■これまでの履歴■

<第15回定例セミナー> 2008.10.18~19

   

18日:鹿野宏氏(電塾本部運営委員)
19日:早川廣行氏(電 塾 塾 長)
  
 

   
  レポート1  藤山武

第一日目
今回の東北電塾は、予てから開催を切望されておりました、青森県での開催となりました。
青森県は八戸市。
一日目の講師、鹿野さんの故郷でもあります。
初の青森開催ということもあり、会場は満員御礼!
いつもの定例会でお見かけする面々と共に八戸を初め十和田、弘前と
青森県内から参加いただいておりました!
セミナーは東北電塾で今年、一節ごとにじっくりと解説をいただいてきた氏の著書、
「デジタルフォト講座BASIC」を元に“switch on CMS”in八戸として、
これまでの総集編的に八戸バージョンで講義いただきました。

“switch on CMS”CMSを始めましょう!
第一部はカラーマネジメントの仕組みとプロファイル、カラースペースの解説と
ディスプレイキャリブレーションの実際を解説いただきました。
CMSを実行する装置としての2大装置が、インプットデバイスとアウトプットデバイス。
インプットデバイスとは、もちろんデジタルカメラやスキャナーなどのデジタル情報を作り出す装置。
そしてアウトプットデバイスとは身近な物ではディスプレイとプリンターなどの出力装置である。
CMSを実行しなければ、どんなに高価なディスプレイとプリンタを揃えたとしても色は合わない。
RGBの数値が合っていれば全ての装置で色が合うのじゃないのか?
でなきゃ高い装置を買った意味がない!でも、それはそうではないのです。
RGBという数値は定量ではなく、デバイスのスペックに依存する数値、色なのです。
これをディペンドオンデバイスカラーと言い、出力する装置の再現可能な色範囲に
左右されてしまい、メーカー、機種、個体差が生まれてしまう。
ディスプレイを例としての説明、RGBのR255という色はどんな色?となると、
それはLCDディスプレイ等で言うとその機体が備えるカラーフィルターの赤い色が255である。
でも、そのフィルターはもちろんメーカーや機種によって違う。
と言うことはすなわち色が違ってくるのである。
デバイスに依存している色というのはそういう事なのである。
プリンタにしても同じ事。インク、トナー、インキの素の色が変われば色は変わってしまう。
そこで必要になってくる事がカラーマネジメントシステムであり、プロファイルという情報となる。
デバイスそれぞれに持っている特性、組成の情報を持っているのが、
ディスプレイプロファイルやプリンタプロファイルと言われる、

  デバイスごとのプロファイルである。

また、カラープロファイルというより馴染みのあるプロファイルはそのデータが
AdobeRGやsRGB等の色空間のうち、どの色空間を基準にしているのかを示している。
入力されたデータのプロファイル読み、そのデータをデバイスで再現する前に、
その数値に近い再現を出来るようにデバイスごとに創られたプロファイルを読み解き、
プロファイルをもとに計算を行ってから情報を伝えているのがカラーマネジメントモジュールである。
プロファイルを正しく作り、そのプロファイルをしっかりとCMMを介して
実行さることで正しいCMSが可能となる。
これはこれまでの講義でもしっかりと説明いただいたCMSの概念でした。
なぜ必要であり、それがどのような働きをしているのかなど、
毎回の事ながらわかりやすく説明していただきました。
レポートとして書かせていただいているので、鹿野さんが話された言葉、表現と若干の違いが
あるかも知れないが、これまでのセミナーのおかげで自分なりの言葉で
伝えられるようになったかなと思います。

