■これまでの履歴■



<第1回定例セミナー> 2007.5.26  
  
鹿野 宏 氏(電塾本部運営委員)による『Adobe Photoshop Lightroom徹底解説』
 
レポート1  金子観史
第一部は電塾本部運営委員の鹿野宏氏による「Adobe Photoshop Lightroom徹底解説」が行われました。
まず、「Lightroom」と「Photoshop」の役割のお話で、Photoshopが苦手な方や不慣れな方にもLightroomは役割に特化した、ソフトなので馴染み易いのではないかと思いました。お話しの中にもありましたが、Photoshopの機能を普段3分の1の使っていない人が大半であろう事を考えればLightroomでのワークフローを習得した方が早道だと思う。その上で、Lightroomではできない調整や、画像処理をPhotoshopに任せる方法が現実的だと思う。
操作の解説の中でショートカットの検索を各モジュールごとに引き出せること、ここでお話いただいたショートカットは最低限覚えておいた方が処理が速く進むのは確か、ライブラリモジュールでは表示方法、検索、フォルダなどのほかにLightroomの特徴の一つであるいくつモノ方法があるセレクト機能の実演を見せていただいたが、是は各自の一番扱いやすい方法を見つければかなりの効率アップになるだろう。
現像モジュールでは豊富な調整機能とカスタマイズの方法や特にバイブランス(自然な彩度)の説明、ごみ取り機能などは役に立つ機能ではなかろうか、続いてスライドショー、プリント、WEBについての解説以上を踏まえて実際のワークフローに行かせるお話しが沢山有ったと思います。
特に、ライブラリのお話の中でデータベースの構築においてのLightroomの役割は大きく鹿野氏も仰っていましたが、次期バージョンではさらに柔軟な機能が搭載される事を期待したい。次期PhotoshopCS3ではLightroomとの連携も最大限利用できるようなので、「自動処理」も含めた納品形態の効率化を期待できるのではないでしょうか。
次回も、鹿野氏によるPhotoshopCS3の解説です。時期的に非常にタイムリーなお話になる思います。
鹿野さんお疲れ様でした。次回も宜しくお願いいたします。
 
   
  
 
   
  
庄司 正幸氏(電塾会友)による『キャリブレーションの重要性とプロファイル』
 
レポート2  佐藤浩視
午後から電塾会友の庄司氏によるカラーマネジメントのセミナーが開催された。2回にわけてのセミナーで第1回目の今回は「キャリブレーションの重要性とプロファイル」というタイトルでの講演である。
以下にそのときの講演の概略を記す。

画像のデジタル化に伴い、カラーマメンジメントの重要性が叫ばれて久しいが、適切な処理が画像処理の現場に浸透しているとは言い難い。カラーマネジメントをワークフローの中で破綻させずに運用していくためには、各ディバイス間のカラースペースに即したガマットマッピングを行うためには適切なプロファイルが欠かせない。プロファイルの無視や破棄、また選択ミスといった処理によって撮影した元画像の情報が歪められてしまうことが、トラブルの原因の大半だと思われる。また、キャリブレーションをとることも重要である。撮影時のホワイトバランスやPCモニターのキャリブレーション、環境光のキャリブレーションと画像を確認する環境の標準化がなされないと、意味がない。カメラマンにとっては特にモニターのキャリブレーションは重要であり、基本といってよい。モニターの選択にも注意を払う必要がある。RGBプロファイルとしては一般的なsRGBとプロ向けのadobeRGBがあるが、sRGBはポジのカラースペースよりガマットが小さいばかりではなく、印刷のカラースペースより狭い色域もあるのに対して、adobeRGBはポジのカラースペースをほぼカバーしており、プロが印刷を前提とした仕事をするのであれば、こちらを使うべきである。また、オフセット枚葉印刷機用のCMYKプロファイルとして、Japan Color2001があるが、国内の標準的な印刷条件に適したプロファイルであり、対応できる印刷会社も増えてきている。印刷会社や新聞社で独自にプロファイルを作成、カメラマンに提供しているところもあるが、理想的なプロファイルの作成は難しく、成功しているところは少ない。新聞用としては、Japan Newspaperがあるが、新聞広告用としてNSACが普及していくと思われる。雑誌広告用としてはJMPAカラーを基にしたJapan Web Coatedがあり、輪転機用のプロファイルである。SWOPはアメリカのオフセット輪転機用のプロファイルであり、国内とはインク等、印刷条件が異なるので、使用するべきではない。CMYKプロファイルは印刷条件によりいろいろあるが、カメラマンは基本的にはRGB入稿を前提とするべきで、CMYK入稿を依頼された場合は、各CMYKプロファイルの違いを充分認識したうえで変換するのが望ましい。プロファイルの変換がガマットマッピングを行うのに対して、プロファイルの指定はタグの付け替えであることに留意し、操作ミスをしないよう注意が必要である。

以上が講演趣旨になると思うが、豊富な図式、チャート、計算式等を表示しながらの講演であったので、わかりにくい概念が理解しやすかったのではと、推測する。特に、ポジとadobeRGB、sRGBのカラースペースを重ねた図は視覚的に理解できるので、好評であったようだ。印刷に関係してくるパラメーターを図式化した画面では写真を撮る受講者が多く、興味をひいたようだ。次回は「ワークフローの構築とプロファイル」の予定で、いよいよカラーマネジメントの実践的な面からの講演になると思われる。次回講演が楽しみである。
 
写真 藤山武