第33回九州電塾セミナーレポート

九州電塾10-03

すごく暖かい土曜日。桜も咲き始め、春の訪れを感じる 3月20日、今回も九州産業大学視聴覚教室において第33回電塾勉強会を開催しました。今回で3年目最後の講義です。
今回は本部電塾から鹿野さんにお願いして、盛りだくさんの内容での講義になりました。
まずモニタのキャリブレーションのお話です。評価用蛍光灯がなぜ必要なのか、評価する反射物の角度で輝度や見え方が変わってくる、見る環境が大事だという事,まず輝度を合わる、モニターと評価物の輝度、照度がそろえばハードウエアーキャリブレーションの行えるいいモニタを購入すればもうキャリブレーションは終わるぐらい大事だという事です。(輝度は80cd/mに)
次がカラーチェッカーパスポートの話です。いままで正確なカメラプロファイルを個人が簡単に作成する事は不可能でした。正確をきすあまり、あまりに細かく合わせすぎ、ジャンプが起きたり飽和したり、うまくいきませんでした。しかしカラーチェカーパスポートはグラデーションを優先させて色を合わせ込むという事を行っている為に、滑らかなトーンで知覚的にきれいな色を作ってくれます。カラーチェカーパスポートの取り方として注意する事は 、周辺光量不足や色収差がでないように 画面いっぱいにとらない,まっすぐ向けて撮る、そのぐらいです。そして使用方法はLightroom2 の場合はプラグインとして連携が行われるので非常に扱いやすくなっています。このチャートが最も活躍する場面が光源の違う照明が入り交じった、ロケ等の取材ではないでしょうか、ストロボやタングステン照明の場合はわざわざプロファイルを作る必要も少ないと思いますが、 蛍光灯の光源はデフォルトでのプロファイルでは対応しきれない、そんなときに助けてくれます。また光源の異なるミックス光源でのプロファイルを作ってくれます。(デュアルイルミナントプロファイル)
その他、チャートを保護するケースと一緒の作りになっているので、奇麗に使用出来ます。またホワイトバランス調整用のチャートもあり、 ホワイトバランスずらしにより色の変更が常に一定の基準で行えたり、白・黒のグラデーションの見え方によって適・アンダー・オーバーを視覚的にとらえることができるんです。ぜひ一人に一個と鹿野さんは力説されていましたが、私もこのチャートはカメラバックに入れてもかさばらないちょうどいい大きさなので常に持ち歩いています。皆さんもぜひ検討してはどうでしょうか。








次が次期Lightroom3のお話です。Adobe Photoshop Lightroom IIIは英語のベータ版を使用して,ノイズリダクションが非常に良くなった,フィルムトーンでのノイズが入る、そしてビネットの効果がきれいに出来る、などよくなっているのですが、正直メージャーバージョンアップと迄はと思っていましたが。これはβバージョンだからで、正式版はかなり変わっているみたいです。それ以降のお話は正式に発表される迄おあずけです、すみません。それとLightroom以外でも基本的な現像ソフトのルールとして、まずホワイトバランス、ここからチューニングを始める。上から下に作業を進めていく事でこれが大事だと話されていました。
次がムービーです。
 鹿野さんも去年迄はムービーなんかはやらないと思っていたが、デジタルサイネージ等新しい表現が生まれてきて、自分たちの領域になってきたという事でやり始めたそうです。CM撮影をする訳ではなく、インターネット上での取材等スポンサーはやりたがったが金額が高かった為に出来なかった仕事をねらうという訳です。
 デジタル一眼レフでの撮影の利点は、縦位置での表現が簡単に行える。スーパーワイドレンズが使用出来る。ボケが大きく35mmムービーに近いまたはそれを超えるボケの表現が出来る事だそうです。
NIKONではなぜいけないのか、マニュアルが使えないのでシャッタースピードが動いてしまう、コーデックがモーションJPGの為に編集後にトーンジャンプや、ノイズ等の劣化が激しい、その為に鹿野さんは珍しくCanonを買ったそうです。
Canonの場合はH.264という圧縮率が高いが編集後の画像がきれいなデータを取り込めるコーディックを使用しているので、業務用VTRに劣らないいい画を作ってくれます。
三脚も高価なものでなくてもマンフロットから発売されているムービー雲台等を使用すればカメラが軽い一眼レフなので十分です。ただしレベリングが出来るアダプターは必要だといわれてました。
 次に撮影。撮影前にはちゃんと設定を行い,ホワイトバランス露出をあわせる事も重要です。鹿野さんのカメラ設定はニュートラルでシャープネスを弱くする、その場合どうしても色が浅くなるので濃さを少しあげる,これは自分のすきな設定で行えばいいのですがシャープネスだけはあまりかけない。かける場合はあとから編集時にかける事が重要です。
そしてライトも今迄のスチルの経験を生かして、アンブレラやバンク等を今迄どうり利用してスチルカメラマンのライティングが出来る利点を生かしましょうということで、簡単なセットで人物を撮影する実演を行いました。
 最後がファイナルカットプロのお話です。これはスチルカメラマンにはなじみのないソフトで文章で説明が難しいので、レポートがうまくかけません、ただもしチャレンジするのであればかなり早いPCと大量のメモリー、高速なHDが必要になってきます。
もし静止画を使用したい場合、今迄のようにJPGやTIFを使うのではなくPNGを使用したほうが、ファイナルカットプロに画像データを送る場合は容量が少なくレンダリングの時間が短縮されるそうです。またデータをHDで納品する場合等の時は、Paragon NTSF for Mac OS XをインストールしておくとWINで見れるようになるそうです。
こうして3時間半、じっくり講義を行っていただきました。
ムービーを仕事の領域として広げるか、これはなかなか難しい判断ですが、何事もチャレンジです、最初は初期投資も少なくし、負担のかからないようにして皆さんチャレンジしてはいかがでしょうか。



写真  河口清秀
レポート 河口清秀