■これまでの履歴■

<第5回定例セミナー> 2007.9.30

 
郡司秀明氏(電塾本部運営委員)と庄司正幸氏(電塾会友)による
『新カラマネ本徹底解説とIGAS2007最新技術レポート』
『レタッチを極める!!』(色演出・調整Photoshopはこう使う!)
   
 
 
レポート1  舟田 憲一

先日郡山にて開催して頂いた第3回セミナーダイジェスト版では、思っていた程の参加は無かったもののセミナー終了後の反響が結構あり、

「参加して良かった。紹介してくれてありがとう。」
「どうして良いのか分からなかった事が確認出来、本当に良かった。」
「今回はどうしても外せない用事があり参加出来なかったので、次回開催の際は是非参加したい。」

という声を寄せて頂いた。
セミナーにて紹介して頂いた[RGBワークフローガイド]も私の所属する福島県広告写真家協会にて購入させて頂いたが、なかなかセミナーに参加する事ができない会員の方にも好評で、とっても役に立っている様子であった。協会の事務局を担当している私としても本当に良かった。
実際、会を重ねるたびに新しい会員の方をお見受けするので、電塾セミナーの重要さが見て取れるようである。
今回の第5回セミナーでご紹介いただいた[図解カラーマネジメント実践ルールブック]や[RGB&CMYKレタッチ大全]も、画像を扱う仕事には大いに役立つ内容となっており、これだけでも『東北電塾セミナー』に参加していた価値があったと言えるものです。
今回のセミナー内容は『新カラマネ本徹底解説とIGAS2007最新技術レポート』『レタッチを極める』という表題で進められました。
今現在の世界から見た日本の印刷技術の高さなどを教えて頂き、今後はその技術力を生かした勢いを持って世界に発信して行こうとのことでした。日本人特有とも言える繊細な技術力の追求によってもたらされた現在の映像表現力、印刷機器の技術は未だ群を抜き、その中で様々な職種により利用している我々としては、その差に注意を払いながらモニターなりインキなりを使っていかなければならない。
「漢字をきれいに印刷する。」ための技術向上により結果として高くなった日本製の印刷技術と、文化の違いで発展した異国の技術力とではそれなりの差があるとのことでした。
写真関係者・デザイナー・印刷業会などでは主流となっているMacは残念ながら異国のものですが、モニター・印刷機械などについては国産のほうが良いので、使う機材は内容を考慮したうえで選びましょう。
パソコン本体よりもモニターにお金をかけ、使用する際のスピードや保存容量よりも仕上がりを重視したシステムの構築を図る方が大切であるということでした。
いま新しいパソコンの購入を考えるとすれば、やはり少しでも良いもので少しでもながく使えるようなものをということが先に立ち、パソコンだけで60〜70万は軽く超えてしまうような金額となってしまいます。ソフトもPhotoshop CS3で13万円以上かかります。
そこにモニターです。
最高のモニターを使おうと思うと数十万円かかってしまいます。金銭的に余裕のある方は別ですが、これだけの金額がかかる事を考えたら購入の見送り・現状維持となってしまい、今まで通りのずれた色調やコントラスト、合っていない仕上がりで満足せざるを得ないということになってしまいます。この流れを変えるための方法として、キチッとした色調の表現ができる最低限のモニターだけは揃えておこうということでした。それができる物として紹介して頂いたのは、20インチ位で10数万円程度、私でも手の届く範囲となります。決して安くはありませんが高すぎるという程でもなく、必要不可欠と言える物だと思います。
「さあ、自分の作業環境が整った。これで何も問題は無い。」残念ながらここからが問題で、納品先によって環境の違いやモニターの設定、確認する際のソフトの違いや設定の違いで、同じ画像データを見ているにもかかわらず違う色を見ているという事があります。この問題は自分だけでは解決する事は出来ませんので、お互いに使う機材・ソフト・設定を確認しておく必要があります。
ご自分でお使いのモニターなどの設定がしっかりなされているにもかかわらず、納品後に色調などのクレームがあった際には、まずはこの辺りの確認をした方が良いでしょうという内容でした。
さらに「R・G・B画像のぼかしの効果」「USM(アンシャープマスク)で色が変わる」「文化が作り出したインキの特徴」「海と空の色の調整方法」「特定色域とは」「レタッチのポイント」「白い物に対する色表現でのプロとアマの違い」等など、様々な内容で分かりやすく紹介して頂き、今まで「何となく」でしていたことがこれからは「自信を持って」の作業になっていくと思われ、このセミナーへ参加することの重要性が見えたようです。
お客様に自信を持って自分の作品をお渡し出来るよう、今後もこのセミナーには参加していきたいと思います。