続いてはディスプレイキャリブレーションの方法。
毎度の事ながら、もちろんディスプレイもしっかりキャリブレーションしながら、
人の目のキャリブレーションとも言われる環境光のキャリブレーションを。
印刷を想定したディスプレイの推奨ターゲットは、
白色点5000K、ガンマ1.8、輝度80cd/F
これを元にディスプレイをキャリブレーションするのだが、
ハードウエアキャリブレーション対応のディスプレイを使うのが最適。
そしてまずは手作業で、白色点、輝度、ガンマをある程度まで追い込んでいく。
その後、きっちりしっかりと、キャリブレーターを使い測定、プロファイルを作成しよう。
するとどうだろう。ハードウェアキャリブレーション対応のディスプレイであれば、
ある程度まで手動で追い込んだ結果、プロファイルではほとんどずれが少なくなる。
それだけCPUでプロファイルを読み込んでから逆位相の
ドライブを情報に当て込まなくても済むと言うことになる。
次にそのディスプレイが置かれる環境、そのディスプレイを見る環境も同じ白色点に合わせる。
高演色型蛍光灯を使用すること。JIS規格で定められている蛍光灯で、
演色AAAや、Ra98などの印がされてある。
通常の電気店などには置いてないが、注文をすればすぐに手に入る。
ディスプレイの白色点に合わせた蛍光灯を導入しよう。
次に輝度は露出計で測るならば、ISO100の場合、SPが1/50秒でF2.8〜4程度の測光結果が
その輝度、明るさ。通常の家庭のリビングなどは120cd/Fくらい。
環境光も合わせたた確認してみる。
反射式の露出計で、ディスプレイと横に並べた白紙を確認し、
同じEVであれば輝度は同じになっている。これで評価環境が整ったと言うことになる。
さらにディスプレイの前などは無彩色を配置する。人の目のキャリブレーション用だ。
その後、実際にデジタルカメラでの撮影ポイントを説明いただきました。
自然界は16絞り程の輝度があると言われ、
カメラで見るとネガは8〜10絞り、印画紙は6絞り程度。
ポジは6絞りとちょっとの輝度を持っていると言われている。

ではデジタルカメラは?というと・・・
1眼レフなどのワンショットタイプで5〜6程度であると言われている。
なので露出決定というのはデジタルカメラでは本当にシビアなのである。
Rawデータであればポジプラスシャドーの方に2,ハイライトの方に1位の余裕があるが、
それにしても自然界の16絞りを半分以上取り込めないのである。
撮影する際はこのラティチュードを出来るだけ取り込めるような露出決定が必要となる。
そしてもちろんだが、ライティングのやり方でがらりと階調は変わってくる。
フロントサイドからの一灯にレフで逆から押さえてみると、グラデーションは出るが黒が潰れてしまう。
そこでフロントから押さえのストロボを与えれば、ぐっと幅が生まれてくる。
D700での実践説明だったのだが、D700の場合直光の場合、ピクチャーコントロールで
ニュートラル設定とコントラストを1〜2下げて撮影してあげると、現像の際に扱いやすいデータとなる。
ライティングの説明の中でのポイント。
光源が離れていればいるほど、影が堅くなる。近づけば近づくほど柔らかくなる。
太陽で考えてみると、確かに普段見える影は輪郭が堅いと言うほどの影ではない。
それは太陽よりも他の光源が近いからだろう。
光源面積との差でこのことが起こる。
光源との距離と共にバーターで起こることが、対象物のハイライトとアンダーとの差である。
光源が近ければ影は堅くなり、ハイライトとアンダーの差がきつくなる。
遠くなれば影は柔らかくなり、差が緩くなる。
これをもう一度心得てみるとライティングでの作業が変わるだろう。

撮影のポイントの後は、残るはプリント。出力でのマッチングである。
ディバイスのプロファイルを合わせのはもちろんだが、各メーカーごとにしっかりと純正のインク、
純正または推奨のペーパーを用いるのは絶対大切である。
用紙設定でしっかりと使用するペーパーに設定を合わせ、そして更にペーパーごとの
プロファイルを設定することの忘れてはいけない。
用紙設定で用紙を設定するのはプリンタにインクの量などを適正にさせるためである。
出力したプリントは環境光を合わせた中で確認すればきっとほぼ同じにみることができる。
だがインクが落ち着くまで半日程度は置かないと正しい色にはならないので注意。

一日目の定例セミナーはこれまでの総まとめといえる内容、ボリューム満点のセミナーでした。
鹿野さんお疲れ様でした。


さて今夜は夜学ということで、夜学in八戸!
美味しい酒と八戸名物のいちご煮、海の幸に大満足で夜が更けて参りました。
明日は早川塾長よろしくお願いいたします。
 

 

 

 

 
   

