第70回九州電塾セミナーレポート

九州電塾13-10

10月の電塾、今回で70回、今日のテーマは新しい写真表現、そこで本部電塾運営委員で、コマーシャルフォトやその他色々な方面で新しい試みを発信されている、染瀬さんに講師をお願いしました。実は去年の全国大会で僕と近藤さん2名がじゃんけんに勝って、講師依頼の権利を2名分勝ち取っていました。8月に近藤さんが上原さんを、僕が今月染瀬さんにお願いして、実現しました。染瀬さん、仕事で海外に行かれていたり、10月は本部電塾で染瀬さんが中心になって開催されたパノラマ動画のセミナーなど重なり、大変お忙しい中おいでいただきました。まず染瀬さんの経歴を紹介し、そのあと写真の歴史から入って、印刷からWEBへの表現の移り変わりを歴史資料や、動画を交えながら話していただきました。デジタルカメラの発達と進化に伴いデジタル表現も様々な技術が開発され、ソフトとハードの組み合わせで表現領域が拡張されていきましたが、さらに技術が発達するとハードやソフトにその技術が搭載され、テクノロジー失業(今までの仕事が技術の進化でなくなる)の時代がきています。しかしそこで何もしなければそこで終わりです。だからこそ写真と動画の狭間の表現に注目することが必要です。そこでまず1番目に360°パノラマVRの360°画像の解説です。最近は360°パノラマVRを普通に目にするようになってきました。その代表がGoogleストリートビューの登場です。車の車載カメラとして世界中を動き回り、居ながらにして自分の見たいところを自由に見れるようになりました。今までは車道の上だけでした、それが自転車につけるシステムで近いところでは熊本城など細い道でも見れるようになり、最近では人間が背負っていけるシステムも開発され、自然遺産の八丈島など、人しか歩けない道も見れるようになり、その充実ぶりには眼を見張る物が有ります。染瀬さんも今年の夏に長崎・軍艦島で、SONYのマルチコプター撮影に同行して、そこでたくさんの360°パノラマVRをLinkIconネットに公開されています。そして今回、宮崎からLinkIconよしみカメラさんの一木社長、山崎さんがお見えになっていましたので、機材の紹介も含みながら撮影の解説をお話ししていただきました。僕はマニュアル雲台のノーダルニンジャを使用していますが、そのほかにも魚眼レンズ用にマウントが用意されている雲台などいくつかのシステムを持ってきていただきました。中でもすばらしいのがROUNDSHOTではないでしょうか、これは自動化された電動雲台でVRだけでなくギガピクセル、タイムラプスなど金額は張りますが様々なことができる雲台です。そして今回RICOHのLinkIconTHETAをお持ちになってました。皆さんご存知ですか、1ショットで360°天球画像が撮影できるカメラです。今までの苦労が嘘のように簡単に360°パノラマVRが作成できます。そして共有もFaceBookやTwitterで簡単に行えます。後何年か後には動画も撮れるようになるでしょう。その次がギガピクセル画像の解説、ギガピクセル画像とは、その名称の通りギガピクセル10億画素以上の写真です。今まではこんな大きな画像はコンピュータに表示させることさえできませんでした。しかしマルチレゾリューションの技術が開発され必要な部分を断片的にダウンロードすることにより、iPadやiPhoneでも見ることができるようになりました。最近では染瀬さんも撮影に協力して作られた、LinkIcon六本木ヒルズからの都内の画像が有名です。これらはまるで望遠鏡を使って展望台から見ているような、景色を見ることができます。家に居ながらにして見ることができるんです。染瀬さんは人間の眼を超越する、という表現をされていましたが、まさに、あたらしいい視覚体験がそこには有ると思います。アンドレア・グルスキーの写真も今話題ですが、これも高精細画像のプリントによる巨大写真がもたらす新しい体験がそこに有ると思います。次が僕も非常に興味が有るパノラマ動画のお話です。いままでの円周パノラマ動画では、全方位ミラーを使用したカメラが高い物から安い物では、iPhoneにつけるミラーアダプターまでいろいろ有りましたが、今年になってステッチ用のソフト、表示用のソフトが発表され、そしてハードもLinkIconGoPro3を使用したリグが3Dプリンターで作れるようになり、一気に僕たちでも手に入れられるようになってきました。今年はパノラマ動画元年といわれているそうです。プリウスのCMにもVR動画のエクレクタングラーという投影法を用いた映像が使用されていましたがそのカメラはLady Bugという数百万円する高い機材です。今回染瀬さんのFREEDOM360のリグとGoPro3で撮影された動画を見せてくださいましたが、画像を再生しながら自分の好きな方向を見ることができたり、再生中に投影法を変更して、リトルプラネットで再生したり、まさに新しい映像表現でした。今現在ソフトはVideo StitchとPT Guiを使う方法とAutoPanoVideoとAutoPanoGigaを使う方法が有るそうです。そして再生はKolor Eyes Video PlayerでiPadやiPhoneでもインタラクティブに再生が楽しめるそうです。その他にもアクションカムを使用したパレットタイムや静止画での動画の表現シネマグラフの紹介など、今回は時間が30分押してしまいましたが、あっという間に時間が過ぎていったセミナーでした。染瀬さん、そしてよしみカメラの一木社長、山崎さん、ありがとうございました。

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