お忙しい中私達のためにご講義いただきました講師の郡司氏と庄司氏、さらに毎回、地元ではないにもかかわらずこの会を取りまとめて頂いている事務局のスタッフの皆様、本当にありがとうございました。

また次回も宜しくお願い致します。
  

   

  

 
東京から駆けつけて下さったワークスコーポレーションの花山様、ありがとうございました。


レポート2  影山 仁


第5回定例セミナーが9/30、仙台で開催された。

マスター郡司こと、郡司秀明氏(電塾本部運営委員)、と庄司正幸氏(電塾会友)を講師に迎え、まず『新カラマネ本徹底解説とIGAS2007最新技術レポート』と題されスタートした。

9/21〜東京ビッグサイトで行われていたIGAS2007(印刷イベント)でのレポートでは、日本印刷は精度が非常に高いということや、写真印刷等をとっても、その技術の高さは世界一であるということがわかった。

その後、中国の印刷の近況や日本に比べ中国の印刷技術は遅れをとっているとは言われているものの、 IT産業である大連市を中心にもの凄い勢いで追い上げてきているという話も聞くことができた。
尚、これからは印刷の細かい技術を覚えさせるという考えよりも、デジタル印刷機の技術を覚えさせる方が早く、低コストにもなるという印刷業界の現状の話や業界がその先どう変わるかといった内容であった。
最近は、キャリブレーションタイプのモニタが安くなってきている。手軽にCMSをすることが出来る様になってきてはいるものの、まずそこにお金をかけることよりもコンピュータなどにお金をかけて、CMSの重要性がわからない人も少なくはない。身近にいる人にセミナーを勧め地方の印刷レベルを上げるということもまた大事だなと感じた。

郡司氏が
「モニタを調整するときは、自分の目を信じるな。品質を生み出すときは自分の目で」
とおっしゃっていました。

なるほど!

その他、人間の目の話や背景による弁別能の差、環境光の話があった。環境によって色の見え方が全く違うということをプロジェクターを使ってその場で体験させてもらうことも出来た。
モニタの仕組みの話へと移り、良いモニタ悪いモニタの判別の仕方、推奨するモニタ、
環境光も600ルクス、70カンデラ以下、5000K,ガンマ1.8が良い環境であると言うことであった。
カラーマネジメントにおける印刷基礎知識としてトラッピング、逆トラッピング、ドットゲインの話などがあった。ただCMSを覚えるのではなく、後工程を考えた上で必要な印刷知識は知っておくことが大事だと再確認できた。

話はレタッチへと移り,RGB画像のぼかし効果、USMのかけ方、RGB画像にUSMをかけると色が変化してしまう恐れがあることや金帯等をRGBでUSM処理するとスミかぶりしてしまう恐れがあるとの注意すべき点を上げていた。
良いUSMのかけ方としてはサイズを決め、CMYK変換後、USM処理するのが一番だと言うことだった。
「海と空の色を出す処理法」で(必要色)と(不必要色)を屈したRGB上の特定色域の選択オプション処理はメリハリがつきとても有効だった。
その他「桜の色の出し方」など、シーンごとの画像調整やレタッチ方法のレクチャーがあった。

ココでも郡司氏が
『RGBは悪魔の様に大胆に、CMYKは天使の様に繊細に』
との名言が。

ココでもまたなるほど!
というのが大体の内容でした。基礎的な事から一歩踏み込んだことなど、一つ一つ小さな疑問を解決出来るこのセミナーは為になるなぁー、とまた実感しております。

『カラーマネージメント実践ルールブック』と『RGB&CMYKレタッチ大全』を読みつつ次回のセミナーを楽しみにしております。

お忙しい中、郡司先生、庄司先生ありがとうございました。
そして東北電塾のスタッフの皆さん、受講者の皆様お疲れさまでした。
 
写真 藤山武