レポート2  藤山武

二日目は早川廣行塾長のセミナーです。

第一部は、写真及びデジタルフォトの基本中の基本
『効けば写真が上手くなる。八戸編』
と題して、今年2月の東北電塾でも講演いただいたセミナーの八戸編です。

写真のチカラ、
・百聞は一見に如かず。
・百万言を費やしても語れない伝達能力を写真は秘めている。
・写真は撮り手の意志を離れて、自ら語る事が出来る。
・想像力を喚起する。

今年初めに聞いたこの写真のチカラ。
改めて聞きやはり写真のチカラを再確認すると自分が日々仕事として関わっている
写真の重要性やその写真の存在の強さを感じました。
もっともっとこの写真のチカラを深く知り熟知し、自分の作品といえる写真を
もっと生み出したいと思わせられます。
ししてもっともっとその様なチカラのある写真という存在を思いのままに
表現したいと思うと同時に自分の力不足を写真を前に感じてしまうのでした。
日々鍛錬、日々勉強、そして更に真剣に向き合わなければと思いました。

光画=写真の技術、
光で描く絵と見立てれば、光をコントロールする技術が8割を占めている。
良い写真とは被写体が8割、その被写体の面白さや特異性など、
残りの2割の中に光をコントロールする技術とカメラやレンズ等の性能、特性が入ってくる。
その2割の中でも光をコントロールする技術が8割なのだから、
カメラやレンズに左右されるのは4%程に過ぎない。
良い写真はこうやって考えると被写体と光の存在がいかに重要なのかが分かります。
機材に捕らわれてしまいがちだがそれよりも大切な物は何なのかが目から鱗のように
理解できる説明に、来場者もはっとされていたようでした。
更に内容はライティングの基本的要素の説明へと進みます。
トップライト、プレーンライト、レンブラントライト、サイドライト、
スカイライトと呼ばれるトップライトは被写体の上方からの光。
プレーンライトはポートレイトライトとも呼ばれ、手前斜め前からの光。
レンブラントライトは、画家レンブラントが好んで用いた光、
立体感と空気感、雰囲気を写し込む光、斜め45度後方からの光。
サイドライト、ほぼ真横からの光。
さらに光の質を工夫する方法として、ディフューズを行う、バウンスをさせる。
この光の方向が生み出す性質やディフーズ、バウンスなどの質工夫を組み合わせて
ライティングし、被写体に合った美しい光を生み出していく。
早川塾長は更に半逆光のよさ、美しさを使いこなす事、
取り入れることをアドバイスとして付け加えてくださいました。

“光画の雰囲気はライティングが演出する。”
シャッターを押す前に光の美しさを意識して見る。
その光が最適であるかどうか、美しいかどうかを、シャッターを押す前に見てみること。
デジタルカメラはすぐにチェック出来る。その利点もある。
だがシャッターを押す前にもう一度意識してみることが大事なのである。
これをもう一度心に叩き込みましょう。と思いました。

写真は階調表現技術である。
光、ライティングで作りだした微妙なグラデーションを損なうことなく、
目的に合わせた画像処理を行っていく事が最重要である。
マテリアルの面に合わせたグラデーションの集合、無限に広がる微妙な階調再現技術が
光画の表現そのものである。
階調表現を全うするための最重要事項は12bit以上の多ビットデータである
Rawモードで記録する事。
更に撮影後の階調補正を行う場合なおさら多ビットデータである重要性が出てくる。
8bitでは階調補正処理は行わないように心がけなければならない。
写真は階調再現技術である。
破綻のない階調を心がけなければならない。これは絶対条件だと思う。
そして不必要な高彩度による階調飛びは写真表現として不適切である。
シャドーポイントは真っ黒ではなく、トーンのあるぎりぎりのところ。
ハイライトポイントは紙白ではなくそのぎりぎり前のところ。
適正露出が適正画質を作り出すのである。
撮影の際の適正露出の基本はハイライトを飛ばさない。シャドーは明るめに。
ハイライトはもちろん飛ばしてしまえば情報が無くなる。
シャドーにもトーンは無くなるので、ハイライトを飛ばさずに、
シャドーを明るめにすることがデジタルならではの制約である。
シャドーにはトーンはなく、あるのはノイズ。であるなら明るめに抑え、
トーンカーブなどで必要に合わせて絞めるのがよい。
ヒストグラムは濃度分布グラフ。ヒストグラムの表す、肩と壁の違いを理解し活用する。
ホワイトバランスは撮影時に正しく設定するのが大切。
ホワイトバランスは照明光源の色温度を正しく設定することで、
撮影後の画像処理で行うグレーバランス調整とは異なる。
PhotoshopやCameraRawでのホワイトバランス調整は厳密にはグレーバランス調整で、
光源の色温度を管理しカメラに設定するホワイトバランスとは異なる物である。
撮影の際に使用するフィルムのタイプを決めることに匹敵するきわめて重要な作業であり、
また光源の色温度を正しくするため、撮影時の光源やフィルターワークでの調整は
画質の向上に効果的である。
オートホワイトバランスには頼らない。
オートホワイトバランスは様々な測色方式や方法を取り入れてあるが、完全ではない。
スナップなどは別としても、スタジオ撮影や照明光源が複雑な場所では
カスタムホワイトバランスを用いるのが最良。
Rawデータでの撮影では現像時にホワイトバランスの再設定が可能であるという
大きなメリットがあるが、現在のデジタルカメラではアナログデータからAD変換する際に
ホワイトバランスを加味したデータ調整を行って書き出しを行っている機種もあり、
AD変換の時点でホワイトバランスが狂った状態であればそこで発生した色の狂いやノイズは
Photoshopなどでの調整では直せなくなる。

