■誤解されがちなガンマの話

良く使われるカラースペース、AppleRGBはガンマ1.8、sRGBはガンマ2.2、再現色域の差は大きなものでは無くガンマ値の違いによる濃度差が最も眼に付きます。
プリントや印刷物など反射原稿はガンマ1.8、カラーポジや標準的なモニタはガンマ2.2と言われています。
モニタ調整アシスタントやKnoll Gamma等でガンマを調整した場合、ガンマ1.8よりもガンマ2.2のほうが表示は暗くなります。
その結果、ガンマ1.8のデータよりもガンマ2.2のデータのほうが暗いデータなのだと思い込まれている方が多い様です。
ひとくくりにガンマといいますが、前述の例は表示結果(表示機器)のガンマの話です。
一般にガンマというとこのガンマ値を指しています。
Photoshopのレベル補正で中間濃度スライダーを移動すると、表示数値も変化しますが、この数値はガンマ値の変化量を表しています。
開いているのがリニアデータ(ガンマ1.0)であったとしたら、スライダーで変化させた後の表示数値がそのファイルのガンマ値となります。
ちなみにリニアな画像データ(ガンマ1.0)というのは、ガンマ2.2の一般的なモニタで表示したら明るくてフラットな画像です。
ガンマ1.0という表示特性のモニタが有れば正常に表示されるはずですが。
ガンマ1.8(例えばAppleRGB)のデータを開いてレベル補正で中間値として1.8を打ち込むとリニアデータ(ガンマ1.0)の状態をシミュレーションすることができます。
そうです、ファイルのガンマ値は数字が多いほど明るく表示されるんですね!
もちろん表示だけでは無くデータそのものも明るくなっています。
反対に数値を0.55などと1よりも小さくすると暗くなります。

デジタルフォトデータのガンマ値とは、入力から出力までのトータルな環境の中で考える必要がありそうです。
元をたどればリニア(直線的)な階調はリニアに感じられないという、人間の眼の感受特性に端を発しているのですが、
同様に各々の出力機器に応じた固有のガンマ特性を考慮しないと、視覚的に正しい階調を得る事ができないのです。
それら出力機器固有のガンマ特性が、反射原稿のガンマ1.8、TVモニタのガンマ2.2であり、sRGBのガンマ2.2、AdobeRGBのガンマ2.2、AppleRGBのガンマ1.8です。
AppleRGBがガンマ1.8なのはプリントや印刷物のガンマ特性とモニタの表示を近付けるための意識的な工夫です。
sRGBやAdobeRGBがガンマ2.2なのはモニタ本来のガンマ2.2をそのまま素直に採用しているからです。
数有るRGBカラースペースの多くが各種モニタの再現範囲そのものであることはお分かりの事と思いますが、広範色域RGBやProPhotoRGBなど再現できるデバイスは存在しない計算上のカラースペースも有ります。
それら表示装置、出力装置のガンマ特性に対応して画像入力時に、そのガンマ特性を補完する逆数のガンマ値を与え、入出力トータルでガンマ1.0(リニア)の状態にするのがデータのガンマです。
ガンマ1.8に対応するために1÷1.8=0.55のガンマ値になります。
ガンマ2.2に対応するためには1÷2.2=0.45となります。
スキャナなどでガンマ1.8で取り込みますという設定は、実は画像データをガンマ0.55で取り込んでいるのですね。
これをガンマ1.8のデータだと思い込むと誤解が生じます。
ガンマ1.8の表示に適合させるためにガンマ0.55の特性を与えたデータなのです。