九州電塾セミナーレポート

九州電塾09-04

4月18日、晴天に恵まれた土曜日、今回も九州産業大学視聴覚教室をお借りして第23回定例勉強会を行いました。
まず、倉地さんから先月末に行われたPIE(フォトイメージングエキスポ)の感想等を皆さんに説明していただきました、今回のPIEはこんな社会情勢ですが、PMA等と比べても活気があった写真ショウになったようでした、しかし出展者の顔ぶれや展示ブースの大きさ等は、PnasonicやSony等家電メーカが大きなブースを展開し,今までとは少し違ったものになっているようでした,しかしコンパニオン撮影狙いの入場者は今までと変わらず、コンパニオンに群がり、カメラの砲列を向けていたそうです。

次に、デジタル一眼レフとデジタルバックの違いについて,私、河口が撮影の検証を行いましたので皆さんに見ていただきました。
最初は、デジタル一眼レフの撮像素子とデジタルバックの撮像素子の違いについてお話をしました、一般的にはデジタル一眼レフはCMOSセンサーが使用され,デジタルバックにはフレームトランスファー方式のCCDが使用されています。最も大きな違いは,撮像素子の受光面積の違いにあります、そのためデジタル一眼レフではマイクロレンズが必要でありローパスフィルターも必要になってきます。
デジタルカメラの出始めの頃は、明らかにデジタルバックの方が、画質が優れていたのですが、今のデジタル一眼レフは非常に高性能になってきました。
今回は、通常の仕事(A3程度迄の印刷物)を行う上で、デジタル一眼レフでOKなのか、もうデジタルバックは必要ないのかを検証しました。
まず、今週の始めに本部電塾のホームページにもアップされました電塾CCD解析能力評価用チャートを使用して、NIKON D3X・Canon EOS5DMarkII・PhaseOne P21・Sinarback 54の4機種について行いました。
撮像板の性能はもう2200万画素で十分であればデジタルバックは必要ない、いやむしろローパスフィルターがない分、高周波成分の被写体に対してデジタルバックの方がモアレが多く出るので後処理が必要になってくるという事でした。そのかわりSinarback54の4ショット撮影のデータとの比較では、いまのベイヤー配列の撮像素子の問題点をさらけ出す結果になりました、撮像版のテストでSigma DP1のFOVEON X3センサーもテストを行ったのですが、画素数という意味では460万画素は心許ないですが、解像感という意味ではワンショットカメラとしてはすばらしいものでした。次にハイコントラストのライティングで撮影を行い、ハイライトとシャドウの表現を比べてみました、これはPhaseOne P21がいいと思ったのですが、極端に差があるというものではありませんでした。
次にピントコントロールとパースコントロール等アオリに関するテストを行いました。デジタルバックの最も優れたところは、アオリの出来るカメラボディーとデジタル専用レンズを組み合わせて、今迄フィルムのときに4X5カメラで行っていた、操作が自在に出来るという事でしょう。それをデジタル一眼レフのCanon Nikonのアオリレンズでどこ迄迫れるのかを見てみたかったのです。
パースコントロールについては室内撮影の近距離においては、Sinar P3でのSinaron digitalレンズが収差補正がすばらしくNikonのPC-EレンズもCanonのTS-Eレンズもかないませんでしたが、色収差以外は各メーカーの現像ソフトで収差補正を行いPhotoshopのレンズ補正を使用した画像と比べると、少し解像感は悪くなりますが、大きな印刷物でない限り、印刷物での比較は問題ないのではないかと思われました(この辺は個人差もあると思いますが)、野外での建物の外観撮影ではやはり色収差はまだ出ていますが、樽型のレンズ収差や糸巻き型等の収差もほとんどなく、解像感もすばらしい画像を作ってくれました。
ピントコントロールに関してはやはりSinar P3とSinaron digitalレンズの組み合わせが抜きん出ていました、そんな中でNIkonとCanonのレンズを比べた時,やはり新しい設計のNikonPC-Eレンズが近接性能も高く、Canonに比べるといいと思うのですが金額が倍です。また5月には新しい設計のレンズが発表になりますので,今後のCanonにも期待が持てるところです。Photoshopでの画像合成も同じ被写体で比べてみましたが、被写体によってはまだ一発で合成出来る訳でもなく、すべてのレンズでアオリが使用出来るテクニカルカメラを使用したSinar P3がやはり抜きん出ているのではないでしょうか、しかしコストを考えるとなかなか導入は難しいと思います。
テストを終えてみて、A3程度迄の印刷物であれば、もうデジタル一眼レフで十分なのではないでしょうか。
次にちょっと便利な小物とソフトという事でUSBのサブディスプレーを紹介したのですが、ちょっとトラブルがあってうまく使用出来ず、皆さんにハードの紹介をしただけで実践はお預けになってしまいました、これは次回湯浅さんの講義で紹介されると思いますので、皆さん申し訳ありませんが、来月楽しみにしてください。
次にファイルネームの変換と現像を素早く出来るソフトを紹介しました。私たちがスタジオやロケで撮影した画像は,クライアントやデザイナーにすぐサムネイルをお渡ししたり、コンタクトシートをお渡ししないといけないのですが、ファイルネームはなるべく分かりやすい名前にリネームをしてそのあと軽いJPEGにしてレイアウト用データ、それをもとにサムネールをプリントしなくてはなりません。
 また画像確認もRAWで行うよりJPEGで行った方が早く行えます、今回紹介したソフト(Shupapan)
はリネームに関しては、変換だけでなく追加や置換等様々な事が素早く行えます、JPEG変換ソフト(Instant JPEG from RAW)は、一つのホルダーにNIKON D3X Canon 5DMarkII を50枚収納したものが、僕の2年前のMacBookで約7秒でフルサイズのJPEGデータに変換を行えました。これには皆さんびくりされていましたが、、WIN・MACどちらも使えるソフトが無料で提供されていますので、これで少しでも効率よく仕事が行えるといいのですが。
 以上で講義を終え、同じ視聴覚教室で皆さんで茶話会を行い色々な話をする事が出来ました。今回少しトラブルもありましたが,皆さん私の講義はいかがでしたでしょうか、今後このホームページ上でアンケートもとれるようにする予定なので,皆さんの意見や要望等どしどしご意見をお聞かせください。
皆さん、お疲れさまでした。

写真 佐口正章 河口清秀
レポート 河口清秀