撮影時点でホワイトバランスをとる習慣は決して無駄ではない。むしろ重要。

RawとJpegについて
Rawデータとはプリント前のネガと同様のデータを記録する。
そのままでは利用できないが、大幅な階調補正に対応できる12bit以上の階調数を記録している。
Jpegはポジフィルム同様のデータを記録する。
そのまま利用することができるが大幅な階調補正向きではない
8bitというぎりぎりの階調数を記録している。
Tiffデータはデータ容量が最大となるが圧縮加工による歪み、
ノイズなどが無いのでデータ受け渡しに好まれる。
用途に応じての形式の使い分けをしている人もいるかと思うが、
基本はRawでの撮影が前提と考えた方がよいと考えました。
そのままデータを受け渡すという事はほとんど無いのではないだろうか。
最低限の階調補正を行い事は当たり前になっている。
そういう環境ではやはりRawでの撮影が必須になるのではないでしょうか?
Rawは最も階調補正に耐性を持っているが、どんなに階調数を大幅に持っていたとしても、
些細な補正処理でどんどん階調が減っていくことには変わりないのだから。

デジタルフォトに必須であるチャート活用
画像処理で必要最低限の階調補正はデジタルカメラで撮影したデータは
特別の意図がない限り、無彩色の被写体は無彩色で表現することが原則であり、
特定色が大きく狂った再現にならないこと、マクベスのカラーチェッカーのような
信頼性のあるチャートを撮影しておくことが品質管理の決め手となる。
チャートを入れての撮影は、現像時のホワイトバランスの再設定でも
用いることができるが、ここでのチャートの活用はグレーバランスを整えるためである。
まずはチャートの入れる位置。
チャートは内を主題とした写真なのかによって変わる。
ポートレイトであれば顔を主題とする。
ならば顔の位置に入れる。
洋服なら洋服の位置。ライティングのベストの位置に入れることが最善。
次にチャートによるグレーバランスの調整へ。
カメラによっては赤や黄色が若干狂っている物がある。
それを前述したように正しく整えてあげる必要がある。
無彩色は無彩色にである。
グレーバランスはトーンカーブで整える。
カラーサンプラーツールと情報パレットを用いて、チャートの無彩色部分を偏りのない様に整える。
この場合、グリーンが輝度、目で見た情報に近いグリーンの数値に合わせていく事になる。
レッドとグリーンを調整してグリーンに合わせていくようにする。
次にトーンカーブで階調を整える。
明るさやコントラストを微調整する。
前述したハイライトは飛ばさず、シャドーは明るめに撮影していれば、
ハイライトはそのままでもシャドーは必要であればここで絞める。
最後に色相・彩度で色の偏りを補正する。
この補正は大幅な補正はしない様にし、特に気になる部分に限定して
+−5度の範囲内で収まれば色のズレはほとんど気にならない。

必要最低限の階調補正はこの3つである。
光画として捉えた写真、光で描く光画は光をコントロールする技術を身に付けること、
完全な物にすること、階調表現、階調再現技術として捉えた写真では多階調データの階調を
大切に必要最低限の階調補正で美しい階調豊かな写真データを作ることが大切と改めて
もう一度再認識させていただきました。

