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2013年 8月 動画特集

8月は動画を特集でした。「ただの手ブレ補正装置じゃない!ステディカムによる映像表現」「 UAV(無人ヘリコプター)を使用したリモートコントロール航空撮影」「幅広いレンジとポケットサイズを実現した、手が届くデジタルフィルムカメラ」BlackMagic Cinema Cameraシリーズ「プロが使用する高機能カラーグレーディングソフト DaVinci Resolve Liteと DaVinci Resolve Software」を取り上げました。

午前の部 「ステディカムのすべて」

銀一(株)海外商品部 柏原一仁氏

 柏原氏(通称カッシーと呼ばれ人気者)は学生時代から電塾には塾生として長年参加。非常に勉強熱心な好青年で、勤務先の銀一においては期待の星であろうと思われます。

今回は昨年11月のGoProのプレゼンテーションに次ぐ登壇です。

 stedicam1.jpg  (この写真は昨年11月撮影)

 「ステディカムとは、カメラマンがカメラを持って歩いたりあるいは車載した際に、その移動によって生じるブレや振動を抑えスムーズな映像を撮ることを目的に開 発されたカメラスタビザイラー。スムーズな移動映像を撮影するためには、これまではレール上の台車やクレーンにカメラを載せて移動するという大掛かりな手段しかなかった。

しかし、ステディカムの登場によってカメラマンが手持ちカメラのまま走ったりしても容易に滑らかでスムーズな移動映像が撮影できるようになった。」 ウィキペディアより引用

 今回のプレゼンテーションの為にステディカムの現物が用意できなかったのですが、柏原氏はボールペン一本をステディカムに見立て、全身を使い”エアーステディカム”で見事にプレゼンテーションをこなしてくれました!

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  欧米では「ステディカム オペレータ」という職業が確立されてきているようです。

以下のYouTube映像を見ると驚きです。

 http://www.steadicam.jp/news/2238.html

http://www.youtube.com/watch?v=huvDYZyfk1k

 日本では『世界ふれあい街歩き』NHK BSプレミアム というテレビの番組で使っているようですが、ほとんど「ステディカム オペレータ」はいないようです。

 人が自由に動きながらカメラを扱うことのできる道具が「ステディカム」。

もはやこの道具はブレや振動を抑えるためだけの道具ではなく、カメラマンの感性に追随する表現手段のひとつだと確信しました。

 「ステディカム オペレータ」を養成するためのワークショップセミナーが世界各地で行われているようです。

柏原氏もこのセミナーをアメリカで受けて来たようです。 

           stedicam3.jpg                     この経験があればこその全身を使った臨場感のある”エアーステディカム” と

ひとを引きつけるプレゼンの上手さに、思わずカッシーの世界に引き込まれた楽しい時間でした。

 

レポート/本部運営委員 柳川 勤

第1部「UAV(無人ヘリコプター航空撮影)の世界」

 

(株)ワーナー・グレイ 代表取締役社長 山口 博 様

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最近鳥の目線のような映像を多く見るようになりましたよね。

運営委員の染瀬さんも同行された、軍艦島をマルチコプター+ソニーHDR-AS15 HDで撮影した動画は皆さんもご存知の事でしょう!(http://www.youtube.com/watch?v=73B5Dv0aNJM)

その空撮を担当したワーナーグレイCEO山口博 様に今回ご登壇いただきました。

空撮だけの会社かと思いきや、ここでは述べませんが、どこにそんな時間があるのだろうというぐらい、マルチなご活躍をされております。

詳しくは>>>

http://www.warnergray.co.jp

http://www.skyshoot.jp

http://www.skyship.jp

軍艦島の撮影は、マルチコプターを飛ばす操縦士、そのカメラから送られてくるライブの映像から瞬時に判断し、進行方向を伝える山口さんの二人体制でこの映像が撮られたそうです。海の真ん中で撮影している為、風がもの凄いのだそうです。ですが、操縦士は近くに飛んでいる鳥を見ながら 強風になれば退避場所をいとも簡単に探し、機体を安定させていたようです!数分程しかも保たないバッテリーの為、ストップウォッチも気にしながらと、それら多くの縛りをYouTubeにUPされている映像で感じる事は、この話を聞くまでできませんでした。*カメラや周辺機器の重量が増す事と、低温や標高の薄い気圧等の悪条件では、3~4分の飛行だそうですよ。

