九州電塾セミナーレポート

九州電塾07-06

2007.6.23




今回は専門学校九州ビジュアルアーツの講義室をお借りしてのセミナーとなりました。


午前の部
講師:阿部 正容 氏 (専門学校九州ビジュアルアーツ専任講師)
今回も午前から80名をこす受講者にお集まりいただき、同学校の専任講師であり九州電塾運営委員でもある阿部正容先生によるセミナーが始まりました。
午前の部は『やさしい電塾』と銘打つ事もあり、基本に立ち返って「ベクタデータ・ラスタデータ」や「dpi」とは何か、というところから説明していただきました。語句説明の後はPhotoshop実践講座です。レイヤーとは何か、ヒストグラムやRGB数値の見方、そして8bit/16bitの違いなどの解説を交えつつ、実際に納品されたというデータを使ってどういった色調補正を行っていくのかを、順序立てて実に丁寧に見せてくださいました。


この日はナナオさんよりお借りしました『ColorEdge CG241W』も展示し、お昼休みに九州電塾運営委員・河口さんによる紹介が行われました。「Adobe RGB比96%の広色域と画面の色均一性を実現」しながら低価格を実現したモニタです。皆さん非常に熱心にご覧になっていました。


午後の部
講師:鹿野 宏 氏
午後の部は鹿野さんのご担当です。鹿野さんは九州電塾発足式にも来ていただいたので、お会いするのは2度目になります。その節は大変お世話になりました。<br>
この日は6月23日。Photoshop CS3発売直後なのですが、鹿野さんにはグッと堪えてもらって『Photoshopの色調補正』という基本講座をお願いしました。



序盤は環境を整えるところから。いかにPhotoshopのベストパフォーマンスを引き出すか。単純にハイパフォーマンスのMac・PCを用意するという話ではなく、HDのフラグメンテーションの影響を避けてPhotoshopの仮想記憶領域をきちんと確保する。すべての環境に共通で言える話で、この辺はないがしろにされ易いけれど重要視したい事です。ちなみに鹿野さんはその日持ってきていたMacBook Proに対し、FireWire800で接続した外付HDに仮想記憶領域を割り当てていました。



その他物理メモリの最低搭載2GB/理想搭載4GBを始め、Photoshopの環境設定におけるパフォーマンス項目の設定等、「今ある環境でベストな環境を作る」という会場にいた全員に共通する話だったのが印象的です。みなさん、熱心にメモを取っていたのもまた印象的です。


その後は実際に鹿野さんが撮影されたデータを使っての色調補正です。
「トーンカーブ」「色相・彩度」の2つの調整レイヤーを使っての講座です。それぞれの正しい見方から始まり、実際に写真に対して補正を行ってもらいました。「トーンカーブ」も「色相・彩度」もマスクをいっさい使わずに補正していく様子は本当に目から鱗で、会場で軽くどよめきが起きていました。
この回はマスクの話はさけてもらう様お願いしていたのですが、個人的にマスクとの併用で格段に処理効率が上がるのではないかと思います。
色調補正を行うにあたっての要点として、画像の劣化をいかに押さえるかという事が挙げられます。Photoshopでの色調補正ではかならず劣化を伴います。16bitデータで運用するのは勿論有効なのですが、8bitデータ運用において劣化を押させるのに調整レイヤーが有効になります。統合直前に16bitに変換してから統合、その後また8bitに戻すのです。そうすることでヒストグラム上のデータ欠落がかなり押さえられる事になります。その他ノイズを加える等、ヒストグラムを見ながら&Prime;データを正しく見る運用&Prime;を勧めていらっしゃいました。


いずれも写真を使ってシチュエーションごとの補正例を挙げていて、カメラマン向けの講座で本当に分かり易く聞く事が出来ました。あっという間に時間が過ぎ、正直足りないぐらいだったと思います。終演を惜しまれつつも大盛況のうちに終わる事が出来ました。
鹿野さんありがとうございました。


夜は懇親会。話足りない事も多かったでしょうし九州電塾としても是非、ということでまたセミナー講師として来ていただくことをお約束してもらい、第3回が終了しました。

文:松嶋 仁 / 写真:河口 清秀、椎原一久