第48回九州電塾セミナーレポート

九州電塾11-07

7月16日博多山笠が明け、博多の夏が始まった土曜日、今回も九州産業大学の講義室をお借りして、電塾セミナー行いました。
今回は一部がデジタルカメラの仕組みと高精細画像、2部がLIGHTROOM3の運用の2つのテーマです。
まず1部は私、河口が行いました。デジタルカメラの受光素子はモノクロの階調しか記録できないのは皆さんご存知ですか、受光素子は光の量を電気信号に変えて記録する事しか出来ません。それをカラーにする為にはRGBのフィルターを受光素子の上に配置してそれぞれの素子にRGBのフィルターを通した光量を記録し、カメラ内のコンピュータで演算を行いカラー画像を作っています。そして人間の目はグリーン(G)を良く感じるので、R・G・G・Bの4つのフィルターを通して記録します。この方式の事をベイヤー配列と言います。ベイヤー配列はコンピュータの演算が必要な為に、高周波成分、つまり細かい、受光素子の大きさの被写体ではまれに、間違いを冒します。これが偽色です。






その偽色を和らげる為に一般的なデジタルカメラではローパスフィルターを使用します。ローパスフィルターとは字のごとく低周波成分を通して高周波成分をカットする事です。細かい線や形はボカす事によって、周りのセンサーに情報を渡し偽色を防ぐ事になります。その為にシャープな画像は少し光学的にぼかす事になるのです。
一般的なデジタルカメラと言いましたが、ハイエンドのデジタルバックや一部ライカ等はこのボカス事を避ける為に、ローパスフィルターを採用せず、コンピュータで処理をするようになっています。それでも完全には防ぐ事が出来ません。

そこで登場するのがFoveonセンサーです。FoveonセンサーはRGBカラーフィルターを縦に使用して演算を必要としません。その為ローパスフィルターも必要なく偽色のない、シャープな画像を記録する事が出来ます。今回シグマ社から新発売されたSD1を使用して、僕がいつも使用しているCanon5DMarkIIと撮影して検証を行いました。(今回のセミナーでは、電塾本部の鹿野さんにSD1の情報を提供していただきました。)

これは画像見ていただくのが一番ですが、こんなに違うとは正直思いませんでした。


SD1は約1,470万画素、5DMarkIIは約2,110万画素ですがSD1は画素数以上の情報を記録しています。これはSD1は拡大しても大丈夫なポテンシャルを持ってるという事だと思います。ただし撮影していてバッファが少ない為なのか、書き込みに時間がかかり、また液晶画面での確認もすぐ見るという事が出来ず、今のカメラに慣れている身としては、仕事で使用する時に、仕事の内容を選ばないとオールマイティーに何でもこなすというわけにはいかないと、思います。またライブビューが出来ないので正確なピントがわかりません。SD1のようなシャープな画像を撮影できるカメラこそライブビューが是非必要だと思うのですが、残念です。そしてスタジオでの撮影を考えると、テザー機能もぜひ搭載して頂きたいと思いました。しかし、今日ネットを見ていたら、信憑性は定かではありませんが、LinkIconシグマの方の話としてライブビュー・テザー撮影の搭載も考えているという話がのっていましたので、先が楽しみです。次に高精細画像の事ですが、ベイヤー配列の画像素子を利用してその素子を1ピクセルづつ動かす事によりFoveonと同じように、演算に頼らない画像の生成が可能になります。
この方式をLinkIconマルチショットと言います。実は今年のカレンダー展で私の会社で制作したカレンダーが第1部門の経済産業大臣賞を頂きました。撮影は私が担当したのですが、この撮影に使用したのがSinar54とSinarP3による、マルチショット撮影です。16ショット撮影で約8,800万画素の画像データを作成しました。印刷もこの高画素をいかし素材のディティールを表現する為に400線相当のFMスクリーンを使用して印刷をおこなっています。作品としては地味ですが、着物の作品の素材感を生かした撮影と印刷が評価された事で、マルチショットでの撮影を行った事が良かったと再認識しました、もし普通のカメラで撮影していたらここまで精細な画像は作成できていません。
佐口さんはが撮られたSD1と5DMarkIIの画像をZoomifyで見る LinkIconSD1-1LinkIconSD1-2LinkIcon5DMarkII-1LinkIcon5DMarkII-2
レンズはSD1がsigma50mmf1.4 5DMarkIIが24mm×105mmのズームを使用しています。