そして『効けば写真が上手くなる。八戸編』の締めくくりとして、
人生の達人となる「き」を意識すること、
“二つの「き」を意識する”という言葉を説明いただきました。

一つめの「き」は
 機:機が熟すの機 - 物事をするのにちょうど良い状態になること
二つめの「き」は
 気:気を込めるの気 − 万物には気が存在し、そのものたらしめている根源

どこまで「き」を大切に集中しているか、
画家は一点一点、一筆一筆に自分の気を込めている。
それと同じように、写真を撮る場合の様々な所作、所為に気を込め、
被写体の気を感じ、撮る時に全身全霊を込め、
今がその時だ!これだ!と思える瞬間を撮る。
それが機を大切に、気を込めてである。

『聞けば写真が上手くなる。八戸編』、何度お聞きしてもその時点で
新たな自分なりの発見や再認識をさせられるなと思いました。
聞けば写真は上手くなる。
と確かに感じます。でもただ聞いただけではやはり上手くなることはないですよね。
聞いたことを心に留めてそれを反映させなければ。
実践する、それを継続すること、それが更なる上達に繋がるのかなと思いました。


第二部『デジタルフォトはLightroom2で完結』
第二部は先月発売開始されたPhotoshop LightRoom2の解説の時間です。
デジタルフォトグラファーの強力な助っ人
Adobe Photoshop Lightroom2を使いこなせば効率100倍
と題して解説いただきました。

まずはLightroomの成り立ちとして、
デジタルカメラが主流となり、コンピューターでの作業は当たり前のように伴ってきました。
仕事や作業をしているとどうしても類推だけでは上手く行かず、
まったく進まなくなってしまったりすることも多い。
そんなときに周りに知っている人がいればあっという間に解決してしまうこともある。
今の現状では一人ではどうしても打破できないことが増えてきている。
そんな状況になってきている。
Photoshopは突然手渡され使いなさいと言われても到底使えない。
CS3やCS4をいきなりでは使いこなせない。
複雑になっていく一方である。
かといってPhotoshopエレメンツでは使いやすいのだが
プロとして必要な機能は制限されており、物足りない。
そんな状況と環境のなか、プロとアマを問わずカメラマン誰もが使えるソフトを!
という要望から始まった。
アドビのソフトとしては初めての試みとしてパブリックベータテストを経ている。
もちろん電塾のメンバーもこのパブリックベータテストに真剣に取り組んだ。
世界中のカメラマンや関係者も取り組んだ。

その結果生まれたソフトがPhotoshop Lightroomである。

前バージョンまでは主にデータベース・ハンドリングがベースの
ソフトとして位置づけられたソフトであった。
パブリックベータテストで訴えたレタッチの要素はスポット修復ツールや
赤目軽減ツールが与えられてだけで網羅されていなかった。
ビネットレタッチも、切り取った後では使えなかったり。

バージョンアップしたLightroom2ではじめてキレイな写真をこのソフト内で
完結させて次の工程へと渡せるようになった。
Lightroom2は別名「フォトショップいらず」である。

PhotoshopでもCameraRawがあり、Rawでの撮影と階調補正は可能であった。
メーカー製のRaw現像ソフトよりも展開が速かったり、動作が軽い等の利便性はあったが、
画質品質的に疑問が残る物だった。

がここに来て、Lightroomにも使われるCameraRawの処理アルゴリズムが優秀になり、
画質も充分良くなってきている。
Rawで撮れば、階調情報基準において多ビット保存形式のRawワークフローが
高画質を保証してくれるのである。
その更に上を行くのがLightroomでの非破壊主義による高品位データの
汎用的な運用ワークフローの実現である。
LightroomではJpegデータであっても非破壊主義のもと、オリジナルデータを
直接補正することはしないうえ、階調ロスの少ない16bitデータとして書き出すことができる。
8bitデータを16bit変換した後に行う階調補正処理に比べても圧倒的に
高品質に処理ができるようになった。
取り込んだデータには手を加えず、情報に作業は作業で演算処理を行っていく、
そして最後出力をする場合などにその演算結果を反映させて新たなデータを作り出す。
元のデータには一切手を加えることがないのがLightroomであり、それが非破壊主義たる所以である。
これは前バージョンからのものであり、