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正直なところ、金額も手頃そうでなんだか操作も簡単そうなマルチコプターにアクションカメラ付けて飛ばして仕事にならないものかと、甘~く考えていた私です・・・。

産業用の無人ヘリを除き。特に免許のいらないこの手のラジコンヘリ。人や家屋の密集する箇所での飛行は安全上さける必要はあるものの、有人機と違い低空飛行申請なるものが必要ないので、アイデア次第で面白い画がカンタンに撮れるワケです。

で・す・が、軍艦島のケースでも話したように、素人にはカンタンには飛ばせないのです。しかも、操縦と撮影を一人でするとなると、かなりの制限、それから操縦のテクニックがさらに必要となるのです。

今は操縦のシュミレーターがあるそうで、それなら墜落しても機体は壊れないよと話してましたが、それを毎日やって慣れるまでに数ヶ月かかるって笑顔で話されていたのが印象的でした。

因に、写真の一番右のヘリコプターで約400万円です。確かカメラは別だったような?!

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これで、ミュージシャン”コブクロ”「blue bird」のPVを撮影したそうです。気になる方はiTunesのミュージックビデオで検索してください。ノーカットのこの撮影、二人の操縦士が必要で、ヘリの操縦士1人とカメラアングルを動かすもう1人。マルチコプターと違い、プロペラに殺傷能力がある為、出演者全員(全部エキストラだそうですよ!)に保険をかけなければならないそうです。

 なかなか、ここまでのヘリは購入できないでしょうが、マルチコプターであれば金額的にもハードルが低いです。いろいろ機体がありますが、乗せられるカメラの重量によって金額も変わってくるようです。

 

圧倒されたというのが、個人的な感想。1000フィート(約300m)以下では有人飛行機での撮影はできないその空間には、無限の可能性とマネーが秘められているようですね!
 

最後に・・・

昨年秋、アルピニスト栗城史多氏のドキュメンタリー映画空撮のためエベレストへ2ヶ月間行かれたお話も伺いました。今回展示されていたシングルローターヘリ2機と大型マルチコプター1機を持ち込み、ナント標高約6000mにて空撮を行い成功されたそうです。現在、高高度記録をギネスへ申請中との事でした!

 

【エベレスト 登山家・栗城史多氏 ドキュメンタリー映画 空撮】

●近々封切り予定!乞うご期待!

 

▼カトマンズ/シングルローターヘリ及びマルチコプターお披露目

   http://www.youtube.com/watch?v=nEgUDQ1awmA

 

▼パクディン/吊橋(マルチコプター)標高2610m+200m上空飛行

   http://www.youtube.com/watch?v=8LvsXjLnLDs

 

▼ペリチェ/川原(シングルローターヘリ)標高4240m+200m上空飛行

   http://www.youtube.com/watch?v=kjGzyM12cSg

 

▼カラパタールの丘(マルチコプター)標高5550m+250m上空飛行

   http://www.youtube.com/watch?v=mFkMfcyHum4

 

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レポート/運営委員 菊池 斉

■第二部 BlackMagic Cinema CameraシリーズとDaVinci Resolve Software  
説明、担当 BlackMagicDesign 村杉 卓也 様  marimo RECORDS 江夏由洋様