第2部は佐口支部長によるLIGHTROOM3の講義です。まずLIGHTROOMを使用する時始めにカタログを作成しなくてはいけません、まずこのカタログをどう作るかで作業がずいぶん変わってきます。仕事ごとに作るのか、クライアントごとに作るのか、これは仕事の内容、
使用される内容によって大きく変わってくると思います。これはLIGHTROOMは検索機能が非常に優れているので、検索する為には検索する対象を一つのカタログに集める必要があるからです。もしかするとすべてを一つのカタログで行ったほうがいいのかもしれません、またはクライアントごとに作成したほうがいいのかもしれません。これは皆さんの仕事内容によって変わってくると思います。
しかし検索するには同じカタログにデータがある事が必要です。
次に佐口さんは、データの保存場所をどこに置いたほうが良いのかという話をされました。これもLIGHTROOMを使用する時には始めにルールを決めておくべき事です。
仕事ごとにホルダーに保存するべきか、すべてを一つのストレージ(ハードディスク)に入れておくべきか。佐口さんはデータはなるべく一つのストレージを用意してそこにすべて保存して、LJGHTROOMには「写真を移動せずに追加」を選び、管理運営する事を推奨されていました。これは速いハードディスクを速いインターフェース(FireWire800・eSATA等)を使用して行うのが良いし、バックアップもストレージ単位で行えば非常に効率がいいからです。これはまた仕事の環境や内容によってもよく考えたほうがいいのですが、最初に決めておくと後からが非常に簡単になります。まず自分の仕事内容を考えて作戦を練りましょう。
また作業の利便性を考えると1:1のプレビューを作成したほうが、ピント確認や画像の確認に必要なので、1:1プレビューの作成を推奨されていました。しかしキャッシュが増えてくるので、キャッシュのリセットを時間を見て行う事が必要だと言われていました。
撮影が終わり画像が取り込まれたらまず、現像モジュールにはアクセスせずライブラリモジュールでのセレクトを行うとすべてを処理する必要がないので、能力の低いノートPCでも作業が素早く行えます。
その場合コレクションとクイックコレクションを使い分けてまず行いましょう。クイックコレクションは必要な画像を移動せずに簡単にホルダーにわけるのに便利です。
ここでおおまかに選別を行い、クイックコレクションに移動してレーティングやカラーラベル、フラッグを使用した最終セレクトを行うのです。
最終セレクトが終わったものを現像モジュールで処理をおこいます。これは出来ればスタジオのデジタル処理ルームで、一番早いデスクトップPCを使用して行い、処理をすすめていきます。もしロケの場合などはこのセレクトをクイックコレクションまではノートPCで行い、帰った時点で画像データを所定のストレージにカタログで保存、そこから作業を開始をする流れです。
セレクト後の現像モジュールでは、まず基本となるカメラプロファイル(Canon・Nikonの場合のみ)を決め、ホワイトバランスをクリックして上から下へと作業を進めていきます。
これはCameRawと同じです。少しインタフェースは違いますが、内容は同じ事です。今回は時間がたりませんでしたのでこれは次回9月のセミナーでもう一度行おうと思っています。
現像でCameraRawと大きく違うのはヒストリーの記録が出来る事が大きいと思います。これは過去のデータでもどんなことをしたのかがヒストリーに記録できているので、同じ作業を未来に残して伝える事が出きるのです。
またLIGHTROOM3からはテザー撮影の機能が加わり「ショット別に写真を分割」をセレクトする事により撮影途中でフォルダー分けがテザーのモジュールから簡単に行えるので、ファイル名をショット名にしておけば、後からのリネームが簡単になります。
皆さんからの質問の中に、ブリッジとLIGHTROOMの使い分けの話題が出ていましたが、写真を整理、セレクトを行い現像する事を考えるとおのづとその違いは明らかだと思うのですがいかがでしょうか、ハードディスクの中のデータを見て表示するのはブリッジの方が楽だと思います。なぜならカタログという概念もなくホルダーを参照して表示比較する事がすぐ出きるからです。しかし整理して現像して納品という作業を考えた時、LIGHTROOMを使用する事で時間と品質も大きく変わるのではないでしょうか、これは過去のデータの履歴を表示できる事から来る品質管理が行えるからです。
最後に佐口さんはLIGHTROOMを使用する上で大事な事を最後に言われていました、LIGHTROOMで処理した画像は必ずLIGHTROOMから移動を行う事、手動でファインダー上でファアイルの移動やコピーを行わない事、これを守らないと、リンク(相対パス)が外れ、検索機能出来なくなったりデータの紛失に繋がるからです。それから皆さん簡単なショートカットを覚えると非常に作業が速くなります。覚えるのは5つぐらいで十分です。B(クイックコレクション)・D(現像モジュール)・G(ライブラリモジュール)・W(ホワイトバランス)・6(赤ラベル)これだけでも覚えておくと便利です。今他の現像ソフトやPhotoshopを持っていれば約1万円で購入できるサービスを行っています。まだ使用されていない方はアドビのサイトでダウンロードして試してください。1ヶ月間は試用が行えます。まずは試してはどうでしょうか。


写真   河口清秀
レポート  河口清秀