Lightroom2では更に新機能や機能強化が数多く施されている。
・ 64bitOSに対応したアドビ製品として初めてのアプリケーション
・ ライブラリ参照の合理化、ライブラリフィルタバーを新設
・ キーワード仕様の簡略化、新しいキーワードセット
・ スマートコレクション、高度なキーワード機能など検索機能の強化
・ セカンドウィンドウでセカンドディスプレイに対応
・ 補正ブラシによる覆焼き/焼込み、段階フィルタによるグラデーション効果、
  切り抜き後ビネットなどのレタッチ機能の強化
・ ピクチャーパッケージなどのプリント機能の充実強化とJpegファイルの書き出し
・ より大きなファイルサイズのサポート。512万画素、65,000ピクセル
・ Photoshopとの連携機能強化 スマートオブジェクトとして開く/パノラマ結合
  /HDRに統合/複数レイヤーとして開く/CameraRawで編集など
補正ブラシの機能や段階フィルタなどの新機能、
機能強化により更にこのソフトだけでの画像補整作業が完結できてしまう。

さらに早川塾長はこのLightroomにより、カラーマネジメントと同様なワークフローも
実現可能だと説明してくださいました。
自分が作り上げた絵にパラメーターとして情報を付けてDNGデータを渡す。
次工程で必要な直し加えまたパラメーターとして付加して次へ送る。
最終的に印刷に適した変更を行いそのパラメーターで出力を行う。
と言うカメラRawワークフローである。
撮影した時点のデータは最終工程の出力まで全く手を加えられていないレアなデータで進み、
最もいい一度きりのデータ処理で印刷へとまわっていく。
美しい階調を保った美しいデータを考えればコレは最善な方法なのだろうなと思いました。

カメラマン、デザイナー、オペレーターみんなが共通理解と共通知識を持てれば
コレは可能になるのだろうなと思いました。

また1工程ずつ通常のLightroomでの作業のワークフローを
取り込みから出力まで説明いただきました。
その中でもこれまでLightroomを使っていて上手く使いこなせていなかった、カタログという存在。
私はそれを今回習得できました。
これまでだと、撮影したデータは全て一度一つのカタログに取り込み、
その中でコレクションを作りながら作業を行っていましたが、
今回改めて早川塾長の説明を受けたのは、

プロジェクトごとにカタログを作成し作業を行う方法でした。

実際作業を行っている上で、説明を聞いた方法がスタンダードというか
正攻法の使い方なのかなと思ってはおりましたが、これを行うことで一つのカタログが
膨大なデータになることもなく、スムーズに動くということ、
さらに必要であれば、カタログから読み込みを行い、一つの統合されたライブラリーに
することも可能であるを改めて認識し、この方法の方が効率良いし
リスクも少ないなと改めて実感しました。

今はこの方法で作業を行っております。
また、作業効率をアップする方法として、これまでPhotoshopで行ってきた
バッチ作業と同じ作業を行うことができるということも説明いただきました。
一つのデータに施した編集作業のパラメーターを同期ボタン一つで同じ編集作業が
必要なデータに一括処理することができるのである。
これは私も通常使っているが、一括処理の結果が一瞬で現れるため、
非常に作業が軽快だと感じていた。
パラメーターで処理を演算しているからこその賜。

全てのデータのライブラリーカタログとしてLightroomを
データベースとして扱うこともでき、さらに高品位のRawデータ処理ソフトとしても機能する。
まさにPhotoshopいらずであるなと思いました。

CS4ではもっと連携強化が図られるであろうLightroom。
まだ使っていない人は体験版からでも使ってみる事をお勧めします。
きっと効率100倍という早川塾長の話はウソではないと実感できるのではないでしょうか?


早川塾長一日ありがとうございました。
今回も写真家として、デジタルを扱う者として多くの再認識と発見をさせていただきました。

東には三陸の素晴らしい海の幸、西にはちょっと足を伸ばせば
神秘的な自然の美しさを魅せる奥入瀬渓谷と
心も胃袋も満たされる八戸でのセミナー・・
2日間のセミナーは知識と気力も満たされるセミナーとなりました。
2日間ありがとうございました。

   
 

 

 
写真 青木真人