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BlackMagicDesign 村杉 卓也 様

まずは BlackMagic Cinema Cameraシリーズです。RED と同様の動画のRAW記録が出来る数少ないカメラです。しかも本体20万円!(もっともレンズはもとより、バッテリー、記憶媒体などすべて別売りだそうです。高速なSSD 512GBだとこれだけで6万円くらい軽く行きます)一眼レフタイプで動画を撮影していて「ビデオとは一線を画す仕上がり」を目指す人間にはとても気になる…手が届きそうだという意味も込めて…存在です。

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Blackmagic Cinema Camera
現在キヤノンEOSマウントとフォーサーズマウントを持つ、BlackMagic社の主力商品です。イメージセンサーはスーパー16センサーサイズ、(つまりマイクロフォーザーズよりはほんのちょっとちっこい)実はBlackMagic社、ボードやコントローラ一体型のCollarグレーディングソフトなどが本業で、ついついハードにまで手を出してしまった…と言うところが本音のようです。触ってみると、確かにサービス満点とは行きません。「なんでこうなの?」と言う箇所がいくつもあります。使用できるフレームレートは最大秒間30コマで、いわゆるオートフォーカスやJPEG のような完成された画像は吐き出しません。 でも撮れる絵は凄い。130MB/sと言う驚異のビットレート、13絞り分のダイナミックレンジ!どんなからコレクションにも耐えられます。殆ど補助光いらずで撮影できます。いえいえ、シャドウ部のディテールがデジタルカメラでRAW撮影したようなフィルム時代には想像も出来ない表現が可能です。 しかもこのカメラ、Mac OS X/Windows版のフルバージョンのDaVinci Resolveソフトウェアを同梱しています(だからカメラの中ではなにもしないのね?)…普通に購入するとこれだけで10万円!しかも先月まで40万円だった…それでも安いと思っていたのに!
ただ、マイクロフォーザーズのレンズでマニュアル絞りのレンズってあまりないんだよね…。
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Blackmagic Pocket Cinema Camera
さらに新製品の BlackMagic Cinema Camera Pocketが控えています。
こちらも13ストップ・ダイナミックレンジ、スーパー16センサーサイズ、と基本的なスペックはにています。ただ、RAW 撮影はlossless CinemaDNG RAW、つまり圧縮されているのでどの部分がはしょられているかはまだ未確認です。もちろん1080HD解像度のProRes 422(HQ)収録、アクティブ方式マイクロフォーサーズ(MFT)レンズマウント
ファイルを高速SDカードに直接収録するので、ラップトップで直ぐにメディアの編集、カラーコレクションを実行できるそうな。Final Cut Pro Xを使っている人間には嬉しい仕様。データは高速SDXCカードに収録。ただし DaVinci Resolveソフトウェアは同梱されていません…。同梱されていたらただになっちゃうね。見かけはカメラです。しかも大きめのコンデジ。なのに写真は撮れません…RAWファイルを現像すれば連番のTIFF になるので 良いんだけどね…なんだか納得出来ない不思議なカメラ。でもこれが10万円…。仕上がりで他に差をつけることが確実に出来ます。

Blackmagic Production Camera 4K
これもComingSoon。でも今回は特に触りませんでした。4Kハンドリングできるマシンを皆持っていない物…と言いつつ、来年には普通になっていたりして。

Recordingビットレートは80Mb。おまけに圧縮していない(Pocketは可逆圧縮しているそうな…ロスレスのRAW   何所を圧縮しているんでしょう…まだ実機が検証出来ていないので、これからですね)基本的にRAWで一枚一枚連番で撮影するタイプですが、通常の動画も撮影できます。  DNXHD とProRes422です。もっともDNXHDはアビット社のフォーマットでアビットでしか開けないそうです。

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marimo RECORDS 江夏由洋様 とても博識で解説も素晴らしい方でした。

