九州電塾セミナーレポート

九州電塾09-05

5月16日、第24回定例勉強会を今回も九州産業大学視聴覚教室をお借りして行いました。
今回は東京からY2スタジオ湯浅さんにきていただきました。
天気は曇りでしたが,雨も降らず今回沢山の人にきていただきました。湯浅さんも若い人が多いのには驚いておられました、それと今回湯浅さん人気なのでしょう、女性も多くこられていました。
 今回の講義は東京のPIEで3月行われた講義を基本に行っていただきました。

PIEではいろいろ設定等でトラブルがあったらしいのですがさて今回は!
まず最初に、私がもう少し連絡を密に取り合っていれば良かったのですが、今回湯浅さんが持ってこられたMACがミニディスプレーポートの新しいMacBookPro、変換端子がDVI端子でした、そして教室のプロジェクターはD-sub15、学校にもDVI-D-sub15変換ケーブルはあったのですがDVIには端子が5種類(大きくはアナログのDVI-AとデジタルのDVI-DそしてアナログデジタルのDVI-I)ありつながらないのです、しょうがないのでヨドバシ迄車を走らせることになってしまいました、的場さんお手数をおかけしました。それからi1Shareを使っての講義を考えられてたのでその為に一応i1Proとカラーモンキーを用意したのですが、それが認識しないんです。i1Proやモンキー等のスペクトル方式のセンサーは振動に弱いので今回東京からは持って来れなかったのですが、それが災いした格好です、どうも皆さんすみませんでした。

でも講義の中で湯浅さんも話されていたのですが、コンピュータで撮影しているとこんなことが起こる可能性は常にあります、その時経験を積んで色々な事に対処するすべを身につけておく事もプロとしては大事な事なのではないでしょうか。クライアントの前では慌てず騒がず、冷静に!



さて前フリはこの位にしておいてまず最初のお話は、USBサブモニターを使用した撮影スタイルの方法です、皆さんが普段撮影している時、俯瞰で撮影する事もあると思いますが、これがなかなか大変です、腰も悪くなってしまいます、特に年を取ってくると結構つらいもんですが、USBサブモニターを使用する事で、もう脚立を用意する必要がないんです、カメラから離れてアングルやフレーム・ピント・絞り・シャッター等をコントロールして撮影が行えます、ここで覚えておくと便利なのが、コントロールをいちいちファインダーからメニューを選ぶのではなくショートカットで行う為の基本的なショートカットです。
それを湯浅さんはApple ワイヤレスキーボードを使用して行われていました、USBサブモニターはこれ以外にもPhotoshopのツールパレットを置く為に使用したり、今の現像ソフトはほとんどが2画面を利用可能になってますので,撮影シーンでは非常に便利なツールになると思います。

次に,湯浅さんお得意のLinkIconEye-Fi Shareによるワイヤレス撮影です、今回湯浅さんはCanon1DsMarkIIIとCanon50Dを使用して同時に1台のPC に転送を行われました、1万円弱の金額で無線による撮影が行えるんです、ただしJPEGにしか対応していません。
またちょっと気まぐれなところもあって、転送時間にムラがあります、でもこれは運用の仕方によっては面白いのではないでしょうか、それから無線の勉強をする為にも少ない投資で出来るので、勉強と思えば安いと思うのですが。今回私のCanon5DMarkIIでも行ったのですが,設定を行ったEye-Fi Shareカードをさすだけという手軽さで、撮影データの転送が可能でした。一つ注意点としてこのEye-Fi Shareカードはアドホックモード(一体一)の接続には対応していないので途中に無線LANの環境が必要になります、これは無線ルータでも代用出来ます、湯浅さんは2月に僕が紹介しましたプラネックスのルータ(現在生産が終了)を使用されていました。

