第47回九州電塾セミナーレポート

九州電塾11-06

6月18日今回も九州産業大学の講義室をお借りしてセミナーを行いました。
今回はデジタルフォトの最初の肝、モニターとキャリブレーションのお話しです。
フイルムでは、ポジが色見本としてポジどうりとか、ポジを基準に入校を行ってきたわけですが、デジタルになると基準をどうするのかが問題でした。
ポジを見る場合は、5000°ケルビンのAAA蛍光灯を使用したライトボックスを使用して色を確認していました。デジタルではモニターが基準になります。
モニターがちゃんとしていないと何を信用していいのかがわからなくなります。日本の業界で一番使用されているモニターがナナオのCGシリーズです。
そこで今回(株)ナナオの木田さんにナナオのモニターについて語っていただきました。今回持ってきていただいたのはCGシリーズの新製品センサー内蔵のCG275Wです。
1年前に比べて本当に簡単になりました、これを使用すればソフトを起動して、キャリブレーションする時間とタイミングを決めるだけです。後は寝ている間に色を整え、作業する時は常に同じ環境で絵を見る事が出来るんです。難しい話はいりませんモニターはこれで最適な環境になってくれます。ですが問題は!それはモニターを置く作業環境です。このほうが難しい問題かもしれません、基準となる考え方はシンプルです。モニターと机の上で見る環境を同じにする事です。もしモニターが5000°ケルビンであれば環境光もAAAの5000°ケルビンの蛍光灯に換え、モニターの輝度と机上の照度を同じにするのです。
皆さんカメラはもちろん持っているわけですから、モニターを反射式で計り同じようにいつも使用するプリンタ用紙の用紙面を反射式で計り同じ値にすればいいんです。モニターの輝度は80カンデラから100カンデラの間で設定しその値と同じ照度を環境光で設定します。部屋中でなくても構いません、卓上の蛍光灯を使用すればもっと簡単です。部屋の壁の色にも気を使いましょう。色のついた壁は問題外です。出来ればグレーが一番いいのですが、白でも壁に当たる光を工夫して暗くしましょう。作業する時の洋服も無彩色の色をこれはなるべく黒がいいです。なぜならモニターには自分が一番写り込むからです。明るい色を着ていると黒の締まりが悪くなり、コントラスト調節でミスを起こす可能性があります。モニターより難しいのが環境の意味がおわかりになると思います。しかしCGシリーズは金額も高い。
そこでモニターのもう一つのナナオの選択肢がFlexScanシリーズです。値段が安いし、キャリブレータとソフトを同梱したEasyPIXのセットモデルが用意されています。これはボタン一発というわけにはいきませんが、新しいバージョンのソフトウエアーで5500°ケルビンから6500°ケルビンまで細かく設定でき、ガンマも輝度も細かく設定できます。そしてこれはハードウエアーキャリブレーションです。ソフトウエアーキャリブレーションではありません、モニターの性能を最大限生かす事が出来ます。それも出来ない時は、キャリブレータを買ってソフトウエアーで調整していきます。
佐口支部長がiMacを使用し、カラーモンキーを使用してのソフトウエアーキャリブレーションを実際に行いながら確認していきました。ソフトウエアーキャリブレータをする上で大事な事は、まずキャリブレーションをする時はモニターを最初の工場出荷時の状態から始める事です。これを行う事でモニターの性能を全部出し切る事が出来るからです。後iMac等のモニターは5000°ケルビンで設定を行うより6500°ケルビンで調整を行うほうがモニターの性能を最大限引き出せます。5000°に設定するとBのガンマカーブを動かす事により式温度を下げるので、ハイライト側でのトーンの乱れを作る可能性が高まります。設定が終われば輝度を100カンデラ程度に設定してキャリブレーションを行います。この輝度がiMac等の場合重要です。色に関しては完璧ではありません、しかし輝度は合わせる事が可能です。撮影時にグレーバランスをちゃんととっていれば、輝度が正しければヒストグラムとモニターの確認で、露出の失敗は防げるはずです。環境光はもっと重要ですが、これは先ほどの話と一緒です。仕事であれば5年間使うとして最低FlexScan以上の導入は必要ではないでしょうか、撮影時はiMacやMacBook等で簡易的に確認を行い、最後の納品用データ作成ではサブモニターとして外部モニターを接続して確認する事が重要です。
ちゃんとした環境を用意してです。しかし画像処理は気分も大事です。暗い部屋で仕事をすると気分がめいるかもしれません、自分がしやすい環境・におい・音等考えて楽しく仕事をしましょう。その方がもっと重要だと思います。最後が私、河口がキャリブレーションで重要なプロファイルの話を行いました。私たちは様々なデジタル機器を使用して仕事を行います。カメラやモニタープリンター等は様々なメーカーが作っています。入力機器もあれば出力機器もあります。すべての機器の色は違った方法で作成されています。それを完全に同じにする事は不可能です。しかしどんなメーカーの機器同士でもある程度合わせる事が可能です。僕たちは日本語を母国語として話します。中国の方と会話をする時、中国語が話せないと相手のいってる事が理解できません、しかし世界にはまだまだたくさんの国、言語があります。国によっては地域でも違った言葉が必要です。しかしデジタル機器はそれ以上に多種多様です。いちいち1対1での通訳をするわけにはいきません。そこでそれぞれの機器に共通の基準で言葉をもたせ、それを共通語に翻訳して次の機器用に共通の基準で翻訳すれば、通訳は一つで可能になります。それがカラーマネージメントです。それぞれの機器(デバイス)にはプロファイルという言葉を持たせます。そして共通語としてAdobeRGBやsRGB等の機器(デバイス)に依存しない作業用プロファイル(スペースプロファイル)を利用し、次の機器(デバイス)用にプロファイル変換を行うのが、CMM(カラーマネージメントモジュール)です、ADOBEではACE、APPLEではColorSync、WindowsではICMがこの翻訳機に当たります。ちょっと話が難しいかもしれませんが僕も深くは理解できてません。でもプロファイルがないとその機器(デバイス)の色が次に伝わらないと言うことはわかっていただけると思います。いま僕たちは印刷だけの仕事ではなく、様々な媒体に対応した画像を作成しなくてはいけません、このカラーマネージメントを理解しておけば、後はコミュニケーションをよく相手とし、どのような画像を渡せばいいのかがわかるはずです。デジタルなんか今は難しくありません、でも原理だけは理解しておきましょう。

写真   河口清秀
レポート  河口清秀