第39回九州電塾セミナーレポート

九州電塾10-09

9月15日
9月の九州電塾は九州電塾in熊本 という事で講師に鹿野宏先生を迎えてセミナーを行いました。
九州電塾としては初めての出張セミナーです。開催にあたっては、地元の(有)スタジオ遊の森さん、(有)スタジオFUJIの藤本さんにご協力頂き、動員や告知に大変お力添えを頂ました。
場は熊本デザイン専門学校様の教室を提供頂き、同学校の学生さんにもセミナーに参加していただいて、久しぶりに大規模なセミナーとなりました。
 今回は「今さら人に聞けないデジタルフォトの肝」というテーマでセミナーを進めていただきました。今回のセミナーは話が多岐に渡りましたのでその中から面白かったことを3つほどかいつまんでまとめていきたいと思います。




まずはパソコンの重要なパーツになるハードディスクの説明で、ハードディスクのディスクとヘッドの距離は例えるなら地表の50m上空をジャンボジェットが全速力で飛んでいるのと同じ状態という事で、パソコンが稼働中には絶対にパソコンに衝撃を与えない事、パソコンを終了させるときは必ず“システムを終了”を行ってから電源を切らないといけないという事で正しく扱わないと、ハードディスクの中にある書き出し・読み込みヘッドがディスク表面と接触して傷が入ってしまい、そこの部分からのデータの読込ができなくなってしまうとの事でした。特にディスクの外周部にはデーターの保存先の情報が書き込まれていてそこがダメージを受けると全てのデータの読み出しが出来なくなるという事でした。私もノートパソコンだと稼働中についつい移動したりしますが、今回の話を聞いたらかなり危ない事をやっていたので今後気をつけたいと思います。また、電源にも注意をした方がよいとの話でアースは出来るだけ繋いだ方が良く連結撮影時の接続の安定性が増しUPS(無停電装置)を使用する事により安定した電力を供給できる上に停電時もデータを保護する事が出来るとの事でした。


次はカメラと被写体の組み合わせでプリントの際の出力サイズの限界値が変わるという話で、同じカメラで撮影しても被写体に高周波成分(例 山野風景写真で遠くにある木の葉っぱ)が多く含まれている場合は低周波成分(例 バストアップの人物写真)が多く含まれている写真と比べてあまり大きくプリントする事が出来ないとの事で、カメラのセンサー上のピクセルの幅よりも大きなものだと正しく形を再現できるが、小さいものだと正しく形を再現する事が出来ないためという事で、被写体と最終用途に応じてカメラを選択した方がよいとの事でした。また、シャープ処理も同様にアンシャープマスクの半径も高周波成分に適用したい場合は1ピクセルよりも少なくし低周波成分に適用したい場合は1ピクセル以上に設定するとよいという事でした。




最後にディスプレイキャリブレーションの話の中でカラーマネージメントとカラーマッチングは似ているようで異なるという事で、カラーマネージメントは様々なデバイスで色を近似させていく技術となり、カラーマッチングではデバイス同士の1対1の関係で色を会わせる事という解説がありカラーマッチングはあくまでもカラーマネージメントの中の一つの技術に過ぎないので混同しないようにという事でした。
 カラーマネージメントの話ではデータだけでは正しい色を確認する事が出来ないのでディスプレイを正しくキャリブレーションすることで初めてデータを正しく見る事が出来きるという事で、作業環境も正しく色を見るためには外光に影響されないようにブラインド等でカットし、ディスプレイの背後には色のついたポスター等は張らないという説明の中で人間の目は様々な色に順応するというテストを全員で確認しながら再認識しました。
また、室内の照明も普通の蛍光灯だとスペクトルが偏っていたり強い輝線があるので適しておらず、高演色性の蛍光灯を使用する事で出力物との比較も正しくできるという話があり、良いディスプレイを正しくキャリブレーションすることで無駄な労力を減らしてその分でいい写真を撮ることで、写真がうまくなるという事を力説してあったのが強く印象に残りました。




今回のセミナーでは上記以外にもPentax645Dの紹介や、カメラのピクチャコントロールでのチップス、ライトルームのチップス等、写真に携わるものには大変有益な話をしていただきました。
皆さんメモをとって最後まで大変熱心に受講されているのが印象的でした。今後、熊本で独自に勉強会が継続できればいいと思います。
熊本の皆さんありがとうございました。

講義後の懇親会 写真 テンイレヴン代表 田中よしひろ


写真   佐口正章
レポート  荒巻大樹