次が湯浅さんが行われている撮影後のデータ処理の方法です、皆さんは撮影データのセレクトをどのように行っていますか、僕は直接CaptureOneでレーティングやカラーラベルを付けて行っているんですが、湯浅さんはまずセレクトに特化した、専用ソフトを使用されていました、それがLinkIconPhotomechanicです、これはRawデータの表示、ピント確認が非常に早くほんとにリアルタイムに行えます、このソフトでセレクトを行い、それを仕事ごとにフォルダーを作り、その中にCaptureOneのセッションホルダーの要領で、Capture Output Trashそれぞれのフォルダーを作り整理していく方法です。この方法をLightroomでも行いカタログデータもここに格納しておくのです。
こうしておくとバックップが非常に簡単で、1つのカタログ上のデータもそんなに多くはならず、ソフトの動きも遅くなりません。特にモデル撮影や取材等では時間が節約出来るのではないでしょうか。
 次が現像ソフトですが、まずDPP、クライアント立ち会いで撮影の時、皆さんは、どのようにされてますか。PCの周りに皆が群がり確認を行っていませんか、湯浅さんはここでEOS Utilityで撮影後にすぐ表示されるプレビューを別モニターに表示されていました、モニタのミラーリングでは表示領域が小さい方に引っ張られますが、この方法ならUSBサブモニターでもOKです。そこで手元にUSBサブモニターをおいて自分の確認はそれで行っているそうです。
 それからデジタルバックとバックタイプのRAWデータの作り方の違いを理解しておこうというお話でした、デジタルカメラのRAWデータには撮影した時の様々な設定がタグとして記録されているんですが、メーカー専用ソフトはその直接のタグを書き換えるのに対してデジタルバックは別ホルダーにタグを分けて記録しているというお話です、そしてLightroomやCaptureOne Aperture等の現像専用ソフトはRAWデータ上のタグを直接書き換えるのではなく、別にフォルダーを作りそこにxmp等のような設定を記録していきます、ですからRAWデータとタグのリンクが切れると設定が消えてしまいます。その為に先ほど書いたようにセッションホルダーのように、一つのフォルダーですべてを管理しておいて移動も保存も行おうという事です。
 湯浅さんはLightroomでの運用にはこの方法を使用して行い、仕事ごとにカタログをつくり運用されているそうです。
 次がLinkIconCaptureOne4.8、この前やっと日本語に対応したソフトです、近頃仕事ではこれをメインで使用されているそうです、このソフトは先ほども書きましたようにセッションという概念で撮影データを管理します、まず撮影前に新規セッションを作りそこから撮影を始めれば,撮影データは自動的にCaptureホルダーに入り、現像後のデータはOutputホルダーに、いらないデータはTrashホルダーにということになります、またこのソフトの利点はCanonやNikonのほとんどのカメラで連結撮影が出来るという事です、メーカー純正のソフトでもいちいちEOS Utilityを起動したりCamera Control Pro 2を起動し設定を行わないといけませんが,このソフトはセッションホルダーを作ってケーブルをつなぐだけです、それですぐに撮影を始められます、そしてもし複数台を接続してもプルダウンメニューで切り替えるだけで使用出来るんです。

ただしなぜかCanon50Dだけは対応していません、これはなぜでしょうか。
また先ほど説明したライブビューを使用する場合も、EOS Utilityを使用し監視設定を使用すればこれも行えます。その他新しい機能としてスキントーン・カラーエディター等の機能が加わりました、スキントーンは肌色でカラーバランスをとるというものなのですが、ちょっと難しいかと思います、でももう一つの使い方として色をピックしてその色を保存しておきその他の画像の色をそれにそろえるという機能が使えるので肌色を統一したり商品の色をそろえる等目的によっては便利な機能ではないでしょうか、またカラーエディターはPhotoshopでいう色相彩度のスライダーのような事が行えます、もちろんハイライト・シャドー トーンカーブ等はもちろんの事、複数の現像設定で同時に出力する事も可能です。スタジオ撮影には適しているソフトだと思います。
 次に湯浅さんがつい最近テストをされたハイエンドデジタルバックの比較お見せていただきました、特に今度のLEAF AFi10はレンズの性能もいいのか細部の描写もすばらしい画像を吐き出していました。
湯浅さんは普段も結構デジタルバックを使用されるそうです、なぜかというと、ポスター等大きいデータサイズの仕事が来たとき、東京ではレンタルも可能ですが、普段から使い練れていないと、仕事に集中出来ないからだそうです。何かあったときにも普段から使用しているのと時々使うのでは、集中度が違うという事です、最近はリペアーの比較的安いデジタルバックカメラも手に入りやすくなっているので、福岡でもデジタルバックタイプを購入される方も増えているそうですが、ソフトを自由に使用出来るようになっている事がクライアントからの信頼にもつながるのではないでしょうか。
最後にちょっと便利なツールとしてLinkIconAdobe Configuratorベータの事を話されたのですが、これは便利だしPhotoshopをお持ちでしたらぜひ試す価値はありだと思います。自分がよく使うアプリケーションメニューをボタンとしてツールパレット化できるんです。
β版なのでまだバグがあるし英語ですが、これで少しでも作業効率が上がるのであれば使わない手はないと思うのですが、ただしCS4でしか使えません。
 以上今回は3時間半の間に色々なお話をお聞きする事ができました、今回湯浅さんも途中で何回も話されていましたが、仕事には様々なワークフローがあります、先ほどのEye-Fi Share等はJPEGしか出来ないかもしれませんが、仕事によっては僕たちが考えつかないような方法でうまく使えるかもしれません、また現像ソフト等もそれぞれに特徴があり、性格的にも仕事の内容等でも向き不向きがあると思います、でも試さないとそれは分かりません,ほとんどのソフトは1ヶ月程度のお試し期間があり、無制限で使用出来ます、まず皆さん試してみましょう,自分にあった方法やソフトを見つけましょう、電塾は教える為の教室ではありません、皆さんと一緒に勉強していく場です、ぜひ皆さんのこんな便利な方法があるとか,自分の仕事ではこういうワークフローでやってます等の情報を持ち寄ってください。皆さんで勉強していきましょう。
湯浅さん今回休憩時間も取らず3時間半どうもありがとうございます、今回皆さんから様々な意見も出て,いろいろお話が出来、すごくいい勉強会になったのではないかと思います、本当にありがとうございました。

写真 河口清秀
レポート 河口清秀