気がします。(D90はサブ機として現在も活躍中)

今回テストを終わってから、最低感度がISO100になっていたことに初めて気がつきました。これまでISO100は「使えるけれども、品質はISO200に劣る」と認識していたので、ついついテストから外してしまいました。今回からISO100は「普通に高画質」という位置付けになったようです。動画の撮影などで明るい場所でも開放F値を使用したいときに有効ですね。

ISO400でほんの少し、感度を上げるにつれて徐々にノイズ感が増えてきます。でも、ISO3200までは私には写真を汚く見せるノイズではなく、「良性ノイズ」に思えます。ISO6400でははっきりと意見が分かれるでしょう。これは小さなセンサー(5マイクロメートルくらい)からこれだけのダイナミックレンジと高感度をたたき出す代償なのかもしれません。(あくまで予想です)

そう考えると、この技術を背景に作られるであろうお仕事用のD700sとかD700Xとか…(勝手に名前付けてますけど)どうなるのか、とても楽しみです。きっと動画ももっと進化して搭載されるでしょう。

 
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