そういえば422と言う言葉の意味と BMD FILM LOG ガンマと言う言葉の意味をようやく知ることが出来ました。422というのは私たちが知っているYCbCr とよく似た規格で YPbPrと言う方式で、通常写真の世界ではすべてにフルの情報を与えますが、「b」「r」は半分に削っても動画は成り立つので削ッちゃえ!と言う方式。ほんとはすべての信号に444の情報があるのだけれど輝度情報は4のままで、赤緑の色差と青黄色の色差は半分でいいや!と言う物。本来は12必要な信号量を8まで削っているのです。そのため後から色変換や明度調整が入ると絵が破綻しやすいのであらかじめ「そこそこの好ましい色」をカメラの中で作ってしまおうという物です。これがビデオの色。

420というのはさらに Pb Pr のサンプリングを交互に行うため1/4にまで圧縮出来るという優れもの。ただしこれを行うと殆ど後から編集できないと思った方が良さそうです。
 
同じ422でも BMD FILM LOG ガンマという選択肢もありフィルムのような画質、高階調、高ダイナミックレンジを期待できます。 LOG とは圧縮コーディックの中に多くの情報を詰め込む手段だそうです。Log圧縮という言葉は最近聞きますが メーカーによって仕様は異なりソニーログ キヤノンログ、ハリウッドにもその規格があるそうです。こちらも422なのですが、記録時にハイライトもシャドウも記録出来る物はすべて記録する。その際にガンマカーブを仕上がりガンマにするのではなく、かつてのLogのように(もともとフィルムをデジタル化する場合の対数の規格でネガ濃度の0.002の濃度差を10ビットデーターの1コード値に置き換えていた物。だから見た目にはのっぺりして彩度も低い。代わりに多くの情報を持つ)きわめて緩やかなカーブで記録した物だといいます。そのためそのままでは使用出来ないため、一端Collarグレーディングをする必要があるのだそうです。うーんRAW の性格を与えられた Jpegと言っても良いかもしれません。そのためセンサーの特性を最大限に活用でき、ひとランク上のダイナミックレンジや階調を持つ事が可能となるのだそうです。現像に近い行程を必要とはしますが、うらやましい事です。ちなみにこれを現像するカーブで定番は REC709 と呼ばれる業界のカーブだそうです。うーん見てみたい!

で、この特性を生かすためにBlackMagic社の 「DaVinci Resolveグレーディングソフトウェア」が必要になるのだそうな。ア、そうだったのか! DaVinci Resolve はカラーコレクションツールですが現在は編集も可能で、業界定番のソフトウエアだそうです。(値段の安さと使いやすさ、そして高性能なことで一躍トップの座に躍り出た…らしい。安いといってもコントロールボード付きのフルバージョンは¥3,248,000!ただしソフトだけ買えば10万円…なんでやねん!)
ダビンチリゾルブは何でも読み込みます、ただし AVCH 以外は。これってAVCHDが貧弱なビットレートだからCollarGradingの意味がないためかと思いきや、ライセンスの問題らしい…失礼しました。

DaVinci Resolve はなんだかアップル社の以前の「Color」によく似ていました。何か技術者が一緒とか関連性があるんでしょうね。実はDaVinci Resolve は映像と編集ソフトの間をつなぐ「ハブ」の役目をするものだそうです。これだけで飯を食える!と言っておられました。
基本的に二段階の作業をするそうです。まず最初にプライマリとしてカラーコレクション。すべてのクリップの色をそろえる作業。その後のセカンダリがカラーグレーディングで、色を作り上げること。なんか良く解ります。しかも自動トラッキングで唇や髪の毛の色を動いている人物上で編集することが出来るのです。凄いですね!

Blackmagic Cinema Camera は2.5Kでの記録が可能です。これは2400×1350となり、必要な1920×1080からちょっと多めの数字です。(RAW以外は1920×1080で記録)これも不要物を切り取ったりちょっとした傾きや画面のずれを合わせるためらしいです。うーんぜいたく!

REDに比較して安定感は?と言う質問に対して「ぜんぜん問題無かった」とのお話し。基本的に構成が単純だからでしょう。